書店員向け情報 HELP
書店注文情報
在庫ステータス
取引情報
vol.18 ピアノへの旅(コモンズ: スコラ)
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2021年7月24日
- 書店発売日
- 2021年7月24日
- 登録日
- 2021年6月17日
- 最終更新日
- 2023年12月10日
書評掲載情報
2021-09-11 | 毎日新聞 朝刊 |
MORE | |
LESS |
紹介
坂本龍一「音楽の学校(=schola)」、リニューアル第1弾!
プレイリストで楽しむ書籍として再始動。
ピアノ成立史のミステリーを追って、楽器と音楽の長い旅へ──
2008年にVol.1『J. S. バッハ』でスタートし、
2018年『ロマン派音楽』まで17巻(CDと本)をエイベックスから刊行してきた、
坂本龍一監修のユニークな音楽全集〈音楽の学校=コモンズ・スコラ〉。
このVol.18から、プレイリストで音楽を聴きながら読む書籍として生まれ変わります。
リニューアル第1弾のテーマは、坂本龍一がもっとも長く深く付き合ってきた楽器、ピアノ。
だれにでも正確で大きな音が出すことができて、「楽器の王様」とも呼ばれるピアノは、
ギターと並んで世界的にもっともポピュラーな楽器です。
私たちが慣れ親しんでいるタイプのピアノは、約300年ほど前、
18世紀初頭のイタリアでクリストフォリが作った楽器が元祖とされます。
では多くの弦とハンマーアクションを備えた鍵盤を押して音を出す、という
ピアノの基本的な仕組みは、いったいいつ、どのようにできあがったのでしょうか?
ピアノが生まれるまでの歴史をたどっていくと、
意外なほど多くの謎に包まれていることが分かってきます。
本書では、そのピアノ成立史のミステリーに挑むとともに、
工業化の粋を極めたピアノという楽器とその音楽の本質を
多彩な視点から縦横無尽に語り合います。
東日本大震災で出会った「津波ピアノ」に象徴されるように、
ピアノを不自由で儚い楽器ととらえ近代に抗う
坂本の楽器観・音楽観も浮き彫りになります。
ゲストに迎えたのは、ピアノよりさらに古い鍵盤楽器の成立史に詳しい研究者・上尾信也さんと、
中欧・東欧の芸術音楽、民族音楽がご専門でピアノをめぐる文化史にも造詣の深い音楽学者・伊東信宏さんのおふたり。
第1部は3人の鼎談。国立音楽大学の楽器学資料館で歴史的な鍵盤楽器に触れたあと(その模様はカラーで紹介)、紀元前のローマ、ギリシャやイスラム世界まで視野を広げて、ピアノ成立史のミステリーに挑みます。
後半の第2部は坂本☓伊東の対談。バッハからライヒまで、
坂本が慣れ親しんできたピアノ曲を聴きながら、
不自然で不自由で、そこがいじらしくもある楽器=ピアノの本質に迫ります。
対談のなかで取りあげた楽曲のCD音源ガイドを掲載するとともに
(伊東さんに加えて気鋭の音楽ジャーナリスト・小室敬幸さんも執筆)、
この巻からSpotifyとApple Musicにプレイリストをご用意して、
リンクQRコードでご案内します。
※〈コモンズ・スコラ〉は、坂本龍一総合監修のユニークな「音楽全集」。
音楽の洪水を泳ぐ指針として企画編纂され、2008年から18年まで17巻をエイベックスより刊行。
NHK教育テレビの番組(2010年)も好評を博しました。
目次
スコラ・シリーズとは ─ はじめに 坂本龍一
第1部[鼎談]ピアノへの旅
坂本龍一×上尾信也×伊東信宏
ピアノはどこからやってきたのか?
[カラー]鍵盤楽器の歴史を体験する─国立音楽大学楽器学資料館を訪ねて
ピアノをめぐる壮大で自由な旅へ
最初期の鍵盤楽器 ─ 水力オルガン「ヒュドラウリス」
「叩く」「引っ掻く」から「止める」へ
金属を鍵盤で鳴らす ─ カリヨンとクラヴィチンバルム
金属加工と機械技術の結晶
チェンバロとクラヴィコード、どっちが先?
12音音階はいつ、なぜ生まれたか?
ピアノが世界に広まった理由
ヨーロッパ的な発想としての鍵盤
自分の耳で音を、響きを聴くこと
規格化された耳をひらく
正統化と合理性 ─ スイッチとしての鍵盤
自然に戻るピアノ
グールドとクラヴィコード
音の消えていくところを聴く
音律と時間の統一
ピアノの起源はアラブだった?
第2部[対談]
静かで弱い音楽へ ─ 近現代のピアノ曲を語る
坂本龍一×伊東信宏
坂本龍一選曲リスト
「響き」への関心
原点は〈テル・ミー〉
「ピアニストになろうと思ったことはないんですよ」
練習で弾く曲
調律をやめたスタインウェイ ─ ノイズとテンポ
ショパンのゆらぎ
グールドはなぜ歌うのか?
リストとグールドが弾いたチッカリング
グールドとダリと『裸のランチ』
晩年のホロヴィッツ
聴きながら弾く、聴くために弾く
雲の流れのような音楽
ドビュッシーが弾いたブリュートナー
モーツァルトは扱いにくい
永遠に持続する音への憧れ
ピアノならではの響きの良い音楽
無時間の音楽
即興楽器としてのピアノ
リズム楽器としてのピアノ
調律できない不便な楽器
歌とピアノ
楽譜と首っ引きで聴いたベートーヴェンの協奏曲
神がかってる《ジュピター》と未完の恐怖
減衰への抗いの歴史
弾かないピアニスト
津波ピアノ ─ 崩壊と喪
不自由で儚いゆえのいじらしさ
プレイリスト
音源(CD)ガイド 伊東信宏・小室敬幸
著者プロフィール
参考文献
上記内容は本書刊行時のものです。