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百姓が書いた 有機・無農薬栽培ガイド 大内 信一(著) - コモンズ
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百姓が書いた 有機・無農薬栽培ガイド (ヒャクショウガカイタ ユウキムノウヤクサイバイガイド) プロの農業者から家庭菜園まで (プロノノウギョウシャカラカテイサイエンマデ)

趣味・実用
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発行:コモンズ
A5判
200ページ
並製
価格 1,600円+税
ISBN
978-4-86187-128-3   COPY
ISBN 13
9784861871283   COPY
ISBN 10h
4-86187-128-X   COPY
ISBN 10
486187128X   COPY
出版者記号
86187   COPY
Cコード
C2077  
2:実用 0:単行本 77:家事
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年11月
書店発売日
登録日
2016年9月8日
最終更新日
2016年12月29日
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重版情報

2刷 出来予定日: 2017-02-18
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紹介

土づくりと堆肥、品種選び、苗づくり、輪作、病害虫予防、種採り……
有機農業歴50年の大ベテランが、豊富な経験を通して
わかりやすくプロの技を伝える

目次

はじめに

   第1章●有機農業の基礎知識

1 有機・無農薬栽培への道
2 土づくりと堆肥・肥料
3 輪作・緑肥・適期適作
4 苗づくり――苗半作・苗7分作
5 有機・無農薬栽培の基本
――作物づくりの心と実践17カ条

   第2章●実を食べる野菜

ナス〈ナス科〉
トマト〈ナス科〉
キュウリ〈ウリ科〉
ピーマン〈ナス科〉
シシトウとトウガラシ〈ナス科〉
カボチャ〈ウリ科〉
エンドウ豆〈マメ科〉
インゲン〈マメ科〉
トウモロコシ〈イネ科〉
オクラ〈アオイ科〉
スイカ〈ウリ科〉
メロン〈ウリ科〉
ゴマ〈ゴマ科〉とエゴマ〈シソ科〉

   第3章●葉・茎を食べる野菜

キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー〈アブラナ科〉
白菜〈アブラナ科〉
レタス〈キク科〉
ホウレンソウ〈ヒユ科アカザ亜科〉
小松菜と青菜類〈アブラナ科〉
タマネギ〈ユリ科ネギ属〉
ネギ〈ユリ科ネギ属〉 

   第4章●根を食べる野菜

大根〈アブラナ科〉
人参〈セリ科〉
カブ〈アブラナ科〉
ラディッシュ〈アブラナ科〉
ジャガイモ〈ナス科〉
サトイモ〈サトイモ科〉
サツマイモ〈ヒルガオ科〉
ナガイモ〈ヤマノイモ科〉
ゴボウ〈キク科〉
ショウガ〈ショウガ科〉
ニンニク〈ユリ科ネギ属〉
ラッキョウ〈ユリ科〉

   第5章●穀物など

米〔イネ〕〈イネ科〉
小麦〈イネ科コムギ属〉
大豆〈マメ科〉
ソバ〈タデ科〉
ナタネ(アブラナ)〈アブラナ科〉
ワタ〈アオイ科〉

前書きなど

ホウレンソウに励まされて●あとがきに代えて

 2011年3月15日、東日本大震災による原発の水素爆発事故で、近隣の浪江町から二本松市に約7000人が避難してきました。体育館や公民館では、パンやおにぎりは提供されますが、温かい汁やおかずはありません。そこで、多くの団体が炊き出しを行い、私たちは畑にいっぱいあったホウレンソウなどを中心に料理をつくりました。大量の調理は、毎年行う消費者との収穫祭で経験しているので、お手のものです。そのとき二本松市長も訪れて、こう挨拶しました。
 「いまはガソリンがなくて、牛乳を運ぶことができません。明日は皆さんがたっぷり飲めるように提供します」
 ところが次の日、放射能検査の結果、ホウレンソウと牛乳が出荷停止となりました。山あいに位置する酪農家が、牛に沢水を飲ませていたからです。ふだんはとてもきれいな水が、放射能によって汚染されてしまいました。自然豊かな地ほど、被害は甚大になります。
 私の畑のホウレンソウも汚染されました。これから福島の地で農業を続けられるだろうか。大きな不安のなかでホウレンソウ畑に行くと、元気に育っています。畑に立っている私に、ホウレンソウの叫びが聞こえてきました。
 「私たちは葉を精一杯広げて、降ってくる放射能を受けとめ、土を守ったのよ」
 ホウレンソウは人間に美味しいと言って食べてもらいたかったろうに、我が身を犠牲にして土を守ったと言っている! 私はホウレンソウが愛(いと)しくなりました。このホウレンソウの想いを無にはできません。私はホウレンソウを根こそぎ抜いて、人が来ない空き地に捨てました。軽トラック10台分です。
 その隣の畑では、ネギがすっくと立っていました。ネギは葉がスベスベしていて、降ってきた放射能をまったく寄せつけなかったのです。根からも吸わなかったため、放射性セシウムは検出されず、出荷できました。
 春早く、雪が消えると、最初に畑に種子を播くのはホウレンソウです。2月に播いたホウレンソウからは、芽が出始めていました。4月末に大きく育ってから放射能検査を行うと、ほとんど検出されません。このことから、私は気づきました。豊かな土であれば、作物の根は放射性セシウムを見分け、必要な肥料分のみ吸収すると思ったのです。
 かつて東北地方の農民は、冷害に苦しめられてきました。当時も農民や研究者が知恵を出し合い、努力しましたが、結局は作物の賢さと強さに助けられてきたと思います。今回の人災でも、やはり作物の賢さと強さに助けられました。
 2011年は天候に恵まれ、大豊作でしたが、秋は大変でした。米や大豆にできるかぎりの対策をとったものの、用水や土地の条件によって一部の収穫物から基準値を超えた放射性セシウムが検出され、出荷も移動も禁止されたからです。自分の作物は大丈夫でも、地域のサンプル検査で一点でも検出されると、地域全体が出荷停止となります。
 しかも、作物から放射性セシウムが検出されなかったにもかかわらず、放射能への不安から、長く提携していた消費者の60%が離れました。いったい、どうすればよいのか。思案していたとき、チェルノブイリ原発事故の被害者支援を長く続けてこられた河田昌東先生が福島に何度も足を運ばれ、貴重なアドバイスと歩む道を示してくださいました。
 「チェルノブイリの被害者の支援過程で、作物によって放射性セシウムの吸収に差があることがわかりました。吸いにくいのは、ナス、キュウリ、トマト、その次が人参で、多く吸うのはナタネやヒマワリです。ただし、ナタネやヒマワリの実から搾った油からは、検出されません。そこで、除染作物として育て、油を利用しています」
 私は人参を活用できないかと思い、以前から好評だった人参ジュースの製造を増やすことにしました。仲間とともに人参を多く作付けし、加工したジュースからは、放射性セシウムは検出されず、味も上々です。一般のジュースと比べると割高ですが、本物で美味しく安全で健康に良いものは売れるという確信を持ちました。お陰様で、多くの人たちに愛飲されています。
 一方、搾った油の販売は大変です。それでも、遊休地が増えるなかで、福島の農地を作物と花で復興させたいと願い、できるかぎりナタネとヒマワリも栽培しています。使用済みの油は、トラクターの燃料に利用するつもりです。
 大きな災害をとおして、苦しいなかで多くの人たちの愛を受け、力を与えられ、進む方向を与えられたことを感謝しております。神の測り縄は、ふくしまの地に与えられました。ふくしまが楽しき地、うるわしき地になるよう信じて、力を合わせて歩んでいきたいと思います。

大内信一

著者プロフィール

大内 信一  (オオウチ シンイチ)  (

1941年、福島県二本松市生まれ。
二本松有機農業研究会代表。
米・麦・大豆・雑穀・約50種類の野菜を栽培し、消費者に顔の見える関係のもとで届けている。
福島県在住。

上記内容は本書刊行時のものです。