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チェコ・ゴシックの輝き
ペストの闇から生まれた中世の光
- 初版年月日
- 2021年9月28日
- 書店発売日
- 2021年9月16日
- 登録日
- 2021年8月28日
- 最終更新日
- 2021年8月28日
紹介
不条理な受難をいかに受け止め、理不尽な不幸といかに折り合いをつけるか──プラハの有名なゴシック建築の数々は、ヴルタヴァ川に架かるカレル橋にその名を遺すカレル四世と息子ヴァーツラフ四世の時代に築かれた。プラハとチェコがヨーロッパのゴシック文化の中心地のひとつとなったその時代はまた、ペストのパンデミックが猛威を振るった時代でもあった。建築・美術のみならず文学・音楽も含めたチェコ・ゴシックの全体像を明らかにする。
目次
序 章 闇と光のせめぎ合い
一 ドルとピストル
二 カレル四世とヤン・フス
三 ゴシックの闇と光
四 ペストの闇と救済の光
第一章 チェコのゴシック教会堂とヴォールトのデザイン──チェコにおけるゴシック建築の芽生えと開花──
一 チェコにおけるゴシック様式の広がりと多様性
二 チェコの大都市の教会堂のヴォールト
三 チェコの小都市や村の教会堂のヴォールト
四 チェコの世俗建築のヴォールト
五 ゴシックの共通性・国際性と個性・独自性
第二章 カレル四世とチェコ・ゴシックの遺産
一 カレル四世の人物像
二 カレル四世の信仰と聖遺物崇敬
三 カレル四世の主な事績
四 カレル四世の「皇帝様式」
五 カレル四世の周辺の文化人
第三章 チェコ・ゴシックの華、「美麗様式」の誕生と受難
一 ヴァーツラフ四世の時代──ヴァーツラフの不穏
二 「国際ゴシック様式」のチェコ的分枝としての「美麗様式」
三 トシェボニの祭壇のマイスター
四 「美しい聖母」と「美しいピエタ」
五 「血痕聖衣の美しいピエタ」──「血痕聖衣の聖母」と「美しい聖母」の交差
六 チェコの宗教改革とゴシック美術
七 祈りと美の結合
八 《クシヴァークのピエタ》とミケランジェロの《ピエタ》──ゴシックとルネサンス
第四章 チェコ・ゴシックの文学と音楽──多言語状況の中でのチェコ語文学とチェコ音楽──
一 ゴシック時代のチェコの多言語状況
二 聖歌・叙事詩・年代記・聖人伝──チェコ語文学の誕生と、チェコ民族の自己表象および歴史意識の形成
三 カレル四世以降の時代の文学
四 「論争」──『ボヘミアの農夫』の「死」と、『織匠』の「不幸」
五 演劇──聖と俗、悲劇と喜劇、多言語の混交
六 チェコの宗教改革とゴシック文学
七 チェコ・ゴシック音楽──音楽の土着化
終 章 光を求める闇
一 光への志向
二 ゴシック大聖堂と装飾写本の光
三 補完的相関関係
四 外来のものとチェコのものとの交差──国際性と民族性
五 チェコ・ゴシックとチェコ・バロック
付表
付表一 カレルの戴冠式一覧
付表二 プラハの主なゴシック遺産
付表三 プラハ以外の主なゴシック遺産
付表四 南ボヘミア地方のゴシック宗教施設一覧
あとがき
図版一覧
主要参考文献一覧
注
人名索引
上記内容は本書刊行時のものです。