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未完の日本海軍 亀田 晃尚(著/文) - 三和書籍
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未完の日本海軍 (ミカンノジャパンネイビー) 戦後の吉田路線と海上保安庁 (センゴノヨシダロセントカイジョウホアンチョウ)

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発行:三和書籍
A5判
248ページ
並製
価格 2,700円+税
ISBN
978-4-86251-448-6   COPY
ISBN 13
9784862514486   COPY
ISBN 10h
4-86251-448-0   COPY
ISBN 10
4862514480   COPY
出版者記号
86251   COPY
Cコード
C0031  
0:一般 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2022年5月30日
最終更新日
2023年12月26日
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紹介

 本書では、戦前から戦中に海上保安を担った海軍の役割、戦後の米ソ対立の深刻化に伴うアメリカの対日姿勢の変化などに加え、これまでほとんど研究されていない終戦直後からの旧海軍軍人による海軍再建構想の一環としてのシーパワー統合構想を中心に考察し、戦後日本の海上権力について考えてゆく。

目次

はじめに                                
第一章 戦前から戦中の海軍による海上保安
 第一節 イギリス海軍を範とした日本海軍                
 第二節 海軍による戦前の海上保安
 第三節 海事行政と海上輸送への海軍の関与

第二章 海軍に代わる海上保安機関の構想
 第一節 終戦直後の水上監察隊の構想
 第二節 朝鮮でのコレラ発生と不法入国対策
 第三節 ミールス大佐の水上保安制度への助言 
 第四節 水上警察の運輸省への移管問題

第三章 海上保安庁の創設
 第一節 GHQへの海上保安機関の設置申請
 第二節 軍隊的機能の否定条項の追加
 第三節 海上保安庁法案の国会審議
 第四節 不法入国等の取締りと武装問題
 第五節 対日理事会でのソ連の反発

第四章 朝鮮戦争時の海上保安庁の機雷掃海
 第一節 朝鮮戦争の勃発とGHQの増員司令
 第二節 GHQの朝鮮水域での機雷掃海要請
 第三節 海上保安庁による朝鮮水域の機雷掃海

第五章 海軍再建構想とY委員会
 第一節 旧海軍軍人の海軍再建構想
 第二節 アメリカ海軍艦艇の貸与とY委員会 
 第三節 海上警備隊の創設

第六章 海上保安庁の解体と保安庁海上公安局の設置
 第一節 保安庁法案と海上公安局法案
 第二節 法案提出前の国会質疑
 第三節 法案提出後の国会質疑
 第四節 海上公安局法の未施行廃止
 第五節 李承晩ラインと海上公安局法

第七章 海上自衛隊と海上保安庁
 第一節 防衛庁・自衛隊の設置
 第二節 自衛隊法第八〇条と海上保安庁法第二五条
 第三節 飯田忠雄の海上警察権論

結び
年表
参考文献
注釈

前書きなど

アメリカの海軍士官で戦略研究者でもあったマハン(Alfred Thayer Mahan)は、一八九〇年に『海上権力史論(The Influence of Sea Power upon History, 1660-1783)』を刊行した。マハンはこの中で、海上権益の問題を前面に置き、世界の歴史の流れや国家の繁栄に影響を及ぼしたものとしてシーパワー(Sea Power)を挙げた。マハンは、「広い意味におけるシーパワーとは、武力によって海洋ないしはその一部分を支配する海上の軍事力のみならず、平和的な通商や海運をも含んでいる」とした。マハンは狭義のシーパワーとして海軍力を挙げ、広義のシーパワーとして海軍力に加えて通商や海運を挙げた。シーパワーの定義は必ずしも明らかではないが、マハンの言う広義のシーパワーに含まれる通商や海運は商船隊に関係する力であろう。商船隊の隻数や船員の質といった商船隊自体の能力に加えて、燃料等の補給・修繕能力や荷役能力、さらには商船隊が安全かつ効率的に運航するための海図や灯台といった航行援助能力も含まれるだろう。これらを全て含めた海上における国家の総合力をマハンは広義のシーパワーと呼んだと思われる。マハンは「船舶の保護は、戦時においては武装船によって行わなければならない」として大海軍の必要性を唱えた。マハンは海軍を戦争の道具としてだけではなく、国家権益を拡大する通商や海運を保護するものとして捉えた。
マハンの大海軍建設や植民地獲得等に関する理論は、帝国主義的膨張政策をとっていた列強諸国に大きな影響を与えた。日本海軍も例外ではなく、マハンの理論を積極的に導入してその拡張を図った。日本海軍は、戦前から戦中にかけて日本周辺海域における海上保安を担ったが、終戦に伴い、連合国最高司令官総司令部 (General Headquarters:GHQ)は、連合国最高司令官指令(SCAPIN-1)を発令し、海軍は解体された。
海軍なき後の日本周辺海域では、密輸や密航のほか、日本船舶への海賊行為、日本漁船への銃撃や拿捕行為が多発した。こうした状況を踏まえ、占領下の昭和二三年五月、海上保安庁は「海上において、人命及び財産を保護し、並びに法律の違反を予防し、捜査し、及び鎮圧するため」に設置された。しかし、当時の占領下における複雑な国際関係を反映し、海上保安庁法(昭和二三年法律第二八号)第二五条では、「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」と明記され、海上保安庁の軍隊的機能が否定された。

版元から一言

 現在の日本海域周辺では、尖閣諸島をめぐる領有権問題や密輸、密航、海賊行為等が多発しています。今後、海洋問題を巡る様々な議論が進んでいく中で、本書が少しでも参考になればと願っています。

著者プロフィール

亀田 晃尚  (カメダ アキヒサ)  (著/文

博士(公共政策学)
1971年、福岡県生まれ。 1993年、海上保安大学校卒業。 尖閣諸島の領海警備などの様々な海上保安業務に従事。勤務の傍ら、法政大学経済学部経済学科(通信教育課程)卒業、 放送大学大学院社会経営科学プログラム修了、法政大学大学院公共政策研究科修了。2020年、 法政大学で博士号(公共政策学)を取得。日本政治法律学会、日本国際政治学会、日本政治学会 日本法政学会会員。著書に「尖閣諸島の石油資源と日中関係」(三和書籍 2021年)「尖閣問題の変化と中国の海洋進出」(三和書籍 2021年)。

上記内容は本書刊行時のものです。