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星の王子さまの気づき
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2021年6月14日
- 登録日
- 2021年5月28日
- 最終更新日
- 2023年12月26日
書評掲載情報
2021-07-31 |
朝日新聞
朝刊 評者: 阿古智子(東京大学教授・現代中国研究) |
2021-07-07 | 毎日新聞 |
2021-06-30 | しんぶん赤旗 2021年6月30日号 |
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紹介
星の王子さまの目で見た社会に作者の思想や体験を重ね合わせ、人と人との関わり方、恋愛の意味、社会を変えるために一人一人がやらなければならないこと、他を理解することの難しさと努力、人生の終わりとは、などを読み解き、あらゆる階層、世代の人に平易な文章で問いかける。斬新な視点でこれまで気づかなかった悟りを与えてくれる。「大切なことは心でないと見えないんだ」「私たちが変われば世界のあり方も自ずと変わる」など珠玉の名言を改めて思い起こさせてくれる書。
目次
序文 天露とハスの葉
第1章 夢はどこまで続く
第2章 大人の童心
第3章 儚い初恋
第4章 王子さまの気づき
第5章 あなたが五千本のバラのうちの一本に過ぎなかったら
第6章 小麦色に君を思う
第7章 キツネの気持ち
第8章 愛することの責任
第9章 バラの人生はバラのもの
第10章 どうして友だちはお金で買えないの
第11章 孤独な現代人
第12章 選択するということ
第13章 なつけることは政治的なこと
第14章 「理解」の難しさと大切さ
第15章 無に帰る前に
結語 読者の気づきとともに
附録 読書が照らす月の色
前書きなど
1943年、世界は第二次大戦の只中。『星の王子さま』がサン=テグジュペリによって生み出され、世界は変わりました。
それは新たな物語の誕生であり、それ以上に一人の特別な存在の出現でした。以来、王子さまは数多の読者の成長に寄り添い、暖かさと気づきを与え、今なお私たちに愛の方法を教え続けています。王子さまに「なつけ」られていく過程で、私たちも彼の知己となっていきます。いま20世紀の文学史を振り返ってみても、これほどまでに多くの読者を持つ作品は存在しなかったと思います。人類が存在し続ける限り、『星の王子さま』は変わらず読み継がれ語られていくとさえ言えるでしょう。
2015年秋、憔悴し切った状態で香港から台北に行き着いた私は、来る日も来る日も都市の静かな通りに佇むカフェ『道南館』で徒然と日々を過ごしていました。そこで20年の時を経て、本当に偶然に「王子さま」と再会を果たすことになります。読めば読むほどに、それまでに抱いたことのない考えや想いが脳裏をかすめていきました。そうして、思うところを一篇一篇と書き連ねていったものが『王子さまの気づき』です。
私は、全ての本には命が宿っていると信じています。王子さまとバラの関係がそうであるように、本もまた読者との出会いによって「唯一無二」の存在になります。いま私は静かな書斎で昇ってくる朝日を窓の外に臨みながら、この本が遠く離れた読者の手に届く情景を想像し、ささやかな喜びを感じながらこの序文を書いています。不安な日々が続く香港で、こんなに穏やかな気分になれたのはどれくらいぶりのことでしょうか。
人間として生まれたからには、誰にも等しく思想があり、心があります。そして、それらは言葉によって目に見える形を得ます。雨露がハスの葉の上で初めてその輝きを見せるように、この本が皆さんの心に寄り添う存在となることを願ってやみません。皆さんと私は異なる場所で異なる人生を送っていますが、心を尽くしさえすれば、生活の中にある小さな喜びも悲しみも共有し、他者の脆さと尊さを理解することができます。少なくとも私は、これまでも、これからも、この世界はそんな風にあり続けると信じています。
版元から一言
本書は、名作・星の王子さまの解釈本であるが、政治、哲学者で、香港雨傘運動の理論的支柱の一人である作者が、運動の敗北後に渡った台湾で一人内省し書かれた作品。社会や自由といった知見に基づいたものでこれまで書かれた関連本とは一線を画したものとなっている。人間関係を複眼的に掘り下げた分析が行われており、彼が読み解く「人が関わりあう世界」は、平易な文章で若者から大人まであらゆる読者の心に差し込むだろう。困難なこの時代に生きる現代の人々に、人はどう生きるべきか、社会を変えていくにはどうしたら良いか、を考えさせてくれる好著。
上記内容は本書刊行時のものです。