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殺劫 増補改訂版
チベットの文化大革命
- 出版社在庫情報
- 不明
- 書店発売日
- 2025年3月5日
- 登録日
- 2025年1月20日
- 最終更新日
- 2025年2月24日
紹介
【フォト・ルポルタージュの名作、完全版】
チベット文化大革命の暴風を現在に伝える衝撃的な秘蔵写真と実証的な追跡取材。二度の改訂を重ね、新章「補記」と新たな写真を加えたフォト・ルポルタージュの名作『殺劫』決定版
目次
序
第一章 「古いチベット」を破壊せよ
第二章 造反者の内戦
第三章 「雪の国」の龍
第四章 毛沢東の新チベット
第五章 エピローグ―二〇年の輪廻
第六章 補記──『殺劫』その後
解説 藤野彰
前書きなど
【日本の読者へ ツェリン・オーセル】
本書『殺劫』は毛沢東の文化大革命によるチベット高原の蹂躙を目撃者の目で証明した写真ルポルタージュである。二〇〇六年の文革開始四〇周年に台湾で中国語版を出版してからすでに一七年の歳月が流れた。この一七年は一本の木が成長する過程のようなものだった。チベットには「如意樹」という名前の、仏教信仰と関連したシンボルマークがある。青々と生い茂った大樹が満開の花を咲かせ、宝物をいっぱいつけているさまを描いたもので、何でも願いをかなえてくれ、無尽蔵の富を与えてくれると考えられている。だが、私がここで言う木とは災難の実をたわわにつけた記憶の木であり、今ではこの木には以下の刊行本をはじめとした果実が実っている。(後略)
──本書「日本の読者へ日本語版(増補改訂版)序」より
訳+解説
藤野 彰(ふじの・あきら)
中国問題ジャーナリスト、北海道大学名誉教授。1955年、東京生まれ。78年、早稲田大学政治経済学部卒。同年、読売新聞社入社。86~87年、中国・山東大学留学。上海特派員、北京特派員、シンガポール支局長、国際部次長、中国総局長などを歴任。中国駐在は通算11年。東京本社編集委員(中国問題担当)を経て2012~2019年、北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院教授。主な著書に『客家と毛沢東革命――井岡山闘争に見る「民族」問題の政治学』(日本評論社)、『嘆きの中国報道――改革・開放を問う』(亜紀書房)、『現代中国の苦悩』(日中出版)、『臨界点の中国――コラムで読む胡錦濤時代』(集広舎)、『「嫌中」時代の中国論――異質な隣人といかに向きあうか』(柏艪舎)、『現代中国を知るための54章【第7版】』(明石書店、編著)、『客家と中国革命――「多元的国家」への視座』(東方書店、共著)など。訳書に『わが父・鄧小平「文革」歳月(上下)』(中央公論新社、共訳)ほか。
訳
劉燕子(リュウ・イェンヅ)
現代中国文学者。博士(学術)。中国湖南省出身。大学で教鞭を執りつつ、日中バイリンガルで著述・翻訳。藤原書店から『天安門事件から「〇八憲章」へ』(共著)、『「私には敵はいない」の思想』(共著)、『中国が世界を動かした「1968」』(共著)。『「友好」のエレジー』(共著)。集広舎から『「〇八憲章」で学ぶ教養中国語』(共著)、『永遠の時の流れに』(共訳)、『中国低層訪談録――インタビューどん底の世界』(編著訳)、『殺劫――チベットの文化大革命』(共訳)、『チベットの秘密』(編著訳)、『劉暁波伝』(編訳)、『牛鬼蛇神録――獄中の精霊たち』(共編訳)、『マオイズム革命』(編訳)、『私の西域、君の東トルキスタン』(監修・解説)、『不死の亡命者』(単著)。書肆侃侃房から『劉暁波詩集――独り大海原に向かって』(共訳)、『劉霞詩集――毒薬』(共訳)、『テンジン・ツゥンドゥ詩集――独りの偵察隊』(共訳)等。中国語の著訳書に『這条河、流過誰的前生與后生?』、『11封信――関於劉暁波的至情書簡』(共訳)等。
版元から一言
中華人民共和国の他民族に対する政策や今後の日中関係を理解するうえで貴重な一冊。中国語による原著は台湾では増補改訂版を重ねていますが、中国国内ではいまだに一度も実現していません。中国国内の出版関係者に本書の翻訳出版をつげたところ、「本書を中国国内で出版したら100万部のベストセラーは間違いない、ただし短くても10年の獄中生活を覚悟しないといけない」と告げられ、出版・言論の自由がない国家の怖さを思い知らされました。
限定発行部数850部の本書ですが、一人でも多くの日本の読者にご高覧頂き、中国国内でも本書原著が自由に出版できる日が訪れることを祈るばかりです。
上記内容は本書刊行時のものです。