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災害時の学童保育のブリコラージュ
「まびひょっこりクラブ」がつなぐ未来へのバトン
- 初版年月日
- 2024年6月
- 書店発売日
- 2024年6月17日
- 登録日
- 2024年5月31日
- 最終更新日
- 2024年5月31日
書評掲載情報
2024-07-06 | 毎日新聞 朝刊 |
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紹介
ブリコラージュとは、クロード・レヴィ=ストロースが提示した概念であり、「ありあわせのものを再構成することによって新しいものを創造する営み」のことを指す。本書では、危機対応学におけるこの概念の援用をもとに、当初の想定を超えた事態が生じた際に求められる即応的対応として、ありあわせのものや偶然すらも活かしていくブリコラージュの発想をもとに、「まびよっこりくらぶ」の実践を捉え直す。
なお、今回の能登半島震災において、現在進行形で私の行動や想いを支えているのものは、間違いなく「まびひょっこりクラブ」の実践である。
本書は、災害時の学童保育実践の記録と、その理論的解説の2部構成となっている。西日本豪雨による学童保育への影響や「まびひょっこりクラブ」の実践については第1~2章から。また、災害時の学童保育実践をどのように取り組んだらいいのか、その方法の理解を深めるには、第3~5章を。また各章には、コラムを配置し、できるだけ多様な当事者の声を反映させることを目指している。さらにコラムの中には、熊本地震や東日本大震災に関するものも含んでおり、水害に限定しない学童保育の危機管理に関する論稿を目指すしている
ぜひ本書をきっかけに各地で経験された災害時の学童保育実践が呼び起され、共有可能な記録が少しでも増えていくことを期待している。
目次
はじめに:西日本豪雨と能登半島地震
プロローグ
第1章 豪雨災害時の学童保育のリアル
第1節 倉敷市の学童保育所の被害状況と危機対応
第2節 被災から「安心できる居場所」を取り戻すまでの5年間
第3節 の立場で学んだこと
第4節 被災地域の近隣の学童保育のリアル
第2章 みんなの想いでつないだ緊急時の学童保育実践
【はじめる】
第1節 被災した子どもたちを受け入れる
第2節 温かい食事を子どもたちに
第3節 行き当たりばったりで始めた支援、救ってくれたのは地域だった
第4節 子どもや保護者の声を届ける役割
【かかわる】
第5節 専任の学童保育指導員のかかわり
第6節 近隣の大学教員と学生ボランティアのかかわり
第7節 「まびひょっこりクラブ」の終わり
【つなげる】
第8節 「いのりんジャパン」によってつながる支援
第9節 「がくまび」として引き継がれる実践
第10節 振り返ってみて、「まびひょっこりクラブ」が担った役割とは何だったのだろうか?
第3章 災害時の学童保育をブリコラージュする
第1節 「まびひょっこりクラブ」の軌跡と奇跡
第2節 災害時の学童保育支援とは?
第3節 「応急対応期」から「復旧期」にかけての学童保育支援
第4節 災害時の学童保育支援を読み解くための「ブリコラージュ」というモノサシ
第5節 エンジニアリングとブリコラージュの違い
第6節 ブリコラージュ的対応に見られる3つの特徴
第7節 ブリコラージュ的対応を促進する3つのステップ
第8節 よきブリコルールとなるために
第9節 「日頃の準備を怠らないブリコルール」に
第4章 災害時の子どもへの心理支援
第1節 倉敷市の学童保育への訪問
第2節 災害発生から数か月間の子どもの心のケア──安心ときずな
第3節 災害トラウマのメカニズムを知ろう
第4節 2009年台風9号豪雨災害後の園児への心のケア
第5節 時期に応じた災害後の心のケア
第5章 被災の経験をどのようにしてつないでいくか
第1節 災害時の学童保育実践の「記録」を残す
第2節 学童保育の安全対策・危機管理の落とし穴
第3節 安全計画でも弱い「事後・振り返り」の視点
第4節 〈災間〉の思考に基づく学童保育の安全対策・危機管理へ
第5節 学童保育所における災害時の記録の少なさ
第6節 事例:西日本豪雨でのアンケート調査の結果
第7節 被災した児童や指導員はいなかったのか?
第8節 どんな記録が必要なのか:アーカイブとしての記録
第9節 どんな記録が必要なのか:職務としての実践記録
第10節 「存在としての記憶」を継承する
エピローグ
【コラム一覧】
コラム1 震災、水害における熊本県の学童保育のリアル
コラム2 SNSを通じた支援の輪
コラム3 名古屋からの支援「まだ見ぬ仲間を救いたい~380キロの距離を超えて~」
コラム4 ボランティアとしての経験を生かして教員へ
コラム5 全国にある学童保育連携の強み~佐賀県豪雨災害対応から~
コラム6 学童保育における災害時の子ども支援マニュアル
コラム7 福島県南相馬市の学童保育に対する外部支援の事例
上記内容は本書刊行時のものです。