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KAZOKU  Ⅰ  家族 Ⅰ  姉と弟 オリバー・ノースランド(著/文) - 早美出版社
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KAZOKU

KAZOKU Ⅰ  家族 Ⅰ 姉と弟   

発行:早美出版社
四六判
縦187mm 横128mm 厚さ15mm
重さ 345g
356ページ
並製
定価 1,400円+税
ISBN
978-4-86042-068-0
Cコード
C0097
一般 単行本 外国文学小説
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2013年2月
書店発売日
登録日
2013年11月9日
最終更新日
2013年11月11日
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紹介

十世紀後半、大ブリテン島に名高きアーサー王を祖先に持つブリトン人の王国があった。謀反により、母である王妃は、叔父と乳母とともに深い森に逃れた。森に入ったとき赤子だったアーサーはブリトンの森の中で成長していった。母は謀反のときに別れた夫が不遇のまま生きていることを知り、夫を探すため森を出る。アーサーは母との約束から2年後、消息を絶った母を求め深い森から出た。アーサーには2歳年上の姉がいることも知らされていた。

目次

主な登場人物

アーサー(この物語の主人公)    
リディア王妃(アーサー、アンの母)  
ウイリアム王(アーサー、アンの父)  
アン王女(アーサーの姉)   
ケンジントン公(ジェームス・ケンジントン、リディア王妃の叔父)  
アンナ(リディア王妃の乳母、女官、ケンジントン公と幼なじみ)   
ジョン王(ウイリアム王の弟)    
イシューリン(ジョン王統治時のブリトン王国宰相)   
クロフォード(ケンジントン公の従僕)   
モーリス(クロフォードの次男、アーサーの指南役)    
ハリー(クロフォードの長男)      
ベネディクト神父(ローマ・カトリックの神父)
ジャン修道士(ベネディクト修道院の若い僧)    
オリバー・ローレンス卿(ケンジントン公の親友、領主、騎士)
ローザ・ローレンス(オリバー・ローレンス卿の妻)  
ヘンリー・ローレンス卿(ローレンス卿の長男)
シルヴィー(アン王女の教育係)
フレデリック(シルヴィーの兄、聖書研究家) 
セント・ジョン(ジョン王配下の兵)     
レスター(森の親分、レスター公)
マリア(レスターの妻)
ソフィー(大陸から母をさがしにきた娘)


目次

若者
十五年前
黒い大きな森
ジェームス・ケンジントン
恐ろしい森
森で暮らし始める
不安の中の小屋作り
クロフォード
森の小屋 
ケンジントン公の館
冬の生活に備えて
初雪
森からの遠出
オリバー・ローレンス卿
幼いアーサー
長い夜
森からの贈り物
五年の月日が流れる
リディア王妃、森の外に出る
王妃の城館
再び森へ
森の中での教え
十一年の歳月
王妃の告白
王妃の旅立ち
ケンジントンへの手紙
勇者になるために
アーサー、初めて森から出る
ベネディクト神父
ローレンス卿の館で
ジョン王の治世
父、ウイリアムの大切な教え
新しい未来に
ジョン王の意志
権力者、宰相イシューリン
似顔絵
もう一枚の似顔絵
アン王女と教育係シルヴィー
ジョン王と宰相イシューリン
あやしい二人連れ
その翌日
王妃を捜す旅
シルヴィーの兄
ケンジントン公の手紙
アン王女は何も知らない
イシューリンの陣頭指揮
ケンジントンの病
シルヴィーの怒り
アーサーとモーリス
捕らわれるベネディクト神父
アンとシルヴィー
捕らわれる王妃
宰相の尋問
母の行方
シルヴィーの冒険
逃避行
フレデリックの展望
追跡
王妃はどこに
追いつめられる王と王妃
イシューリンの告白
歓喜
森の親方
ジョン王を支える人々
ベネディクト神父の釈放
アンの手紙
歓喜の晩餐
レスター
アンの苦しみ
イシューリンの過去と謀略
兄と弟
神父とアーサー
懐かしい森の小屋
アーサーの知らせ
アンは神に祈った
姉と弟
ジョン王の落胆
再びケンジントンの館
幸せなアン
家族
その後
あとがき

前書きなど

 あとがき

 この物語は十世紀末の大ブリテン島を舞台としている。
 この時代、大ブリテン島は七つの王国が覇権を目指してしのぎを削っていたが、七王国の他にもいくつかの小さな国が存在していた。その中で、七王国の一つノーザンブリアに接して小さな王国が
あった。この王国は周囲のアングロ・サクソン人の興した国々とは異なり、偉大なアーサー王を祖先に持つケルト人の一派、ブリトン人の国だった。
 このブリトン王国の若い王は、自らの理想とする国家を統治方法に求めた。その統治方法は、王のもとに、立法のための議会が設けられ、構成員として農民や町民までもが参加するものだった。これは成人を迎えた十四歳の頃から少しずつ思い描いた統治方法だった。王の考えによれば、貧しき者を救い、富の偏りをなくすことに主眼が置かれていた。したがって、もともと富を持っている支配階級には不平を言う者もいた。
 この若きウイリアム王の統治方法が二年を経過し、軌道に乗ろうとしていた矢先、謀反が起こった。この若き王の統治を疑問に思う者たちの反乱だったが、周到に計略された謀略は功を奏してしまった。ここから、この物語は始まることになる。
 この物語の主人公は、この時は何も知らない乳飲み子で王の息子だった。両親はこの息子に偉大なアーサー王と同じ名前をつけていた。
 そして、この物語全体は、離ればなれになった求め合う家族を登場人物の行動にあわせてあるがままに描くことになる。家族を求めることは幸せを求めることと一致し、肉親を求める様子は体内に流れる血中にすり込まれたかのような行動の中に現れる。それは生きるものすべてに共通しているかのようだ。

 十世紀末はどのような時代であったか誰も実感できない、多くの文献から想像するだけである。暗黒という言葉がつきまとう中世は、暮らしにくい時代だったのではないかと想定しても実際はわからない。健康で生活に困らない身分であれば、暮らしにくさはそれほどではなかったのではと思ったりもする。事実、この物語の登場人物の暮らしぶりから暗黒の時代の空気は読み取れない。
 暗黒ということは人々の文字が読めないことと同一視できるかもしれない。それは文字を書いたり読めたりする人間が、文字を読めない人々を支配し続け、これこそがこの時代の農民や商工民を隷属させる為政者の常套手段と思われるからである。
 これら庶民を無知のままにして、計り知れない利益を得ようとする考え、暗黒とは知識の暗黒であり、有識者は宗教と戦の力を借りて文字が読めない庶民を支配し続けたとは言えないだろうか。知らせないで統治するとは現代ですらも当てはまる。
 また、衛生観念がどれだけあったろうか、病気になれば多くの人が亡くなり、文献の中には成人した男子の平均寿命はおそらく四十歳まではいかなかったという記述もある。男子が十四歳で成人式を祝ったことは、子孫を残すことと平均寿命が密接に関係しているのではと思われる。

 この物語の主人公の家族は突然の不幸に見舞われた。謀反という外からの力が家族を破壊した。そして主人公の母親は再び家族で一緒に暮らせる状態に戻したいと願う。家族というからには、中心をなすのは父であり、母である。そしてこの物語では、夫は生死さえわからない。夫が生きている可能性を知ったとき、妻が夫をさがす旅に出る。二人の子供は家族が拡散したことすら知らない。なぜなら、家族が崩壊したとき子供は乳飲み子と三歳の娘だった。そして、過去の出来事も知らぬまま、弟は十二歳の時、姉と父がいることを知り、姉は十六歳にして母と弟がいることを知る。そして、おのおのが望む糸をたぐり寄せようとするがままならない。
 思うようにはいかないとは通信の問題ともいえる。現代とは異なり、時代の設定を十世紀頃の英国としているので、相手に知らせる通信の手だてがあまりにも貧弱だった。また、当時の人々は一部の人をのぞいて、文字が読めず、言葉を書きとめる能力はなかった。馬の足が最も速い移動手段なので、羊皮紙に手紙を書いてもすぐには届かず、手紙を届けるシステムさえない、非常に不便な時代だった。
 この遅さが、求め合う家族関係の中身を濃くしているのだろうか、人間関係が希薄と言われる現代と比べるとスピードは必ずしも心の豊かさとは結びつかないのではとも思えてくる。
 文明の利器が少ない時代の生き方が、物に囲まれた現代人の生き方に少しでも香辛料の役割を果たせてくれたらと願う。 

版元から一言

本書は著者が著名な作家ではなく、また弊社が語学出版社であり、一般書を手がけていなかったという事もあり、取次から配本できないという指導を受けてしまった。
しかし、大変面白い作品なので、出来るだけ多くの読者に読んでいただきたいという思いから、登録した次第です。時間はかかるかも知れませんが、販売の努力をしたいと思っています。

上記内容は本書刊行時のものです。