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取引情報
セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2023年8月30日
- 登録日
- 2023年8月3日
- 最終更新日
- 2023年10月10日
書評掲載情報
2023-10-29 |
読売新聞
朝刊 評者: 辛島デイヴィッド(早稲田大学教授・作家・翻訳家) |
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紹介
英文法の世界でいくたびも論争を巻き起こしてきた記号「セミコロン」。
・英文法家たちの仁義なき論争
・セミコロンのせいで酒も飲めない? ボストン中が大騒動に。
・終身刑か死刑か、句読点が生死を分かつ。
・句読点の使い方を指摘され、校正者にブチ切れるマーク・トウェイン
・難解すきてまったく売れなかった『白鯨』における大量のセミコロン etc.
小さなトラブルメーカーが巻き起こす波乱万丈の文化史
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英→日翻訳者として、日本語にセミコロンがないことを何度も呪ってきたが、この本を読むと、なくてよかったと思えてくる。そんなものがあったせいで、英語はどれだけ混乱したことか! が、その混乱をめぐる物語は無類に面白い。
柴田元幸
セミコロンひとつでお酒は売れなくなるわ、ひとは死ぬわ、さらにこんな面白い本が書けてしまうとは、どういうことだ!
鴻巣友季子
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目次
はじめに 言葉のルールをめぐる愛憎
1章 音楽を奏でるように:セミコロンの誕生
2章 科学的規則を目指して:英文法戦争
3章 ファッションアイテムからトラブルメーカーへ
4章 ゆるい条文と自制心:句読点ひとつでボストン中が大混乱
5章 解釈に伴う偏見と慈悲
6章 ルールを岩に刻み込む 現代の試み
7章 セミコロンの達人たち
8章 切なる訴え、単なる気取り:セミコロンを使うのはひけらかし?
おわりに ルール違反?
前書きなど
「セミコロンはあまりにも不快」だ。ポール・ロビンソンは『ニュー・リパブリック』誌のエッセイでそう打ち明けている。「自分で使おうものなら、人の道に悖る行為のようにすら感じる」 スタンフォード大で人文学の教授を務める彼は、黒丸がコンマの上でバランスを取るその記号を目にするだけで全身に「憤り」を覚えるんだとか。ロビンソンは反セミコロンの急先鋒といった感じの人物だが、近代のセミコロン批判家はもちろん彼以外にもゴロゴロいる。ジョージ・オーウェルからドナルド・バーセルミまで、様々な小説家がセミコロンのことを醜悪だとか無意味だとか、あるいはその両方だという見解を延々とのたまってきた。カート・ヴォネガットは一切使わないことを推奨し、「まったくもって何の意味も持たない」記号だと批判。「何か意味があるとすれば、せいぜい大卒アピールになる程度である」と文筆家たちを戒める。さらにセミコロンのことを「この世で最恐の句読点」と称するイラスト入りのガイドは、ネット上でなんと80万に迫るシェア数を記録している。しかしセミコロンが生まれた15世紀、それを考案したイタリアの人文主義者たちとしては、文意の明確化を補助するツールのつもりであって、(現代のロビンソン教授が評するような)「明確でない考えを取り繕う」のにもっぱら利用される「これ見よがし」の記号というわけではなかった。19世紀の末に目を移すと、当時セミコロンはまさに流行りの記号で、使用される頻度はお仲間のコロンに大差をつけていた。かつては称賛されたセミコロンだが、今や実に多くの人が、実に不愉快で、実に扱いにくいと感じるようになっている。どういう経緯でこんなことになってしまったんだろう。(以下、つづく)
版元から一言
柴田元幸氏・鴻巣友季子氏推薦!
英文法の世界でいくたびも論争を巻き起こしてきた記号「セミコロン」。
小さなトラブルメーカーが巻き起こす波乱万丈の文化史。
上記内容は本書刊行時のものです。