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音楽用語の基礎知識
これから学ぶ人のための最重要キーワード100
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年3月31日
- 書店発売日
- 2019年3月28日
- 登録日
- 2019年2月27日
- 最終更新日
- 2020年4月10日
重版情報
2刷 | 出来予定日: 2020-03-26 |
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紹介
これ1冊で全部がわかる!
学ぶ人、教える人、聴く人、演奏する人──
あらゆる音楽人が身につけるべき教養を豊富な譜例と図版でわかりやすく解説。
大好評のロングセラー『キーワード150 音楽通論』がスリムになって再登場!
楽典、和声、楽式、分析、音楽史などあらゆる分野を1冊に網羅。
クラシック音楽だけでなく、ポピュラー音楽、民族音楽、日本音楽まで全ジャンルをカヴァーし、
音楽学の諸分野や音楽と社会とのかかわりにも目配りした新時代の音楽事典。
●この本の特色
・各章は学びやすく整理・分類され、体系的な学習が容易に。
・さまざまな知識が問われる教員採用試験の参考書として最適。
・「参照キーワード」へスキップすれば、関連知識も効率よく習得。
・気になる用語や人名は索引で検索。事典としての使いやすさも追求。
・第一線で活躍する気鋭の執筆陣が、最新の研究成果をここに結集。
目次
はじめに──音楽の「学びほぐし」のために(久保田慶一)
[01]音楽の基礎を学ぶ
音
音律
諸民族の音楽の音律
平均律
[02]世界の音楽を知る
ワールド・ミュージック
民族音楽
朝鮮の音楽
中国の音楽
東南アジアの音楽
インドの音楽
アフリカの音楽
中近東の音楽
ヨーロッパの民俗音楽
[03]ポピュラー音楽を知る
ポピュラー音楽
アフリカ系アメリカ音楽
ジャズ
ロック音楽
[04]音楽を記録する
記譜法の歴史
諸民族の音楽の記譜法
記譜法(現代)
省略記法
発想記号
[05]楽器を奏でる
楽器分類法
弦楽器
木管楽器
金管楽器
打楽器
鍵盤楽器
自動楽器
電子楽器
[06]音楽のしくみを知る
音程
音階
協和・不協和
旋法
和音
調・調性
和声法
非和声音
旋律
対位法
リズム
拍・拍節・拍子
韻律
通奏低音
近代和声
無調(性)
十二音技法
多調性
日本音楽の理論
[07]音楽をかたちづくる
2部形式・3部形式
ソナタ形式
ロンド形式
カノン
フーガ
変奏曲
循環形式
[08]音楽を分析する
音楽と理論
音楽分析
和声分析
様式分析
シェンカー分析
実態分析と機能分析
修辞学的分析
[09]音楽を分類する
ミサ曲
オペラ
バレエ音楽
カンタータ,オラトリオ,受難曲
歌曲
協奏曲
交響曲
舞曲・組曲
ソナタ
[10]音楽を伝える
オーケストラ
室内楽
鍵盤音楽
合唱
吹奏楽
電子音楽
[11]音楽の歴史を知る
音楽と歴史
ギリシア時代の音楽
ヨーロッパ中世の音楽
ルネサンス音楽
バロック音楽
前古典派の音楽
古典派の音楽
19世紀の音楽
20世紀前半の音楽
20世紀後半の音楽
日本の洋楽
日本の現代音楽
[12]日本の音楽を知る
雅楽
声明
能楽
浄瑠璃
歌舞伎
箏曲
尺八
三味線
現代邦楽
日本の民俗芸能
事項・人名索引
執筆者一覧
前書きなど
はじめに
──音楽の「学びほぐし」のために──
日本をはじめとする先進諸国において,21世紀は「知識基盤社会(knowledge-basedsociety)」の時代になるといわれて久しい。原材料が加工されて物品となり流通する工業化・商業化の時代にかわって,新しい知識・情報・技術が,政治・経済・文化をはじめ、社会のあらゆる領域での活動の基盤として,飛躍的に重要性をます社会になるという。このような「知識基盤社会」では,知識に国境がないことから,社会のグローバル化がいっそう進み,知識はたえず更新され,競争と技術革新もたえずおこなわれる。そのために,経験にもとづいてではなく,はばひろい知識と柔軟な思考力にもとづいて判断することが求められる。このような社会においては,民族や国籍,さらに性別や年齢も問われることがない。日本のIT企業の現場で,優秀なインド人や中国人の技術者が働いている現実をみるだけでも,知識基盤社会がどのような姿となって私たちの前に現れてくるのかを想像することはたやすい。
このような時代にあって,私たちはこれまでの知識のなかに,つねに新しい知識を組みこんでいかなくてはならない。このような学習を「アンラーン(unlearn)」とよび,日本語では「学びなおし」とか「学びほぐし」とも訳される。本書は,みなさんがこれから音楽にかんする新しい知識を吸収していくための,その基本となる知識を提供するものである。もちろん,すでに慣習となっている説明もあるが,知識のすべてが古びてしまうわけではない。「学びほぐし」とは,知識をリセットして入れ替えるだけでなく,慣習となった理解をより深く認識しなおすことでもある。
本書は2009年にアルテスパブリッシングから出版した『キーワード150 音楽通論』をよりスリムにしてリニューアルしたものである。旧版から「09.音楽を演奏する」「14.音楽を考える」「15.音楽を研究する」「16.音楽を教育する」「17.社会から音楽を見る」の5章、項目数にして53項目を削除し、その5章中から「音楽と理論」、「音楽と修辞学」(項目名を「修辞学的分析」に変更)、「音楽と歴史」の3項目を再録し、結果として100のキーワードをこの新版では採用している。
内容的に見ると、旧版にあった音楽学、音楽美学、音楽教育学、音楽社会学、演奏論に関係する5章が削除され、新版ではより実用的あるいは実践的な内容の章が残されたことになる。旧版のタイトルにあった「音楽通論」という言葉が消えた理由もここにある。
このように旧版をよりコンパクトにして、実用的・実践的な内容に絞りこんだことで、読者の方々が本書を利用するさいの利便性は大いに向上したものと思われる。旧版同様に、大いに活用してもらいたい。
目次をざっと見ていただければわかるように、本書は、現代の日本において必要とされる音楽にかんする知識、考え方、用語などを解説したものである。音楽高校や音楽大学で音楽を専門的に学ぶ人だけでなく、音楽愛好家の方々が音楽的教養を深め、日常の音楽経験の質を高めていくのに役立ちそうなキーワードが100項目選ばれている。それぞれの説明のなかに、さらに関連する用語が説明されているので、本書から得られる知識はたいへんな量になるだろう。
なお、作曲家や演奏家の生涯や創作活動には、ほとんど触れていない。これらについては、大きな音楽事典や人名事典を参照していただければよいだろう。
◉本書の使い方
音楽にかんしてとにかく広く学びたいという方は,第1章から順に読んでもらえばいいだろう。もちろん関心のない章は読みとばしてもらってもよい。とにかく,章の順番に読んでいけば,音楽全般について体系だった知識が得られるだろう。
また,各キーワードの解説の末尾には,参照すべき他のキーワードとページ数が記されているので,そこにスキップするのもよいだろう。ひとつのキーワードに,別な角度から光があたることが実感できるはずだ。ただし,同じ章に収められたキーワードどうしはそれぞれに関連しているので,とくに参照キーワードとしては挙げていない。そのため,まずはその章全体を読んでから,新しい章の項目にスキップすることをお薦めする。スキップした先でも,その章全体に目を通したほうがよいだろう。
それ以外に,本書を音楽事典として利用する方法もある。巻末の索引には,100のキーワードのほかに,文中で簡単に説明されている用語や作曲家などの人名が立項されている。気になった用語は,まずこの索引で検索してみるといいだろう。
「ネットサーフィン」するような感覚で,本書をさまざまな角度から読み,音楽について広く,深く知ってほしい。
◉本書が対象とする読者
本書は,音楽大学などで音楽を専門に学ぶ人に,最低限これだけは知っておいてもらいたい内容をもりこんである。音楽史や和声などの授業の参考書としても利用してもらえればさいわいである。どんな分野においても,専門教育が目的とするのは,専門分野の技能を身につけるだけでなく,専門用語を用いて同じ分野の人とコミュニケーションができるようになることである。すなわち,技能(skill)と知識(knowledge)を習得することなのである。
また小学校教員や中学校・高等学校の音楽科教員をめざす方,またすでにこれらの職についておられる方には,受験勉強の参考書やふだんの授業のネタ本として,活用していただいてもよいだろう。
そして音楽愛好家やアマチュアの合唱団やオーケストラで,趣味として音楽を楽しんでおられる方には,音楽教養のアップに役立てていただければさいわいである。
本書を作成するにあたっては,同僚や仲間,教え子に協力をねがった。本書は多くの人々の知恵の結晶といえるだろう。また,株式会社アルテスパブリッシングの木村元さんをはじめ,編集・制作にたずさわったスタッフの方々にはご苦労をかけた。ここに感謝の意を表したい。
日本の音楽界が今後,広く,豊かに成長することを願って。
2019年1月 東京
久保田慶一
上記内容は本書刊行時のものです。