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出版者情報
書物のエスプリ
- 書店発売日
- 2019年6月20日
- 登録日
- 2019年5月14日
- 最終更新日
- 2019年6月15日
紹介
「本も男も、“うらぶれ”がいい。――ことに男は。」
古典から新刊まで様々な本を切り口に、水、ブランド、モード、エロスなど著者ならではのテーマを横断的に語る「エッセイ篇」と、四半世紀にわたり各紙誌に寄せた約120本を集めた「書評篇」。時には書評の枠を逸脱しつつ、書物の世界を自在に逍遥する。
★単行本未収録論考集 最終第4弾!
本は女と思って選べ――そう言ったのはヴァルター・ベンヤミンである。「本と娼婦は、ベッドに引っぱりこむことができる」。
そういえばツルピカ新刊の女たちの並ぶ「ひら積み」台など、あられもない品のなさ。ごていねいに腰巻までして。こんな露骨な客寄せには冷ややかな一瞥を投げるのみ。ゆかしくも奥まった棚に足を運ぶ。そこにいるのは、立ち姿の「後ろ美人」たち。「本と娼婦は、陳列のときには、背中を見せることを好む」。
その女たちを、ベンヤミンはパリの街角やパサージュでひやかしていた。ジャズに浮かれる1920年代のパリ、この異郷者が愛したのは、そんな時の喧騒に忘れられたかのような、些細な歴史の痕跡の数々。カフェの片隅や広告など、大文字の歴史からこぼれ落ちた記憶の断片。
そう、遊歩者ベンヤミンは「断片」の人である。書物は断片を紡いだ織物なのだ。(本書より)
目次
Ⅰ 活字逍遥
1 書物の声
水のバロック/水の衣裳 シャネルの記憶/ブランドの記憶 誘惑者の肖像
パリ・イエスタディ ヴィクトリアン・ブラック 声のアクアティーク
モードの名前 ヴェネツィアふたたび
2 古典再訪
ベンヤミンの断片 鉄幹と晶子の歌 うらぶれの系譜 硬派本の愉しみ
アルセーヌ・ルパンの3冊 デフォー『ロビンソン・クルーソー』
Ⅱ 書物に抱かれて
1 文学・思想
2 歴史・社会
3 風俗・モード・性
収録書名索引
上記内容は本書刊行時のものです。