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オレーシャ『羨望』草稿研究
人物造形の軌跡
- 初版年月日
- 2021年12月28日
- 書店発売日
- 2021年12月16日
- 登録日
- 2021年11月8日
- 最終更新日
- 2021年11月8日
紹介
革命後のロシア文壇に彗星のごとく現れ、わずか10年の活躍ののちにスターリン体制によって窒息させられた作家、ユーリー・オレーシャ。モダニズム作家らしい奇抜な文体で知られる彼は稀代のストーリーテラーでもあった。無名だったオレーシャを一躍文壇の寵児にした小説『羨望』もまた、読者をひきつける物語作りのために気の遠くなるような回数の推敲が重ねられている。草稿を読み解き『羨望』が作品として形を取るまでのプロセスに肉薄した、小説誕生の軌跡に迫る一冊。
目次
序論
1.オレーシャの作家生涯と『羨望』
2.ストーリー概要
3.執筆の経過と草稿の特色
4.『羨望』草稿研究史
5.本書の課題
第1章 主人公と語り手
1.語りの形式の変更をめぐる問題
2.主人公イヴァン・バービチェフと語り手ズヴェズダーロフ(第1の時期)
3.主人公イヴァン・バービチェフと語り手カヴァレーロフ(第2の時期)
4.主人公カヴァレーロフとイヴァン・バービチェフ像(第3の時期)
5.主人公カヴァレーロフと語り手の隣人(第3の時期)
6.語りの形式の変更の背後にあるもの
第2章 格下げと主人公化──カヴァレーロフ
1.格下げの端緒
2.カヴァレーロフ像のさらなる変容
3.知識人オレーシャとカヴァレーロフ像
第3章 光と陰──アンドレイ・バービチェフ
1.敵役か「肯定的登場人物」か?
2.技術職の知識人
3.リーザ・キャメロンとの恋愛
4.父親像
5.リョーリャとの恋愛
6.ソーセージ屋
7.元ブルジョアへの妬み
第4章「反社会的」発明家──イヴァン・バービチェフ
1.イメージソースとしての『透明人間』
2.しゃぼん玉の発明
3.無益な事物の職人
4.「イヴァン・バービチェフの物語」
5.夢物語に終わる発明
6.「反社会」幻想
第5章「弱さ」の克服──ヴァーリャ
1.曖昧なヒロイン像
2.主人公イヴァン・バービチェフとリョーリャ
3.恋愛の導入(リーザ・キャメロン)
4.美しさと「弱さ」(リョーリャ・タタリノヴァ)
5.ヴォロージャによる「啓蒙」(ヴァーリャ)
6.ヴァーリャ像の正体
第6章「他者」の肯定性──ヴォロージャ・マカーロフ
1.ヴォロージャ像の肯定性
2.サッカー選手(ヴォロージャ・バービチェフ)
3.コムソモール員
4.「啓蒙」の主体
5.人間機械
6.肯定的イメージの寄せ集め
第7章 格下げと女性像──アーニチカ・プロコポーヴィチ
1.否定的女性像
2.場末の住環境
3.「不健康」な性愛(エリザヴェータ・クーニナ)
4.アーニチカと父
5.私的領域の存在
結論
付録
参考文献
本書に関連する刊行済みの著作
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。