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古典マルセイユ版から読み解く タロットの謎
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2018年6月
- 書店発売日
- 2018年6月21日
- 登録日
- 2018年6月1日
- 最終更新日
- 2018年6月18日
紹介
一般読者からタロット初心者、スピリチュアリスト、占い師……まで必見!
大アルカナ全体を通して見ると、どのような物語になっているか?
登場するキャラクターたちは、なぜその面々が選ばれているのか?
その面々で何を物語っているのか?
なぜ、この順番に並んでいるのか?
誰も迫れなかったこれらの謎をシンプルかつ斬新な視点からいま解き明かす!
漫画家やノベル作家、ゲーム作家やライターにも、閃きのヒント満載!
目次
●大アルカナ一覧
●タロット人生劇場
●はじめに
第1章 なぜ、マルセイユ・タロットなのか
●大アルカナ
●小アルカナ
●本書はマルセイユ版を解読する
●マルセイユ版は哲学的知育玩具
●78対22の法則
●タロットと本書を読み解く鍵
第2章 大アルカナを読み解いてみよう
●愚者
光を放つ怪しい袋/道化とお太鼓持ち……
●I 奇術師
旅する道化が町に着くと/魔法と手品と超魔術/1は神……
●II 女教皇
女の教皇などいない/神の母にして永遠の処女……
●III 女帝
1 + 2 = 3/王権の証レガリア三点セット/鷲の盾……
●IIII 皇帝
王の傍らには道化がいる/王は横顔で描かれる……
●V教皇
教会と寺子屋/差別のはじまり/天国の門の鍵を持つ者……
●VI 恋人
変なタイトル/なぜ三人いるのか/リリスとエバ……
●VII 戦車
労働の始まり/ベン・ハーの戦車競走……
●VIII 正義
権力の座についた者/正義の女神は売春婦……
●VIIII 隠者
隠者の語源/魔法使いの側面/周縁の番人……
●X 運命の輪
悪魔の車輪/遊園地は回りものばかり……
●XI 力
女子レスラーは恋愛禁止/二つあってこその力……
●XII 振り子
「吊された男」はなぜ男なのか/12は時の数……
●XIII(無題)
なぜ無題なのか/農夫と皇帝……
●XIIII 節制
欲望に制限をかけること/子供のころ練習したあの動作……
●XV 悪魔
山羊ではない、鹿だ/夜に全裸で/コウモリの翼……
●XVI 神の家
はしごを天使が上り降り/神の家は病院……
●XVII 星
髪は切ってもまた生えてくる/裸の娘の雨乞い儀式……・
●XVIII 月
夜の女王/月と犬と女と/月とザリガニは何度でも蘇る……
●XVIIII 太陽
太陽が放射する二つの力/奇術師と運命の輪と太陽……
●XX 審判
開かれる墓/閉じたり開いたりする場所/墓と本……
●XXI 世界
四聖獣とスピンクス/四聖獣と黄道十二宮……
第3章 タロットと物語(おはなし)
●『出エジプト記』と大アルカナの照応
●ホロコースト(『夜と霧』)
●『ヨハネによる福音書』と大アルカナの照応
●輪廻転生の車輪
■あとがき
祐天寺タロット研究会/これであなたも違いの分かる人
前書きなど
●はじめに
本書は、タロットカードの寓意画の謎解き本だ。その寓意画は不思議でエッチでちょっぴり怖く、人々を魅了してやまない。
本書は「タロット占い」については一切触れない。しかし、本書を読めばタロットの本質を理解できるだろうから、それが占いに役立つときも来るかもしれない。
序章の「タロット人生劇場」は、ウィリアム・シェイクスピアの喜劇「お気に召すまま」の中で貴族のジェイクイズが語った詩に、筆者がタロットカードを添えたものだ。人が生まれ、学生、恋する若者、兵隊、裁判官、老人となっていく過程が、タロット(大アルカナ)の、5番(教皇)から9番(隠者)までにぴったり一致している。生まれた赤子が道化(愚者)なのは、まだ言葉も知らぬ愚かな状態にあるからだ。これを読んで、「ああ、なるほど、そういうことなのか」と腑に落ちた方には、本書を是非読んでほしい。
本書ではこれを手がかりとして、大アルカナ全体の謎解きを試みる。
愚者や1番(奇術師)から21番(世界)まで通しで見たときには、どのような物語になっているのだろう?
登場するキャラクターたちは、なぜその面々が選ばれているのだろう?
その面々でなにを物語っているのだろう?
なぜこの順番に並んでいるのだろう?
ほとんどのタロット本は、カードの相互関連性については目もくれない。謎に満ちた寓意画の集合体であるタロットが、全体でなにを寓意しているのかについても触れようとしない。全体を繋ぐ糸がなく、「木を見て森を見ず」なのだ。
タロットは一枚一枚が深い寓意画として描かれているのはもちろん、それぞれのカードが相互に関連しあい、意味を補完しあうようになっており、さらにそれら全体である種の「物語の構造」が暗示されている。
物語ではなく「物語の構造」と言ったのは、それが何か特定の物語になっているというわけではなく、おはなしの骨組みのようなものが示されているからだ。
しかし、物語の骨組みというのはとても抽象度が高いもので、骨組みにどのような肉付けをするかによって、まったく別のおはなしになる。肉付けの仕方を変えれば、聖書の「出エジプト記」のようになったり、「ヨハネの福音書」になったりもする。骨組みを知っている人にはそれと分かるが、知らない人は気づかない。
「タロット人生劇場」も骨組みにほんの少し肉付けして作られた物語といえる。教皇と弟子、恋人、戦車と戦士、裁判官、隠者の老人、これらを繋ぐ糸がシェイクスピアの詩で明らかになったが、それに気づかなければ、タロットが全体で暗示している物語は見えてはこないだろう。カード一枚一枚は、タロットの骨組みを構成している骨の一つ一つと見なすことができ、番号がついているので並べ方も示されてはいる。しかしそれがどのような糸で結ばれているのか、なかなか気づかないものだ。
人が生まれて成長して恋をして結婚して戦って繁栄して引退して死ぬという、この当たり前にしてもっとも謎に満ちた現象をシンボライズしたタロット。タロットがどうして占いに使われるのかというと、占いは人生相談であり、人生のすべての段階がタロットに含まれているからだろう。
ところで、シェイクスピアが「世界はすべてお芝居だ」といっているように、私たちの現実の生活もおはなしの連続とみなすことができる。また、「歴史は繰り返す」と言われるが、それは歴史が物語のように伝えられ、同様の話は今も繰り返されていることに気づくから、そう言われるのだろう。つまり、タロットが黙示している物語の構造は、現実の世界の物語の構造でもある。タロットという物語の構造を理解すれば、森羅万象の中にもその構造が潜んでいることが見えてくるのだ。
関連リンク
上記内容は本書刊行時のものです。