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「罪と罰」の受容と「立憲主義」の危機 高橋 誠一郎(著/文) - 成文社
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「罪と罰」の受容と「立憲主義」の危機

発行:成文社
四六判
厚さ20mm
重さ 350g
224ページ
定価 2,000円+税
ISBN
9784865200317
Cコード
C0098
一般 単行本 外国文学、その他
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2019年2月27日
書店発売日
登録日
2019年1月22日
最終更新日
2019年1月22日
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紹介

青春時代に「憲法」を獲得した明治の文学者たちの視点で、「憲法」のない帝政ロシアで書かれながら、権力と自由の問題に肉薄していた『罪と罰』を読み解き、島崎藤村の『破戒』や『夜明け前』との関連に迫る。さらに、「教育勅語」渙発後の北村透谷たちの『文学界』と徳富蘇峰の『国民の友』との激しい論争などをとおして「立憲主義」が崩壊する過程を考察し、蘇峰の英雄観を受け継いだ小林秀雄の『罪と罰』論の危険性を明らかにする。

目次

はじめに 危機の時代と文学──『罪と罰』の受容と解釈の変容

第一章 「古代復帰の夢想」と「維新」という幻想──『夜明け前』を読み直す
 はじめに 黒船来航の「うわさ」と「写生」という方法
 一、幕末の「山林事件」と「古代復帰の夢想」
 二、幕末の「神国思想」と「天誅」という名のテロ
 三、裏切られた「革命」──「神武創業への復帰」と明治の「山林事件」
 四、新政府の悪政と「国会開設」運動
 五、「復古神道」の衰退と青山半蔵の狂死

第二章 一九世紀のグローバリズムと日露の近代化──ドストエフスキーと徳富蘇峰
 はじめに 徳富蘇峰の『国民之友』と島崎藤村
 一、人間の考察と「方法としての文学」
 二、帝政ロシアの言論統制と『貧しき人々』の方法
 三、「大改革」の時代と法制度の整備
 四、ナポレオン三世の戦争観と英雄観
 五、横井小楠の横死と徳富蘇峰
 六、徳富蘇峰の『国民之友』とドストエフスキーの『時代』

第三章 透谷の『罪と罰』観と明治の「史観」論争──徳富蘇峰の影
 はじめに 北村透谷と島崎藤村の出会いと死別
 一、『罪と罰』の世界と北村透谷
 二、「人生相渉論争」と「教育勅語」の渙発
 三、「宗教と教育」論争と蘇峰の「忠君愛国」観
 四、透谷の自殺とその反響

第四章 明治の『文学界』と『罪と罰』の受容の深化
 はじめに 『文学界』と『国民之友』の廃刊と島崎藤村
 一、樋口一葉と明治の『文学界』
 二、『文学界』の蘇峰批判と徳冨蘆花
 三、『罪と罰』における女性の描写と樋口一葉
 四、正岡子規の文学観と島崎藤村──「虚構」という手法
 五、日露戦争の時代と言論統制

第五章 『罪と罰』で『破戒』を読み解く──差別と「良心」の考察
 はじめに 『罪と罰』の構造と『破戒』
 一、「事実」の告白と隠蔽
 二、郡視学と校長の教育観──「忠孝」についての演説と差別
 三、丑松の父と猪子蓮太郎の価値観
 四、「鬱蒼たる森林」の謎と植物学──ラズミーヒンと土屋銀之助の働き
 五、「内部の生命」──政治家・高柳と瀬川丑松
 六、『罪と罰』と『破戒』の結末

第六章 『罪と罰』の新解釈とよみがえる「神国思想」──徳富蘇峰から小林秀雄へ
 はじめに 蘇峰の戦争観と文学観
 一、漱石と鴎外の文学観と蘇峰の歴史観──『大正の青年と帝国の前途』
 二、小林秀雄の『破戒』論と『罪と罰』論──「排除」という手法
 三、小林秀雄の『夜明け前』論とよみがえる「神国思想」
 四、書評『我が闘争』と『罪と罰』──「支配と服従」の考察
 五、小林秀雄と堀田善衞──危機の時代と文学


あとがきに代えて──「明治維新」一五〇年と「立憲主義」の危機
初出一覧
参考文献

著者プロフィール

高橋 誠一郎  (タカハシ セイイチロウ)  (著/文

1949年福島県二本松市に生まれる。東海大学文学部文学研究科(文明専攻)修士課程修了。東海大学教授を経て、現在は桜美林大学非常勤講師。ドストエーフスキイの会、日本比較文学会、日本トルストイ協会、日本ロシア文学会、世界文学会、ユーラシア研究所、黒澤明研究会、比較文明学会、日本ペンクラブなどの会員。
主な著書と編著(ドストエフスキー関係):『黒澤明と小林秀雄──「罪と罰」をめぐる静かなる決闘』(成文社、2014年)、『黒澤明で「白痴」を読み解く』(成文社、2011年)、『ロシアの近代化と若きドストエフスキー──「祖国戦争」からクリミア戦争へ』(成文社、2007年)、『ドストエフスキイ「地下室の手記」を読む』(リチャード・ピース著、池田和彦訳、高橋誠一郎編、のべる出版企画、2006年)、『欧化と国粋──日露の「文明開化」とドストエフスキー』(刀水書房、2002年)、『「罪と罰」を読む(新版)──〈知〉の危機とドストエフスキー』(刀水書房、2000年)
(司馬遼太郎関係):『新聞への思い──正岡子規と「坂の上の雲」』(人文書館、2015年)など

上記内容は本書刊行時のものです。