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裏声歌手の モンテヴェルディ偏愛主義 彌勒 忠史(著) - アルテスパブリッシング
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Booksウト

裏声歌手の モンテヴェルディ偏愛主義 演奏・演出の現場から見た《オルフェオ》《ウリッセ》《ポッペア》《ヴェスプロ》

四六判
240ページ
並製
価格 2,200円+税
ISBN
978-4-86559-187-3
Cコード
C1073
教養 単行本 音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2018年6月
書店発売日
登録日
2018年5月31日
最終更新日
2018年9月3日
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紹介

生誕450+1年!
モンテヴェルディが創り上げたバロック・オペラの世界は、こんなにも意味深&抱腹絶倒だった!
4つの代表作を知り尽くすカウンターテナー歌手が、その魅力と聴きどころを思い入れたっぷりに紹介する!

《オルフェオ(L’Orfeo)》(1607)
  世界最古のオペラ/オルフェオ伝説と日本神話/悲劇か大団円か ほか

《聖母マリアの晩課(Vespro della Beata Vergine)》(1610)
  超絶メリスマ&エコー/わらべ唄と三拍子/頑張れコルネット! ほか

《ウリッセ 祖国への帰還(Il ritorno d’Ulisse in patria)》(1641)
  英雄譚のはずが「人間の儚さ」?/お笑いネタは大食いおデブちゃんにおまかせ ほか

《ポッペアの戴冠(L’Incoronazione di Poppea)》(1642/43?)
  ケルビーノの原型?/キング・オブ・ドゥエット/《ポッペアの戴冠》は不道徳なオペラ? ほか

バロック音楽の時代を切り開いた巨匠モンテヴェルディの4つの代表作を、歌手・演出家ならではの視点から徹底解説する。

目次

はじめに

 裏声歌手がモンテヴェルディを偏愛するわけ
 クラウディオ・モンテヴェルディの生涯
 モンテヴェルディ作品を演出する
 「演出ノート」のようなもの~オペラを楽しむためのお手伝い
 《オルフェオ》演出ノート
 《ウリッセの帰還》演出ノート雑記
 《ポッペアの戴冠》演出ノート
 日本の伝統芸能とオペラ
 本書の楽しみ方について

オルフェオ(L’Orfeo)

 裏声歌手はいかにして西洋音楽史を攻略したか
 カメラータとオペラの誕生
 世界最古のオペラ
 オーケストラの原点でもあった《オルフェオ》
 プローロゴと「音楽」
 オルフェオ伝説と日本神話
 オルフェオの物語
 エウリディーチェの死
 妻を取り戻しに冥界へ
 音楽の力で冥界王夫妻を説得
 けっして振り向いてはならぬ
 悲劇か大団円か
 異なる結末

聖母マリアの晩課(Vespro della Beata Vergine)

 古本と廉価盤
 〈二人のセラフィム〉と分身の術
   《聖母マリアの晩課(Vespro della Beata Vergine)》
 二つの音楽様式
 モノディーによる〈私は黒いが美しい〉
   〈主は私の主にいわれた(Dixit Dominus Domino meo)〉
   〈褒め讃えよ 主のしもべたちよ(Laudate, pueri Dominum)〉
   〈あなたは美しい 私の愛しい人よ(Pulchra es amica mea suavis)〉
   〈私は喜んだ(Laetatus sum)〉
 ロム・アルメとともに
   〈主が家を建てられるのでなければ(Nisi Dominus)〉
   〈お聞きください 天よ 私の言葉を(Audi coelum verba mea)〉
 超絶メリスマ&エコー
   〈めでたし海の星よ(Ave maris Stella)〉
 わらべ唄と三拍子
 Ave maris Stella の変奏
   《マニフィカート(Magnificat)》
 頑張れコルネット!
 エコーについて

ウリッセ 祖国への帰還(Il ritorno d’Ulisse in patria)

 トロイア戦争と《イドメネオ》
 漂流のヒーロー、ウリッセ(オデュッセウス)
 英雄譚のはずが「人間の儚さ」?
 民衆に開かれた劇場で育つオペラ
 順次進行のバス旋律が導き出すドラマとは
 バロック・オペラにおける神々と人間の交流
 お笑いネタは大食いおデブちゃんにおまかせ
 ヘンツェによる再構成版《ウリッセ 祖国への帰還》
 《タンクレーディとクロリンダの戦い》から続くバッタリアの表現
 愛の二重唱と大団円

ポッペアの戴冠(L’Incoronazione di Poppea)

 モンテヴェルディの一番人気オペラ
 世界は愛で動いている
 盲目のぼうずとハゲの女?
 皇后のラメント
 小姓(コショウ)でドラマにスパイスを
 「愛している」のか「欲しい」のか
 ケルビーノの原型?
 乳母とアモーレに守られて
 お笑い担当の存在
 さらばローマといおう
 キング・オブ・ドゥエット
 《ポッペアの戴冠》は不道徳なオペラ?

あとがき
参考文献
本文掲載写真撮影/モンテヴェルディ作品 上演記録

前書きなど

はじめに

裏声歌手がモンテヴェルディを偏愛するわけ

 モンテヴェルディが好きだ。
 もちろんマレンツィオもフレスコバルディもメールラもヴィヴァルディもスカルラッティも好きだ。ルネサンス&バロックに限らなければ、ロッシーニもヴェルディもプッチーニも大好きだ。そして小学校の音楽室には、なぜゲルマン限定なのかいつも首をかしげるところではあるが、西洋音楽史における偉人として肖像画がかけられている、バッハもヘンデルもモーツァルトもベートーヴェンもシューベルトもシューマンも好きだ。ブリテンやメノッティなど近現代にもお気に入りの作曲家はたくさんいる。それでもなお、特にモンテヴェルディが好きであると公言してはばからないのは、ひとえに彼の作品の持つ魅力にハートを鷲摑みにされているからだ。そして、それは聴衆としてというより、演奏者としてかぎりない敬意を感じているからかもしれない。
 筆者はカウンターテナー歌手である。「テノールに対して高い」という意味を持つ声部のラテン語名「コントラテノール・アルトゥス(contratenor altus)」の前半部分が英語読みされると「カウンターテナー(countertenor)」となる。それがいつのまにやら、テノール、バスといった他の声部同様に声種の名前となり、特にファルセットとよばれる〝裏声〞で歌う男声(男性)歌手一般をさす名詞となった。ひと口にカウンターテナーといっても、じっさいには、女声のソプラノ、メゾソプラノ、アルトに相当するさまざまな声域の歌手が含まれており、ひと括りにするのは少々乱暴な話だ。最近ではソプラノの声域を歌える男声ファルセット歌手を、「ソプラニスタ」とよぶこともある。
 レパートリーは、倫理的な理由から姿を消したカストラート、つまり変声前の少年に去勢手術をほどこすことで、成長してからも女声の声域を歌えるようにした歌手たちのそれを継承していることが多い。そのため、カストラートが大活躍をしていた一八世紀以前の楽曲、つまりルネサンス、バロック、古典派の音楽に活躍の場を見出すことになる。また、たとえばブリテン《夏の夜の夢》のように、最初からカウンターテナーのために書かれた現代作品ももちろん歌う。
 そんなわけで、カウンターテナーである筆者とモンテヴェルディの作品との出会いは宿命であったともいえる。日本の音楽大学を卒業したのち、イタリアでオーディションを受けては歌う機会を少しずつ増やしてきたのだが、その中に最小限の器楽と一〇~一一人のソリスト歌手だけで、モンテヴェルディの《聖母マリアの晩課》をすべて演奏するという仕事があった。くわしくはのちほど別章で述べるが、一七世紀初頭のありとあらゆる様式が盛り込まれ、絶妙なバランスで調和し、ものすごい色彩を放つ巨大なミサ曲に、駆け出しのカウンターテナーは魂を奪われてしまうような感覚を覚えた。そしてこのとき、歌手になる前に偶然購入したCDでこの傑作と出会っていたことに気づき、運命のいたずらに驚いたものだ。その後もソロの声楽作品からマドリガーレ、宗教曲、オペラと、さまざまなジャンルにわたってモンテヴェルディの作品を演奏する機会にめぐまれたことで、彼の作品はすっかり筆者のレパートリーの大きな位置を占めるようになった。(以下略)

著者プロフィール

彌勒 忠史  (ミロク タダシ)  (

カウンターテナー歌手。平成24年度(第63回)芸術選奨文部科学大臣新人賞(音楽部門)をカウンターテナーとして史上初めて受賞。千葉大学卒業。同学大学院修了。東京藝術大学声楽科卒業。国内外のオペラ・コンサート、テレビ朝日「題名のない音楽会」、NHKラジオ「まいにちイタリア語」などのテレビ・ラジオ番組に出演。CDに『No early music, No life?』(OMF/朝日新聞推薦盤)など。著書に『歌うギリシャ神話──オペラ・歌曲がもっと楽しくなる教養講座』(アルテスパブリッシング)、『イタリア貴族養成講座』(集英社)など。NHK語学テキスト『テレビでイタリア語』『ぶらあぼ』『教育音楽』等に連載寄稿。イタリア国立G.フレスコバルディ音楽院講師、東京藝術大学音楽学部声楽科教育研究助手を経て、現在、放送大学、学習院生涯学習センター非常勤講師。在日本フェッラーラ・ルネサンス文化大使。日本演奏連盟、二期会会員。男声ユニットLa Dillリーダー。日本音楽コンクール、東京音楽コンクールなどの審査員。2016年、佐渡裕指揮《夏の夜の夢》では主役のオベロンを、市川海老蔵特別公演《源氏物語》では歌唱および洋楽アドバイザーを務めた。

上記内容は本書刊行時のものです。