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DRAWING ドローイング
点・線・面からチューブへ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年9月20日
- 書店発売日
- 2023年9月8日
- 登録日
- 2023年8月30日
- 最終更新日
- 2023年10月10日
書評掲載情報
2023-10-14 | 毎日新聞 朝刊 |
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紹介
ラインをチューブと捉える。
そうすることで鈴木ヒラクは、私たちの生きるこの世界の見方に革命を起こすだろう。
ティム・インゴルド
類書なきドローイング原論!
ドローイングとはなにか? いまなぜ、ドローイングは世界的に重要視されているのか?
その答えは、描かれたラインを「チューブ」として捉えたときに見えてくる──
国際的に注目されるアーティスト・鈴木ヒラクが書き下ろす渾身の〈ドローイング原論〉。
・描く/書くことは、この世界に生きることそのものである
・宇宙は無数の線の束であり、人類もまた洞窟壁画の昔からドローイングし続けてきた
・人類だけでなく、虫も鳥も植物も、石や天候、天体もこの宇宙に線を描いている
・ラインは分割と分断を生む、だがチューブは空間と時間を接続し、関係させ、交通を生む
・ルネッサンス以来、ドローイングはペインティング(絵画)に比べ、不当に評価されている
・ドローイングとは、いまここにある未知を発掘することである
・線をたどりなおすとき、未来にも過去にも私たちは触れることができる
・この世界にあふれるあらゆる痕跡は、未知へと飛び立つための滑走路だ
・HIP HOPなどの音楽、ダンス、ラップ、写真、都市論、子供の遊び、漫画、農耕、登山、医療から教育にまでドローイングの可能性は拡張する
【本書に登場するアーティストたち】
W・バロウズとブライオン・ガイシン、M・トビーやH・ミショー、オノ・ヨーコ、
比田井南谷や井上有一、J・ケージやトリシャ・ブラウンなど20世紀のドローイングの中心人物たちに加え、
現在のドローイング・シーンの最先端をひらくジュリー・メレトゥ、モニカ・グルツィマラらを紹介。
オーネット・コールマンなどのフリージャズ奏者たち、DJプレミア、キング・タビー、アーサー・ラッセルなどの音楽家、そして石川九楊、吉増剛造、鈴木昭男、Shing02、Rekpo(MAREWREW)など著者がコラボレートしてきたアーティストまで、ドローイングから捉えなおす現代芸術史としても読める一冊。
【本書で触れられる先人たちの言葉】
「ドローイングは、いまも基本的に古代から変わっていない」キース・ヘリング
「一本の線において重要なのは、それがつねに中間であり、始まりでも終わりでもないことだ」ジル・ドゥルーズ
「線を散歩に連れて行く」パウル・クレー
「ドローイングとは身ぶりと言葉の接合だ」アンドレ・ルロワ=グーラン
「道とは、閉ざされた世界から脱出するために、自らうち開くべきものである」白川静
子供たちが無心に線を引き、植物が伸びてゆき、風が壁に痕跡を残す。
そんなふうにこの世界にあふれるドローイングを、タイムカプセルとして、
対話として、現在進行形で生きていくこととして捉えなおす、世界の見方が変わる一冊。
【古今東西のアーティストのドローイング、著者の作品に加え、粘菌からワームホール、カフカの手稿からコルトレーン自筆の楽譜まで、図版多数掲載】
目次
長いまえがき
第1章 ドローイングとチューブ1
あらゆる線は境界線である/線は接続し、分割する/チューブが交通を生む/
都市の網と遊べ/道具としてのチューブ/身体=チューブ/精神もまたチューブである
第2章 ドローイングとチューブ2
線の進歩主義/線を生きる/描写するか呼応するか
第3章 ドローイングと発掘
未来を思い出す/ドローイングという考古学/ドローイングを発見する/
人間なきドローイング/自然と人間の境界上に現れるドローイング/
人間の内側から発掘されるドローイング
第4章 ドローイングと書くこと
子供という古代/「かく」ことの構造/マーカーが発掘するもの/雑草がかく/
離陸するエクリチュール/描くと書くの探究史/ネガティヴハンドとグラフィティ/
大気、そして農耕・登山/穴を開けること/ラップというドローイング/光の記号/
未知に触れるスタイル/複数性へと向かうドローイング
第5章 ドローイングと空間・時間
都市のコウモリ/脳、網、粘菌/チューブ、ロープ、テープ/伸び縮みする線/
身体という楽器/ドローイングの魔法/HIP HOPとダブ/写真術とドローイング
第6章 ドローイングと対話
糸電話がつなぐもの/媒介としてのドローイング/テレドローイング/
ドローイング・オーケストラへ/他者の線と出会うこと/ライブでかくということ
あとがき
引用文献一覧/図版出典一覧/鈴木ヒラク作品・パフォーマンス/人名索引
前書きなど
危機とともに生きる宇宙時代に、世界の輪郭は目まぐるしく変化していく。安全な場所から、ゆっくりそれを描写している場合ではない。むしろ現在進行形で、世界と自らとの関係性を常につなぎ直していく方法としてドローイングを活かさなければならない。旧石器時代の人類が、洞窟の外の危険を含んだ時間と空間の広がりに接触するときに、世界と自己とを翻訳し、把握するためにドローイングを発明したように。分断や危機があるからこそ、接続や逸脱への意志もまた生まれる。いま、生きるためのドローイングが必要な時代なのだ。(本書より)
上記内容は本書刊行時のものです。