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大嘗祭の本義
民俗学からみた大嘗祭
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年4月25日
- 書店発売日
- 2019年5月15日
- 登録日
- 2019年4月15日
- 最終更新日
- 2023年12月27日
書評掲載情報
2019-05-18 |
朝日新聞
朝刊 評者: 大澤真幸(社会学者) |
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紹介
【内容紹介】
本書は折口信夫の「昭和三年講演筆記」を現代語訳したものである。
訳者の森田勇三は、以前から「日本の民族的、文化的源流を求めて」をテーマに、アジア東南部の稲作文化地帯諸民族の生活文化を踏査してきた。今般の今上天皇譲位と新天皇の即位に際して、稲作文化としての〝大嘗祭〟に関心を持ち、明治以後の四代、東西八カ所の斎田地を探訪調査した。そして、本年五月に『大嘗祭の起こりと神社信仰―大嘗祭の悠紀・主基斎田地を訪ねて―』の題名で出版することになった。それにあたって必要な、昭和3年における折口信夫の講演録『大嘗祭の本義』を現代語訳した本書を同時に上梓する運びとなったのである。2冊を合わせ読めば、日本にとって大変重要な大嘗祭の意味と意義がよく理解されるといえよう。
目次
はじめに
一、にえまつりについて
二、まつりごととは
三、神嘗祭と新嘗祭
四、秋・冬・春祭りと鎮魂行事
五、宮廷の鎮魂式と物忌み
六、春の祭り
七、祝詞(祭りの儀式に唱えて祝福する言葉)
八、寿詞(天皇の長寿・繁栄を述べる祝いの言葉)
九、大嘗祭における御所の警護
十、風俗と語部について
十一、天皇様の禊ぎについて
十二、廻立殿のお湯
十三、天つ罪と国つ罪
十四、直会について
現代語訳を終えて
前書きなど
私(折口信夫)の講演の演題を、最初は「民俗学よりみた大嘗祭」としたのだが、それでは大嘗祭の意義が軽くなるのではと心配して、「大嘗祭の本義」とした。
題目がはなはだ神道家のようで、何だか神道の宣伝のような傾向があるが、実はこれまでの神道家の考え方では、大嘗祭はよく分からない。私は、民俗学の立場から、大嘗祭を明らかにしてみたい。
ここでまず申しておかねばならないのは、私の話が、少し不謹慎なように受け取られる部分があるかも知れないことである。しかし、話ははっきりさせておかないと、何も分からないので、明白にするのだが、かえって本義を追求することになり、大事にすることにもなる。
私たちの祖先の生活上の、ひいては古代の宮廷の陰事を世に知らせるようになるかもしれないが、それがかえって、国の古さ・家の古さを思い知らせることにもなる。単なる末梢的なことで、憤慨することのないようにしていただきたい。国を愛し、宮廷を敬う情熱においては、他の人には負けないつもりである。
版元から一言
平成から令和へと改元される今年の11月には、新天皇の即位にともなって30年ぶりに大嘗祭が執り行われる。この機会に、民俗学者としても知られた折口信夫が、昭和の大嘗祭を前にして講演した講話を、わかりやすい現代語に訳したのが本書である。大嘗祭がどのような経緯をたどって成り立ってきたのか、その興味深い経過について考察してある。古式に則って行われる神秘的な皇室行事の一端を知るのに恰好な1冊としてお勧めする。
上記内容は本書刊行時のものです。