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クレオール・ニッポン
うたの記憶を旅する
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2014年12月
- 書店発売日
- 2014年12月15日
- 登録日
- 2014年12月16日
- 最終更新日
- 2016年2月16日
重版情報
2刷 | 出来予定日: 2015-04-10 |
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紹介
“うたう旅人”松田美緒が、自ら探し求めた伝承曲に新たな生命を吹き込んだニュー・アルバム+書籍(CDブック)『クレオール・ニッポン──うたの記憶を旅する』をリリース!
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日本の多様な原風景を探し求めて、
祖谷(いや)、伊王島、小笠原からブラジル、ハワイへ──
うたをめぐる壮大な旅が、いま始まる。
ラテン諸国と日本をつなぐ新世代のシンガー・松田美緒が自ら掘り起こした日本の伝承曲に取り組んだニュー・アルバム『クレオール・ニッポン──うたの記憶を旅する』。本人書き下ろしによる各曲にまつわるストーリーを収めた書籍とともに初のCDブック仕様でお届けします。
このCDブックは、松田美緒が近年取り組んでいるコンサート・プロジェクト「にほんのうた」の成果をかたちにしたものです。
CDには彼女が各地で出会った日本の知られざる民謡やブラジル日系移民の歌など14曲を収録。徳島県の山村・祖谷(いや)、隠れキリシタンが住んだ長崎県の伊王島、太平洋の小笠原諸島父島、あるいは福島県の相馬、福岡県の行橋、さらには多くの日本人移民が暮らすハワイやブラジルなどで地元の人々に歌い継がれていた知られざる名曲たち──そこには、遠く海を越えて世界とつながる多様な日本の物語が息づいています。
ピアノ、パーカッション、ウッドベースというシンプルな編成による洗練されたサウンドとアレンジによって、新しい生命を吹き込まれた日本のうたをご堪能ください。
A5サイズの本には、収録曲の歌詞とともに、私たちが忘れてしまった“うたの記憶”を1曲1曲探して歩いた旅の記録と、その歌を継承してきた人々との出会い、各曲の背景や歴史などを、松田美緒自らが書き下ろしたエッセイ14本を収めています。雑誌『クウネル(ku:nel)』のアートディレクター有山達也がイメージの膨らむブックデザインに仕上げました。
目次
歌を追い求めて出会った「多様な日本」──はじめに
■山のうた
1 山子歌──秋田県鹿角市
山に祈る
2 木びき唄──徳島県三好市西祖谷
雲の上でうたう
3 木負い節(ヨイヤラ節)──徳島県三好市西祖谷
からうた姫の里
■伊王島のうた
4 花摘み歌──長崎県・伊王島
がばろす島/キリシタンの隠れ里
5 アンゼラスの歌──長崎県・伊王島
聖母マリアにうたう
6 こびとの歌──長崎県・伊王島
100年前の音楽劇
■海のうた
7 原釜大漁歌い込み──福島県・相馬市
船乗りたちの聖なる歌
8 トコハイ節──福岡県・行橋市
瀬戸の海の道
■南洋のうた
9 レモングラス──小笠原諸島父島~ミクロネシア
母なる南洋のうた/カーボヴェルデから小笠原へ
■移民のうた
10 移民節──ブラジル
ブラジルに渡った宮城県人の心の詩
11 子牛の名前──ブラジル
バイオンのリズムに乗って
12 五木の子守唄(ブラジル版)──熊本県五木村
「えらかお方」よ、この詩をきけ
13 ホレホレ節──ハワイ
サトウキビ畑に響く哀しみ
コラム「海の彼方に幸ありと~ブラジル移民」
コラム「ハワイの文化を培ったサトウキビ畑」
■エピローグ
14 祖谷の草刈り節──徳島県三好市西祖谷
歌に出会い、人に出会う
前書きなど
歌を追い求めて出会った「多様な日本」──はじめに
日本人はどんな歌をうたってきたんだろう。それを知りたくて、数年前から「日本のうた」と題してライヴとフィールドワークをはじめた。
これまで、ポルトガルやカーボヴェルデ、ブラジルなど世界のいろいろな土地に根付いた歌に出会い、魂をゆさぶられ、レパートリーに加えてきた。そのなかには作者不詳の民謡がある。名もない人々によって歌われ、時を経るうちに磨きぬかれ、歌い継がれてきた歌。そこにこそ、土地の人々が大切にしてきた魂があると思う。そうした歌は、地域的(ローカル)でありながらも普遍的(ユニバーサル)で、人類のDNAのように深いところで結びついている。
そんな歌を日本という土地でもみつけたい。漠然とした思いで始めた歌探しの旅は、思いもよらぬ発見と出会いの連続だった。日本にこんな人がいる、日本にこんな歌がある。人の記憶のなかですら消えかけていた日本各地の歌は、あまりにも多様だった。そして、あまりにも魅力的だった。
その多様性をあらわすために「クレオール」という言葉を使いたい。「クレオール」という言葉は、もともとアメリカ大陸や西インド諸島、アフリカの旧植民地生まれの人々、混じり合った文化、言語のことをあらわす。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)がクレオールの国で短編集『クレオール物語』を記し、やがておなじ愛情深いまなざしを日本を向けたように、これにもっと広義のイメージをくわえたい。混在し、拮抗し、融和するルーツ、混じり合った血、そこからはじまる新しい創造の次元として。遥か昔から何通りもの道を通って来た人たちが混ざり合ってできたこの日本で、豊かな地域性こそがクレオールであり、そこから歌が紡ぎだされる。
祖先の生活を受け継ぐ人たちの日本、海のむこうの文化と融合する日本、世界に出て行った人たちの日本……その風景はさまざまだが、これらの歌のどれをとっても、日本の人びとが自然と共にある暮らしのなかで歌をうたっていた時代を憶えている。歌をめぐる物語から、多様な日本がみえてくる。
「クレオール・ニッポン」の旅へ、ようこそ。
上記内容は本書刊行時のものです。