版元ドットコム

探せる、使える、本の情報

文芸 新書 社会一般 資格・試験 ビジネス スポーツ・健康 趣味・実用 ゲーム 芸能・タレント テレビ・映画化 芸術 哲学・宗教 歴史・地理 社会科学 教育 自然科学 医学 工業・工学 コンピュータ 語学・辞事典 学参 児童図書 ヤングアダルト 全集 文庫 コミック文庫 コミックス(欠番扱) コミックス(雑誌扱) コミックス(書籍) コミックス(廉価版) ムック 雑誌 増刊 別冊
21世紀の豊かさ 中野佳裕(編集 | 翻訳) - コモンズ
.
【利用可】

書店員向け情報 HELP

書店注文情報

在庫ステータス

在庫あり

取引情報

直接取引:なし

出版社への相談

店頭での販促・拡材・イベントのご相談がありましたらお気軽にご連絡ください。

21世紀の豊かさ (ニジュウイッセイキノユタカサ) 経済を変え、真の民主主義を創るために (ケイザイヲカエ シンノミンシュシュギヲツクルタメニ)

社会科学
このエントリーをはてなブックマークに追加
発行:コモンズ
四六判
420ページ
上製
定価 3,300円+税
ISBN
978-4-86187-137-5   COPY
ISBN 13
9784861871375   COPY
ISBN 10h
4-86187-137-9   COPY
ISBN 10
4861871379   COPY
出版者記号
86187   COPY
Cコード
C1030  
1:教養 0:単行本 30:社会科学総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年10月
書店発売日
登録日
2016年9月6日
最終更新日
2016年12月20日
このエントリーをはてなブックマークに追加

書評掲載情報

2016-12-11 朝日新聞
評者: 杉田敦(政治学者)
MORE
LESS

紹介

経済成長至上主義への根底的批判と、共=コモンズの再構築を通じた21世紀型の豊かさの構想。
南米・ヨーロッパ・米国・日本の精鋭12名が各地の社会運動を踏まえながら、オルタナティブな経済・政治・社会への道筋を多角的に展開。

目次

 序 章 二一世紀の豊かさと解放──北と南の対話へ向けて 中野佳裕

第Ⅰ部 ブエン・ビビールと関係性中心の哲学――ラテンアメリカの革新

 第1章 開発批判から〈もうひとつの経済〉の考察へ――多元世界、関係性中心の思想 アルトゥロ・エスコバル
 訳者解説 ラクラウ理論の読解のために 中野佳裕
 第2章 政治的構築の論理と大衆アイデンティティ エルネスト・ラクラウ
 第3章 ラテンアメリカにおける国家の再建 ボアベンチュラ・デ・ソウサ・サントス
 第4章 発展に対するオルタナティブとしてのブエン・ビビール――周辺の周辺からの省察 アルベルト・アコスタ

第Ⅱ部 社会民主主義の隘路から抜け出す――ヨーロッパ・北米の挑戦

 第5章 ヨーロッパの左派――その歴史と理論を振り返る ジャン=ルイ・ラヴィル
 第6章 生態学的カオスの脅威と解放のプロジェクト ジュヌヴィエーヴ・アザム
 第7章 生産力至上主義との決別、解放の条件 フロランス・ジャニ=カトリス
 第8章 社会のすべてが商品となるのだろうか?
  ――資本主義の危機に関するポスト・ポランニー的省察 ナンシー・フレイザー

第Ⅲ部 コミュニティの再構築を目指して――日本の課題

 第9章 「脱成長の福祉国家」は可能か――ポスト資本主義とコミュニティ経済 広井良典
 第10章 コミュニティの社会学から社会史へ 吉原直樹
 第11章 民主政治の試練の時代──民主主義の再生のために 千葉 眞
 第12章 〈南型知〉としての地域主義──コモンズ論と共通感覚論が出会う場所で 中野佳裕

あとがき

前書きなど

   あとがき

 本書の編集に関しては、ラヴィル氏とコラッジオ氏の協力を得ながら中野佳裕が担当した。翻訳もすべて中野が行い、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、北米の研究者の論文をそれぞれスペイン語、フランス語、英語のオリジナル原稿から訳出した。また、企画から完成に至るまで、コモンズの大江正章さんからは多くの助言と協力をいただいた。この場を借りてお礼を申し上げたい。
 本書の企画が立ち上がったのは二〇一三年の秋である。海外の執筆者の原稿はその時点で入手し、翻訳を進めていった。したがって、本書に収録されている翻訳論文は、原則、ラテンアメリカ版に向けて執筆された原稿を基にしている。その後に刊行されたフランス語版を確認したところ、各著者の原稿に見出しの追加や編集上の手直し(段落や文の削除)など、若干の修正が加えられていたことがわかった。しかし、それらの変更は内容に大きな影響を与えないかぎり、翻訳を推敲するうえでの参考材料にとどめている。
 唯一の例外はラヴィルの論文である。彼はラテンアメリカ版とフランス語版に、異なる構成と議論を含む論文を寄稿している。いずれもフランス語で四万語を超える大論文であり、その全文を訳出し収録することは、日本語版の許容能力を超えてしまう。そこで、彼の論文に関しては、ラテンアメリカ版向けに執筆された原稿を基に訳出を進め、高度な学説史的論争に関わるセクションについては、本人の了解を得て割愛した。
 また、本書を制作中の二〇一四年春に、執筆者の一人エルネスト・ラクラウが他界した。ラクラウに師事して英国エセックス大学修士課程に留学した私にとって、彼とその弟子たちと研究に励んだ月日は忘れられない財産である。九・一一とイラク戦争後の混乱した世界のなかで、民主主義の意味を考え、反戦運動や反グローバリズムの運動に参加しながら議論を繰り返した日々だった。出版前の『ポピュリズムの理性について』(二〇〇五年)の草稿を議論するセミナーで、彼は一度、こう情熱的に語ったことがある。
 「私は、人間は抵抗する生き物だと信じている。この信念は、どんな論理でも説明できない」
 政治について理詰めで考えることで知られるラクラウだが、この言葉にこそ、彼の思想の真理があると私は確信している。彼の学術活動に敬意を表し、本書を捧げたい。エルネスト、ありがとう。Adios!

    二〇一六年九月一一日
中野佳裕 

版元から一言

コモンズ創業20周年記念出版

著者プロフィール

中野佳裕  (ナカノ ヨシヒロ)  (編集 | 翻訳

Ph. D(英国サセックス大学)。専門は社会哲学・開発学・平和研究。国際基督教大学社会科学研究所非常勤助手、同大学教養学部非常勤講師、明治学院大学国際平和研究所研究員を兼任。NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)企画運営委員。大学では開発学、平和学、国際政治経済学分野の講義を担当。2014年度からはPARC自由学校で「新しい〈経済学〉と〈豊かさ〉を学ぶゼミナール」も担当中。共著に『脱成長の道──分かち合いの社会を創る』(勝俣誠、マルク・アンベール編著、コモンズ、2011年)、『21世紀の左派――北と南の対話へ向けて』(ジャン=ルイ・ラヴィル、ホセ・ルイス・コラッジオ編、スペイン語、2014年/フランス語、2016年)など。訳書にセルジュ・ラトゥーシュ著『経済成長なき社会発展は可能か?――〈脱成長(デクロワサンス)〉と〈ポスト開発〉の経済学』(作品社、2010年)、ジャン=ルイ・ラヴィル編『連帯経済――その国際的射程』(北島健一、鈴木岳との共訳、生活書院、2012年)、セルジュ・ラトゥーシュ著『〈脱成長〉は、世界を変えられるか?――贈与・幸福・自律の新たな社会へ』(作品社、2013年)など。詳細はウェブ研究室(http://postcapitalism.jp/index/)まで。

ジャン=ルイ・ラヴィル  (ジャン ルイ・ラヴィル)  (著/文 | 編集

フランス出身。専門は経済社会学。カール・ポランニー研究所コーディネーター。パリ国立工芸院(CNAM)教授。フランスにおける連帯経済研究で中心的役割を果たしている。主著に『アソシエーションの政治』(フランス語、2010年、未邦訳)など。編著に『連帯経済――その国際的射程』(生活書院、2012年)、『社会経済学と民主主義──カール・ポランニーの現代的意義』(イザベル・ヒレンカンプとの共編、フランス語、2013年、未邦訳)、『市民社会、サードセクター、社会的企業──ガバナンスと民主主義』(ポール・エイノー、デニス・ヤングとの共編、英語、2015年、未邦訳)など。

ホセ・ルイス・コラッジオ  (ホセ・ルイス・コラッジオ)  (著/文 | 編集

アルゼンチン出身。サルミエント国立大学経済学教授。同大学学長(1998~2002年)。ラテンアメリカの連帯経済研究の第一人者。主著に『人間開発と教育』(スペイン語、1996年、未邦訳)、『周辺からの社会的経済──ラテンアメリカの貢献』(スペイン語、2007年、未邦訳)、『経済とは何か──宿命論に抗する議論のために』(スペイン語、2009年、未邦訳)など。

上記内容は本書刊行時のものです。