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新しい観光学
観光とリゾート、そしてオルタナティブ・ツーリズム
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年11月10日
- 書店発売日
- 2024年10月31日
- 登録日
- 2024年10月25日
- 最終更新日
- 2024年11月5日
紹介
少子高齢化に消滅自治体、東日本大震災やコロナ禍に象徴される自然災害の数々。
大きく変わりつつあるわが国の姿を背景に、いま、観光そのものも多様化し、変容しつつあると言われて久しい。
転換点にある観光の姿を「観光」「リゾート」「オルタナティブ・ツーリズム」の視点から見直したとき、
都市にできること、農山魚村にできること、それぞれの地域のめざすべきあり方が見えてくる──。
オーバーツーリズム問題やIRの可能性、グリーンツーリズム、ワーケーションやブリージャーなど、
近年の大きな話題を深く理解するために、基礎知識編、歴史編、展開編に加えて、今後の課題と方向性を提示。
多数の図表や事例を用いて具体的に語り、主要出来事年表も備えた、これからの観光に携わるすべてのひとのための教科書。
目次
はじめに
基礎知識編
第一章 今なぜ観光か?
第二章 観光の概念の拡がり
歴史編
第三章 近世以前の観光日本史
第四章 近代の観光日本史
第五章 戦後の観光日本史
展開編
第六章 都市でのオルタナティブ・ツーリズムの展開
第七章 農山漁村でのオルタナティブ・ツーリズムの展開
今後の課題と方向性編
第八章 持続可能な観光振興に向けての課題と方向性
年表/参考文献
おわりに
前書きなど
はじめに
本書は放送大学教科書「観光の新しい潮流と地域」をベースにしたものである。しかしながら、放送後十年以上の月日が流れ、わが国は、東日本大震災、コロナ禍を経験し、世界では度重なる自然災害、平和の揺らぎが起こり、観光面でも増加し続ける国際旅行客、世界各地で起きているオーバーツーリズム問題など、観光をとりまく環境、観光そのものの様態も大きく変わりつつある。そのため、本の構成を始め、多くの章節が書き下ろしに近い内容となっている。
本書の特徴は、わが国の歴史を遡り、観光の成立と展開を、観光、リゾート、そしてオルタナティブ・ツーリズムに分けて論じている点にある。
本書のタイトルを「新しい観光学」とし、特に、オルタナティブ・ツーリズムに焦点を当てたのは、旧来の「観」せるべき「光」やその「観」せ方が、前書を書いているときにもまして、近年、大きく変わってきたという筆者の実感があるからである。この新しい観光スタイルは、持続可能な観光、サスティナブル・ツーリズムという表現も含め定着しつつあるように思える。
たしかに、多くの地域で、地域の「光」の発見・再認識は、地域の「誇り」を創造し、「魅力」を求める観光客との「交流」を産出し、住民の「生活の質」の向上へとつながっていくという理想的プロセス論については浸透しつつあり、耳にすることも多くなった。しかしながら、未だ、観光の歴史の中で、あるいは観光学の中で位置づけられた論になっているとは言い難いのが現状である。そこで本書では、大学でのさまざまな研究から得られた知見を混じえながら、理想的私論ではなく、二十一世紀の社会に必然的に生まれた普遍的な学としてできる限り記述してみようと試みている。
第一章、第二章では、これまで観光に関わってこなかった読者の方々のために、本書を読み進める基礎知識を提供している。第三、四、五章では、わが国の観光の歴史を辿ることで、ツーリズムからマス・ツーリズムへの拡がり、リゾートという別の観光スタイルの持つ意義、さらにはオルタナティブ・ツーリズムが登場してきた背景などについて論じている。リゾートについては、これからの日本社会にとって必要不可欠な観光スタイルであることを本書では強調している。第六、七章では、オルタナティブ・ツーリズムについて、特に着目し、便宜的に都市と農村に分けて、登場する必然性やそこで展開されているコンテンツについて紹介している。最後に、現代社会の中で、三つの観光スタイルが持つ課題と目指すべき方向性について、筆者なりの考えを提示している。
なお、できる限りデータ等を更新し、最新の状況を採り入れて記述したつもりではあるが、筆者の不勉強により最新とはなりきれてない箇所もあるかもしれない。そのあたりは、今後の訂正を前提にお許し願いたい。
本書をきっかけに、多くの地域で、多くの方々が、観光に興味を示し、観光のあり方や観光への取り組み方について、議論していただければ、拙い私論を提示した筆者にとって望外の喜びである。
(まえがきより)
上記内容は本書刊行時のものです。