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医学問答
西洋と東洋から考えるからだと病気と健康のこと
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2024年6月27日
- 登録日
- 2024年6月18日
- 最終更新日
- 2024年8月19日
書評掲載情報
2024-10-06 |
読売新聞
朝刊 評者: 岡本隆司(早稲田大学教授・歴史学者) |
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紹介
\西洋・東洋、どっちも使うたらええんやん!/
西洋医学と東洋医学の専門家が、両方の視点から、私たちのからだ・病気・健康について徹底対談!
対談を繰り広げるのは、病理学の専門家で大阪大学大学院名誉教授・仲野徹さんと、『ペットボトル温灸』や『気のはなし』などの著書でも話題の鍼灸師・若林理砂さん。
「西洋医学は科学、東洋医学は哲学?!」
「気、丹田、三焦って何?」
「多臓器が連関しているという考え方がトレンド」
「鍼灸治療はまず何回受ければいい?」
東洋医学は怪しい…? 西洋医学ならなんでも解明できる?
じつは似ているところ、歩み寄ってきた部分も?
いまを楽しく生きるための医学雑学を、「漫才(!?)」のごとく楽しめる一冊。
目次
まえがき
第1章 歴史篇 科学としての西洋医学、哲学としての東洋医学
第2章 からだ篇 見えないものは、ないのでは?
第3章 病気篇 健康神話はけっこう危ない
第4章 治療篇 効きゃあいい、治りゃあいい
第5章 くすり・前篇 摩訶不思議な漢方薬の世界
第6章 くすり・後篇 知ってるつもりの西洋薬の知らない話
第7章 未来篇 医学のこれからはどうなる?
あとがき
コラム
・冷え性の話
・健康に生きるために
・漢方エキス剤というステキなモノ
・薬のお名前
前書きなど
本書を手に取っていただいた皆様、ありがとうございます。この書籍は、「西洋医学の専門家と、東洋医学の専門家が対談し、両者の違いと似ているところを明らかにしていく医学本」というコンセプトです。西洋医学の専門家として生命科学者で元・大阪大学大学院教授の仲野徹先生、東洋医学の専門家として私、そこらへんの開業鍼灸師である若林理砂が登場いたします。
ということで本書の実態は、まったく出自の違う二人がワイワイと東西医学についてあれこれ話し、
仲野 うん、わからんな!
若林 はい! すんません!
などと言い合った全記録、という内容です。
……この本の企画をいただいた際、対談相手が仲野先生で、しかもすでに承諾いただいていると聞き、「え、本気ですか?」と仲野先生に確認をしてしまいました。そうしたら先生は、「若林さんが対談相手じゃなかったら断ってるわ」とおっしゃるので、本気なんだ……と思いました。えー、東洋医学だったら、もっとえらい先生いっぱいいるじゃないですか。仲野先生は「西洋医学の専門家」として文句なしでしょうけど。っていうか、仲野先生がお引き受けくださっているのに私が断れるわけないじゃないですか!
仲野先生とは、拙著『絶対に死ぬ私たちがこれだけは知っておきたい健康の話』(ミシマ社)の出版記念対談でご一緒させていただきました。その際は、先生から容赦ない千本ノックの如く質問が放たれるのを私は必死で打ち返していく状態。なんと言いますか、「アタックNO.1」の主題歌が頭のなかをよぎる感じです……古いっ! アレの何を気に入っていただいたのか私には皆目わかりませんが、おかげで本書ができあがったわけです。
本書に掲載されている対談は、一度として予定された内容どおりに進まなかったと記憶しています。あっちこっちへ飛び散る話題、医学用語もまじえ、編集さん、ライターさん置いてけぼり、すごいスピードで延々喋り続ける我ら。毎回、喋るほうは勝手だけども、まとめるほうは恐ろしく大変だろうな……と思っておりました。
東洋医学は現在、基礎研究が急速に結果を出しつつあります。私が鍼灸専門学校生だった二五年前とは比べものにならないほどたくさんのエビデンスが出てきておりますが、それでもまだ科学的な根拠が強固であるというには足らない状態です。本書でも、「効くのは効くんです」「これがどうして効いてるかはわかりません」「プラセボ以上なのは確かなんです」などなど、読者の皆様としては「おいおいおい、若林! これじゃなんにも答えてないじゃん!」と突っ込みたくなるところがたくさんあると思われます。
私はしがない鍼灸師ですが、長い長い医学の歴史の末席に座る身だと思っています。まだまだ微妙である研究結果を「こんな科学的エビデンスがあります!!」とは言いたくなかったのです。きちんと、理由がわからんもんはわからんと、正直に答えたい。これが私にとって、西洋医学と伝統医学の両方に対しての礼節だと思っています。
データを並べられて、「これが正しいのだからそれは絶対効かない」と言われても反発を招くだけです。それとは逆の、「数字やデータは噓だ、真実はこちらだ」とする姿勢も分断を広げるだけです。どちらも真に科学的姿勢とは言えないでしょうし、誰にも利益をもたらさないと思います。そんな状況が長年、東洋医学と西洋医学の間に横たわっていました。ですが最近、研究者の努力により、東洋医学に関するデータが集積され、ほんのわずかずつではありますが西洋医学と東洋医学の距離が近づいてきています。そんな状況も相まってでしょう、仲野先生と私という、まあ昔だったらまったく対談など成り立たないであろう二人が、会話を楽しめるまでになったのです。
これだけ長い歴史をもっている東洋医学です。まったく効果がないならとっくに消えてなくなっているでしょう。それが生き残ってきているということは、一定の効果があるからだと感じています。けれども、あらゆる病に効果があるわけではないことも、臨床で感じていることです。ですので、理由はわからない、実際効いている、プラセボだけではなさそうだ、科学的にはっきりしているのはこのあたりまで!という姿勢は崩さず、縦横無尽に対談させていただきました。結果、ものすごく楽しいものになったなあと思います。
本書で対談した内容も、数年経ったらもっと研究が進み、解明されているかもしれませんし、意外とそうでもないかもしれません。ですが、この本の面白さだけはいつになっても変わらないだろうと確信しています。わからんものを知ろうとして聞いて、わからんものはわからんものとして話し、それでいろいろな理解が深まるという。こういうやりとりが、分断が進む世の中には絶対に必要なことだろうなあと。
そして、「まあ、若林の言うことなら聞いてやろか」と、対談を快諾してくださった仲野先生の心の広さに感謝しつつ。
では、珍道中ならぬ珍対談のはじまり、はじまり。
(若林理砂)
版元から一言
・西洋医学と東洋医学を比較した本は初!
・大阪大学大学院名誉教授の仲野徹さん、人気鍼灸医の若林理砂さんが徹底問答を繰り広げます。
イラストや写真も多数掲載。読みやすいのに、一級の医学雑学が得られます。
・NHKスペシャルでも「東洋医学を科学する」という番組が放送され、東洋医学の秘密に関心が集まりはじめています。現時点でわかっている科学的なエビデンスもわかりやすく紹介。
上記内容は本書刊行時のものです。