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東洋医学古典 鍼灸資生経 上巻
巻次:上巻
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年1月
- 書店発売日
- 2023年1月26日
- 登録日
- 2023年1月11日
- 最終更新日
- 2023年1月25日
紹介
『東洋医学古典 鍼灸資生経 上巻』は、黄龍祥(こうりゅうしょう)によると1180~1195年ごろに書かれたと『鍼灸名著集成』に書かれている。本書には『素問』や『霊枢』の引用は勿論のこと、『鍼灸甲乙経』、『備急千金要方』、『千金翼方』、『外台秘要』、そして同時代の『銅人腧穴鍼灸図経』までが引用されている。ということは『銅人』が出版された後に本書が出版されたことになる。執筆者は南宋の太監(たいかん)(宦官)だった王執中である。ちなみに『鍼灸名著集成』に編纂された『鍼灸資生経』は誤字や脱文が多く、翻訳の参考程度に参照した。なお本書には、原文に小文字で書かれた部分があるが、それは()で括り、翻訳した部分は[ ]で括るようにした。また訳の部分は書体を変えた。『甲乙経』は「こういつきょう」でなく「こうおつきょう」、『銅人腧穴』でなく「どうじんしゅけつ」ではなく「どうじんゆけつ」とした。そしてフリガナは燎原の『漢方用語大辞典』と学研の『漢字源』を参考にした。現在はオリエント出版の『鍼灸資生経』が入手困難なので、本書に原文を付けた。上巻は、巻一から巻三までを収載した。
目次
上巻
鍼灸資生経巻一
●頭部、中行十穴
●偃伏第二行、左右十四穴
●偃伏第三行、左右十二穴
●側頭部、左右二十六穴
●正面部、中行六穴
●面第二行、左右十穴
●面第三行、左右十穴
●面第四行、左右十穴
●側面部、左右十四穴、更二穴
●肩髆部、左右二十六穴
●背兪部、中行、十三穴
●背兪、第二行、四十四穴
●背兪、第三行、左右二十八穴
●側頸項部、左右十八穴
●膺兪部中行、七穴
●膺兪第二行、左右十二穴
●膺兪第三行、左右十二穴
●膺兪第四行、左右十二穴
●側腋左右八穴
●腹部中行、十五穴
●腹第二行、左右二十二穴
●腹第三行、左右二十四穴
●腹第四行、左右十四穴
●側脇、左右十二穴
●手太陰肺経、左右十八穴
●手陽明大腸経、左右二十八穴
●手少陰心経、左右十八穴
●手太陽小腸経、左右十六穴
●手厥陰心主脈、左右十六穴
●手少陽三焦経、左右二十四穴
●足厥陰肝経、左右二十二穴
●足少陽胆経、左右三十穴
●足太陰脾経、左右二十二穴
●足陽明胃経、左右三十二穴
●足少陰腎経、左右二十穴
●足太陽膀胱経、左右三十六穴
鍼灸資生経巻二
●鍼灸須薬[鍼灸には薬が必要]
●鍼忌[鍼の禁忌]
●孔穴相去[穴位の距離]
●定髪際[髪際を定める]
●論同身寸[同身寸を論じる]
●審方書[医学書の審査]
●穴名同異[穴名の異同]
●点穴[穴位を定める]
●論壮数多[灸の壮数]
●艾炷大小[艾炷の大きさ]
●点艾火[艾への点火]
●治灸瘡[灸瘡を治す]
●忌食物[避ける食品]
●避人神等[人神などを避けること]
●相天時[天の時]
鍼灸資生経巻三
●虚損[慢性衰弱]
●灸二十種骨蒸[二十種の内熱に施灸する]
●労瘵(伝尸、骨蒸、羸痩)[結核]
●腎虚
●消渇(消腎、消中)[咽喉が渇いて痩せる]
●陰痿縮(両丸騫)[インポテンツ]
●陰挺出[子宮脱]
●転胞[妊娠による排尿困難]
●陰茎疼[陰茎痛]
●膀胱気[鼠径ヘルニア]
●陰汗(湿癢)[陰部に発汗するもの]
●陰腫(陰瘡)[陰部の腫れ]
●小腹痛[下腹部痛]
●小腹脹満[下腹部の膨満]
●㿗疝(諸疝気、胎疝、寒疝、卒疝)[鼠径ヘルニア、下腹部の激痛]
●疝瘕(餘見痃癖)[子宮筋腫]
●淋癃(淋瀝、餘見小便不通)[尿が出にくかったり、出ない]
●小便難(不通、不利)[尿が出ない]
●小便五色[尿の変色]
●治夢遺失精(白濁)[遺精と無意識に精液が出るもの。そして尿の白濁]
●大便不通[便秘]
●大小便不通[大小便が出ない]
●小便不禁(遺尿附)[尿漏れ]
●大便不禁(餘見泄瀉)[大便を漏らす]
●泄瀉(餘見吐瀉)[下痢]
●飧泄[消化不良による下痢]
●溏泄[水様便]
●痢(餘見瀉)[下痢]
●便血(餘見痢、腸風)[血便]
●痔(瘻、漏、餘見瘍瘻)
●腸風[切れ痔]
●腸澼[腹下し]
●腸痛(餘見腸澼)[腹痛]
●腸鳴(腹鳴)
●脱肛
●霍乱転筋(筋緩急、餘見手足攣)[コレラによる痙攣]
●霍乱吐瀉(餘見転筋)[コレラによる嘔吐と下痢]
●嘔吐[又見喘嗽]
●乾嘔[えづき]
●噫[げっぷ]
●傷寒嘔噦(諸噦)[悪寒のする伝染病によるえづき]
●唾[透明で水っぽい痰]
●胃痛(寒熱)
●反胃[嘔吐]
●食不下(不化)[食べ物が咽を通らない]
●不能食[食べられない]
●不嗜食[食欲不振]
●食気(無味)
●食多[食べ過ぎる]
●瘧(脾寒)[マラリア]
●脾疼[餘見心腹痛]
下巻
鍼灸資生経巻四
●心痛[胃痛]
●心恍惚(餘見肺中風)
●心驚恐
●心喜笑怒[笑ったり怒ったり]
●心気(健忘、無心力、失志)[気力がない]
●心憂悲(哭泣、餘見癲邪)[憂鬱、泣く、ほかは鬱を参照]
●歎息(太息)[溜息]
●心煩悶(心痹、胆風熱、餘見心気)[心痹、胆風熱、ほかは心気を参照]
●胆虚(胆熱)
●嗜臥[横たわりたがる]
●不臥[眠れない]
●夢魘(雑夢)[悪夢]
●癲邪(鬼邪。扁鵲、鍼邪病、十三穴。見千金)[精神疾患]
●癲狂(狂走、狂言)[気違い]
●癲癇瘈瘲(小児瘈瘲)[子供のヒキツケ]
●癲癇(癇附。餘論見風癇)
●癲疾(餘論見風癇)[頭の病気]
●驚癇[小児驚癇、急驚風、慢驚風][驚いて癲癇となる]
●風癇(五癇)
●風労(餘見労)[ほかは労を参照]
●風痙(角弓反張)
●風眩(餘見頭目眩、餘論見風癇)
●風痹(餘見肩髃穴)
●中風(中風寒熱、餘論見偏風)[脳卒中]
●中風不語(中風口噤、附餘見口啞、口眼喎)[脳卒中の失語症]
●偏風(偏枯、半身不遂)[脳卒中による半身不随]
●痰涎(痰飲、吐沫、餘見唾)
●唾血(嘔血、吐血、餘見唾)[唾に血が混じる]
●喘(餘見欬嗽)
●肺気(肺風)[風邪]
●欬嗽(餘見欬逆)[咳]
●欬逆(餘見欬逆上気、喘、傷寒嘔噦)[咳]
●欬逆上気(上気、又見欬逆)[咳して喘ぐ]
●少気(短気、乏気、結気)[微弱呼吸]
●賁豚気(伏梁気、息賁)[気塊が、下腹から胸や咽喉に突き上げてくるもの]
●痃癖[腹部や脇肋部のシコリ]
●癥癖(餘見疝瘕)[腹腔内にできたシコリ]
●積聚[腹中のシコリ]
●積気[気が固まったシコリ]
●腹痛(餘見心痛)
●腹満(心満脹)[腹部の膨満感]
●腹脹(胸脇脹、附心脹、餘見心腹満脹)[腹が膨れる]
●心腹堅大(餘論見腹満)[上腹部が堅くて大きい]
●鼓脹(餘見腹脹)[腹の膨れ]
●水腫(雑腫、四支腫、石水)
鍼灸資生経巻五
●臍痛
●膺痛[前胸部の痛み]
●胸満(胸脇満、亀胸)[胸の膨満感]
●胸脇痛(胸痹痛、餘見胸満)
●鬲痛(五噎、気哽)[噴門の痛み]
●背痛(胸背、背脊、餘見肩背労瘵)
●肩背酸痛(肩髆肩臂、餘見背痛)[肩背の痛だるさ]
●肩痹痛(不仁不挙)[肩の痛み]
●臂痛(臂無力)[前腕痛]
●腋痛(腋腫)
●腕労[腱鞘炎]
●肘痛(肘攣、不仁)
●手麻痹不仁(不挙)[手の麻痺や知覚障害]
●手指攣(手掣痛、餘論見手麻)[指の痙攣]
●手熱(手寒、手清、手心熱)[手が熱い]
●足麻痹(不仁)[足の麻痺]
●足不能行(不能立、不収)[歩けない]
●足寒熱(脛寒、又見足雑病)[足の寒熱]
●足雑病(跟股、䯒脛、腨腿、髀枢、餘見脚膝攣)[足の様々な疾患]
●脚気[この脚気は、現代中国で脚気と呼ぶ水虫ではなく、日本の脚気と同じ]
●脚弱(脚痹)[足が弱いもの]
●脚腫[脛のむくみ]
●四支厥(手足不挙、餘見手足麻痹)[手足の冷え]
●尸厥[仮死状態]
●脚膝痛(攣急、不収、不仁)
●膝痛(餘見脚膝)
●腰脚痛(餘見腰脚)
●腰痛(腰強、腰屈)
●腰脊痛(餘見背痛)
●脊痛(餘見腰脊、風痙反張)
●腠理[皮膚]
●骨疼(骨髄)
鍼灸資生経巻六
●耳鳴
●耳痛
●耳聾[難聴]
●聤耳(生瘡)[耳だれ、耳から膿水が流れるもの]
●目痛(目瞑)
●目上視(眼目瞤動)[眼球が上を向く。白目を剥く]
●目涙出
●目眩[めまい]
●目不明(又目䀮䀮、目暗、目眇)[はっきり見えない]
●目翳膜(白翳、睊目、目)[角膜が翳膜で覆われるもの]
●目赤(目黄、目青)[結膜炎]
●青盲(雀目、疳眼)[視神経萎縮や緑内障]
●口眼喎(餘見中風、偏風不語)[顔面麻痺]
●口瘖瘂(舌不能言、餘見中風失音)[声が出ない。失語]
●舌強(自吐舌、重舌)[舌の強ばり]
●口緩(頻欠伸、失欠)[口が緩む]
●歯齲[虫歯]
●口舌乾苦(口熱臭)[口舌の乾燥と苦味]
●口歯疳瘡(牙歯齦腫、牙関急)[口内炎]
●歯噤(口噤、餘見中風)[歯を食い縛る]
●牙疼[歯の痛み]
●鼻塞不利(鼻不聞香臭)[鼻詰まり]
●鼻有息肉(孔生瘡)[鼻茸]
●鼻涕出(鼻乾、鼻嚔)[鼻水が出る]
●鼻痛(其餘見鼻瘡)
●鼻衂[鼻血]
●咽喉腫痛(生瘡)[咽喉の腫痛]
●喉咽鳴(雑病)[咽喉からゴロゴロ音がする]
●咽喉乾[咽喉のイガイガ]
●喉痹[咽喉の痛み]
●唇頬腫痛(頤頷腫)[唇や頬の腫痛]
●頸項強(急腫)[頸項部の強ばり]
●頭風(頭眩、又見頭旋)[慢性頭痛]
●頭痛(偏頭痛、餘見傷寒頭痛)
●脳痛(脳風)[外邪による激しい頭痛]
●頭旋(頭重)[めまい]
●頭腫[頭が腫れぼったい]
●頂腫痛[頭頂部の腫痛]
●面腫(餘見水腫)[顔面のむくみ]
●面痛(面赤、面黒)[顔の痛み]
鍼灸資生経巻七
●傷寒(熱病 陰証 陽証)[寒けを伴う伝染病]
●黄疸
●傷寒頭痛(其餘見頭痛)[伝染病による頭痛]
●傷寒寒熱(餘見自汗 傷寒無汗)[伝染病による悪寒発熱]
●寒熱(又見傷寒寒熱 中風寒熱)[悪寒発熱]
●腹寒熱気(冷気 又見労)[腹の寒熱の気]
●身寒痹(湿痹不仁、又見手足痹不仁)
●自汗(傷寒自汗、盗汗)[多汗]
●汗不出[汗が出ない]
●傷寒無汗[伝染病で、汗をかかない]
●発背(癰疽、瘍瘻、餘見痔漏)[背中のデキモノ]
●癭瘤(肉瘤)[甲状腺腫]
●瘰癧[リンパ結核]
●風疹(癮疹)[ジンマシン]
●歴節風[リウマチ]
●丁瘡(瘍瘻、魚臍瘡、窩瘡、疳瘡)[疔]
●癬疥瘡(白癜風、疣目)[疥癬]
●蠱毒[寄生虫による疾患]
●犬傷(蛇傷)[狂犬のカミ傷]
●乳癰[乳腺炎]
●乳腫痛(乳少、吐嬭)[乳房の腫痛]
●婦人無子[不妊症]
●婦人血気痛[子宮痛]
●血塊(瘀血)[子宮筋腫]
●血崩(崩中漏下、悪露不止)[不正出血]
●産後餘疾(産前)[産後の余病]
●難産(胞衣不出、子搶心、落胎)
●月事[月経]
●赤白帯[血液や膿の混じった帯下]
あとがき
前書きなど
『鍼灸大成』と『鍼灸甲乙経』は、鍼灸の二大名著である。『鍼灸甲乙経』は、最初に経穴を定めた書物で、初めての鍼灸書だから「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」という十干の最初を取って『鍼灸甲乙経』とした。現代に直せば『鍼灸ABC』だ。『素問』『霊枢』と『明堂灸経』を合算したものといわれている。現代に残っている『明堂経』は、『甲乙経』や『備急千金要方』などから経穴篇を抜粋して再編纂したものといわれている。そして『鍼灸大成』は、鍼灸が最も成熟した明代末期に、多くの鍼灸書を集めた粋とされているが、私見では『鍼灸聚英』に自分の臨床経験を加えたものではないかなと思う。そして『鍼灸資生経』だが、これは自分の治療経験を加えた最初の書ではないかと思う。もちろん『備急千金要方』は初めて膏肓腧を加えているので、それも自分の治療経験を加えているといえるが、漢方薬に終始しており、自分の鍼灸経験は少ない。しかも「鍼は危険だから」と言って、灸を推奨している。『鍼灸資生経』には「まず押してみて、患者が痛みや怠さを訴えれば穴位なので刺鍼する」と書かれている。また「八木の火」とか、さまざまな知識も与えてもらった。「八木の火」であるが、昔は艾を使わず、皮膚に直接、赤くなった木を押し付けて施灸することが多かった。そうした焚き火に使っている小枝で、施灸に適さない燃え差しの木を「八木の火」と呼ぶ。私は、もちろん『鍼灸大成』や『鍼灸聚英』も好きなのだが、『資生経』は特別である。『資生経』はオリエント出版から原文が刊行されたことがあるらしいが、なにしろ全セットが三十万円で、全三十冊ほど。ほとんどが漢方薬の古典で、鍼灸書が少なかったから買う気になれなかった。
こうした自身の臨床経験を記した鍼灸書は、『鍼灸資生経』が最初と思うが、その流れは『鍼灸大全』、『鍼灸聚英』、『鍼灸大成』と引き継がれ、経穴書としての部分は『銅人』、『金蘭循経取穴図解』、『十四経発揮』、『鍼灸集成』、『鍼灸逢源』と引き継がれる。その大本は『鍼灸甲乙経』であり、それが臨床中心の前者と、経穴のみ記載する後者に分かれた。『鍼灸名著集成』には、未収鍼灸名著提要があり、その多くを私は蔵書しているが、残念ながら年齢がついていかない。
版元から一言
『鍼灸資生経』は、自身の臨床経験を記した鍼灸書として最初の書といわれています。著者がこれまでに刊行してきた、『鍼灸大成』『鍼灸甲乙経』『素問』『霊枢』等に新たに本書が加わります。『素問』や『霊枢』と同価格帯での刊行となり、学生にも購入しやすくなっています。
上記内容は本書刊行時のものです。