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ヨハン・ゼバスティアン・バッハ 比類なきオルガン芸術への道
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2026年6月30日
- 書店発売日
- 2026年6月26日
- 登録日
- 2026年5月15日
- 最終更新日
- 2026年6月19日
書評掲載情報
| 2026-08-08 | 毎日新聞 朝刊 |
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紹介
日本を代表するオルガニストが
「オルガンの巨匠、バッハ」の実像にせまる!
作品解説はウェブで聴ける著者自身の演奏と連動。
若き修業時代から晩年まで、生涯をつうじてオルガン作品に取り組みつづけたバッハは、同時代には傑出したオルガニストとして知られ、各地の楽器の鑑定をまかされるなど「オルガンの巨匠」として名をはせた。
バロック音楽を育んだヨーロッパとバッハが活躍した中部・北ドイツ諸都市の状況、ルターの思想や教会の基礎知識とともに、珠玉の作品の魅力と聴きどころを解説した本書は、バッハの生涯をオルガン作品をとおして描いた評伝&作品論の快著。
解説した楽曲や譜例はQRコードを掲載し、著者自身の演奏で聴くことができる。
目次
まえがき
凡例
関連地図
Ⅰ バッハのオルガン音楽を聴く
1 オルガンとその音楽
2 バッハの時代とその音楽
3 バッハとオルガン
Ⅱ ルターと音楽
1 キリスト教
2 キリスト教と音楽の関係
3 ルターと宗教改革
4 礼拝改革と音楽
Ⅲ バッハの生涯とオルガン
1 アイゼナハ[1685–1695|0–10歳]
2 オールドルーフ[1695–1700|10–15歳]
3 リューネブルク[1700–1703|15–18歳]
4 アルンシュタット[1703–1707|18–22歳]
5 ミュールハウゼン[1707–1708|22–23歳]
6 ヴァイマル[1708–1717|23–32歳]
7 ケーテン[1717–1723|32–38歳]
8 ライプツィヒ[1723–1750|38–65歳]
補章1──バッハと音楽修辞学
補章2──バッハのオルガン音楽を楽しむポイント
あとがき
オルガンのストップリストと音色
バッハ オルガン作品一覧・索引
人名索引
主要参考文献
前書きなど
まえがき
ヨハン・ゼバスティアン・バッハといえば、《小フーガ ト短調》BWV578など、まずパイプオルガン(以下、オルガン)の作品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし日本において、オルガンほど私たちの日常から程遠い存在の楽器も珍しいかもしれません。キリスト教の楽器というイメージから、どこか近寄りがたく、演奏会に足を運んでも「難しい」と感じられることも少なくありません。
一方、オルガンはバッハの音楽と人生の本質に深く根差しています。バッハのオルガン作品を理解することは、バッハの創作全体、さらには一七世紀から一八世紀のドイツ音楽の潮流、そしてその背後にある社会や宗教、思想までも見通すことにつながります。バッハは単なる「天才音楽家」ではなく、時代の波に翻弄されながらも音楽を通して自己を表現し続けた一人の職業人であり、ある意味では職人、そして芸術家であり、また信仰者でした。本書はそうしたバッハの人物像とともに、彼が何を考え、何に惹かれ、どのように生きたのかをたどることで、オルガン作品の魅力と意味に迫ろうとする試みです。
私が初めてオルガンに触れたのは、高校一年生のときのことでした。それまで「バッハの音楽」と聞いて思い浮かべていたのは、どこか堅苦しく退屈なものでした。その先入観を見事に打ち砕いたのが、オルガンの壮麗な響きと構築的な美しさでした。その後、様々な音楽に心惹かれながらも、結局戻ってくるのはいつもバッハのオルガン音楽でした。
その歩みの中で実感したのは、バッハの作品の驚くべき多様性です。とても同じ作曲家によるものとは思えないほど、スタイルや語法が異なり、演奏するだけでは味わい尽くせない奥深さがありました。私は、楽器・作品・様式に関する研究へと自然に引き込まれていきました。
本書は、バッハの生涯をたどりつつ、彼のオルガン音楽の魅力を読者とともに味わうことを目的としています。バッハ研究は、とりわけこの二〇年間で大きく変化しました。新資料や楽器研究の進展などにより大きく更新されており、本書でも二〇二四年に出版された、ゲオルク・B・スタウファー『バッハのオルガン作品』など、これまでと大きく異なるアプローチと最新研究の成果を随所に紹介しています。
最後に私が若い頃、深い尊敬と憧れを抱いていた日本のバッハ研究者たちのことを一つだけ記しておきたいと思います。留学から帰国後、皆川達夫先生を総監修に、礒山雅先生、小林義武先生、樋口隆一先生とともに三年間にわたりレクチャー・コンサートを行いました。ある打ち合わせの際、皆川先生が「バッハがオールドルーフからリューネブルクまで約三〇〇キロ歩いたとあるけど、東京からだとどこあたりだろうか」と問われました。バッハの旅を、東京からの距離感に引き寄せて話す、こうした「難しいことを、やさしく、そして楽しく伝える」姿勢こそ、今の私が目指す研究と発信の原点となっています。
本書が読者の皆さまにとって、バッハとオルガンの世界への新たな扉となりますように。
上記内容は本書刊行時のものです。
