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博学者
知の巨人たちの歴史
原書: The Polymath: A Cultural History from Leonardo da Vinci to Susan Sontag
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2024年6月28日
- 登録日
- 2024年6月18日
- 最終更新日
- 2024年8月19日
紹介
「全知全能の情熱が世界を動かした」
レオナルド・ダ・ヴィンチからスーザン・ソンタグまで。
情報量の爆発的増加、知識の断片化、押し寄せる専門家の波ーー
幾度の危機を乗り越え、いかに博学者は生き残ったか。
文化史家の重鎮ピータ・バークが、15世紀から21世紀の西欧で活躍した約500人の伝記を検証し、知識の社会的な動向を記した大著。
知ることに取り憑かれた者たちの肖像と、その大いなる冒険。
・哲学という語を創造した最古の博学者ピュタゴラス
・万能なのにいつも仕事は未完のレオナルド・ダ・ヴィンチ
・華やぐ宮廷でニュートンを翻訳したシャトレ侯爵夫人
・中国のライプニッツと賞賛された博識の沈括
・透視図法の初目いだけでなく何でも知っていたブルネレスキ
・哲学者デカルトが家庭教師をしたクリスティーナ女王
・生涯独身であらゆる知識に通じた修道女フアナ
・万余の文通で知識を得たペーレスク
・経済学だけでなく文藝や天文学史を著述したアダム・スミス
・スーザン・ソンタグは博学にして批評家
目次
序文と謝辞
序章 博学者とは何か
さまざまな定義/修養分野/目的と方法/博学者の類型/博学者の神話
第1章 東洋と西洋
ギリシア人たち/ローマ人たち/中国/中世ヨーロッパ初期/イスラム世界/中世盛期
第2章 ルネサンス的教養人の時代 一四〇〇-一六〇〇年
普遍性という理想/普遍性の神話/行動と思想/学者たち/
統一と調和/芸術家と技術者/レオナルド/ルネサンス女性
第3章 「博識の怪物たち」の時代 一六〇〇-一七〇〇年
博学者の時代/女性の博学者/博学者の言語/百科事典編者としての博学者、アルシュテット/汎知主義者としての博学者、コメニウス/博識の怪物たち/蒐集家としての博学者、ペーレスク/
スコラ哲学者の博学者、カラムエル/憂国の士としての博学者、ルドベック/汎知主義者としての博学者、キルヒャー/批評家としての博学者、ベール/総合家としての博学者、ライプニッツ/二流の博学者たち/調和/独創性 vs. 剽窃/黄金時代を解きあかす/知識の危機/情報過多/断片化/砲火を浴びる博学者たち/レオナルド症候群
第4章 「文人」の時代 一七〇〇-一八五〇年
十八世紀/衒学者と物知り/新しい理想/文人/女性の文人/フランス啓蒙主義/スコットランド啓蒙主義/イギリス啓蒙主義/スペインからロシアへ/新世界/イギリス/ドイツ/体系家/生き延びる文人/フランスの批評家/イギリスの批評家/新たなる女性の文人/科学者/ドイツの科学者/イギリスの科学者/新たな危機に直面して
第5章 縄張り意識の時代 一八五〇-二〇〇〇年
冬の時代の博学者/量の超過/専門化/制度の分離/博物館、学会、会議/専門雑誌/二つの文化/共同作業/大学の細分化/専門化を説明する/専門化が問題となる/博学者、生き残る/消極型博学者/批評家たち/密集型博学者/新しい専門分野/社会科学/社会学/心理学/人類学/コンピュータ科学/一般システム/記号論/六人の移行型博学者/巨人なのか詐欺師なのか?
第6章 博学者集団の肖像
好奇心/集中力/記憶力/スピード/想像力/エネルギー、精力/落ち着きのなさ/勉強/時間を計る/競争/遊びの要素/ハリネズミと狐/レオナルド症候群
第7章 生育環境
労働倫理/ヴェブレン問題/教育/独立/強制された余暇/家族/ネットワーク/宮廷と後援/学校と大学/専門分野/図書館と博物館/百科事典と雑誌/共同研究
第8章 学際性の時代
半公式の協定/知識の統一の理論と実践/大学における学際的研究/総合教育/政府の役割
地域研究/新しい大学/雑誌と研究所/学際的な歴史/野心 VS.慎ましさ
終章 第三の危機に向かって
訳者解説
索引
原註
さらに読みたい人のために
補遺 西洋の博学者500人
口絵図版出典
前書きなど
「博学者は歴史のなかで冷遇されている」と言われてきた。「ある者は忘れ去られ、多くはわれわれが分かるような部類に無理に押し込められている」。これから幾度も述べることになるけれども、博学者はその多彩な偉業のうちのほんの一つかそこらでしか人の記憶に残らない。今こそ、この偏ったあつかいをただす時だろう。実際のところ、専門家文化にあらがって、個々の博学者について近年多くの研究が積み重ねられており、その数は増えつつある。私はこれまでこれらの論文の多くを、感謝の念を抱きつつ利用させて頂いた。その中にはレオナルドやライプニッツのような知の巨人ばかりでなく、デュモン・デュルヴィルやウィリアム・リーズの如き半ば忘れられた人物も含まれる。だが博学者全般をあつかった研究を見つけるのは容易でない。確かに研究の数は増えてはいるけれど、専門誌やラジオ番組でほんの少し扱われるくらいである。
本書では博学者全体を見わたす試みを行なうが、知識の文化史および社会史の方法を用いる。実践的なものであれ理論的なものであれ、知識のいかなる形態についてもそれぞれの歴史が書かれて然るべきだと思う。狩猟採集民たちは生き残るために広汎な知識を必要としたが、その一方で、自身が博学者でもある地理学者フリードリヒ・ラッツェルの言葉を借りれば、農民たちは「多芸多才」であることが賞賛された。職人、助産婦、商人、支配者、音楽家、サッカー選手など他の多くの人びとは、誰か突出して優れているものがいるような、分野ごとの知識を必要としたし、もってもいた。「博学者」という言葉は、昔は学者に限られていたけれども、ここ数年、スポーツ選手から政治家まで広く拡張されて使われるようになってきている。
(序章より)
版元から一言
・歴史学の重鎮ピーター・バークが、西洋の「博学者」の歴史を網羅した待望の大著。
・レオナルド・ダ・ヴィンチからスーザン・ソンタグまで、15世紀から21世紀までの博学者たちを記述。
「なぜ博学者は生き残ったのか?」その知識の文化的、社会的な動向を追っています。
・巻末には「西洋の哲学者500人」のリスト、索引、ブックリスト付き。
上記内容は本書刊行時のものです。