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音のオブジェの本
バシェの音響彫刻入門
- 出版社在庫情報
- 不明
- 書店発売日
- 2025年5月10日
- 登録日
- 2025年3月7日
- 最終更新日
- 2025年5月6日
紹介
フランスを拠点に世界で活躍したサウンド・アーティスト、バシェ兄弟が生み出した「音を奏でるオブジェ=音響彫刻」。
フランソワ・バシェ自身のテキストによる、楽しい音響彫刻入門。
「音響彫刻」とは、バシェ兄弟によって考案・制作された、楽器であり彫刻でもある、音の鳴るオブジェのこと。本書は1992年にフランソワ・バシェによって著された、音響彫刻の入門書です。
音の響きや共鳴、動力、素材、デザインと構造など、音と科学のしくみをさまざまな角度からやさしく解説。
身近なものを使って思うままに音を鳴らしてみたり、自分で作ってみたくなる、
あなたを自由な「音」の世界へといざなう、好奇心と想像力をかきたてる一冊です。
前半では、音や振動、素材ごとの音の特性など、音響学の基礎知識がユニークなエピソードともに解説され、後半では、音響彫刻を作るために大切な動力学の基礎と、実際の素材を例にした制作ノウハウが紹介されます。
音についての幅広い知識と、制作に役立つヒントが満載の、読んで楽しく見ても楽しい、音響彫刻の世界への招待。
再注目されるバシェの音響彫刻
バシェ兄弟は1952年から音響彫刻の開発に取り組み、その造形美と音響は瞬く間に世界から注目の的となった。ニューヨーク近代美術館(MoMA)やロンドンのバービカン・センターをはじめ、世界各地の美術館で展覧会が開催され、日本においては、1970年の大阪万博で鉄鋼館の芸術監督を務めた作曲家・武満徹がフランソワ・バシェを招聘し、鉄鋼館ホワイエに展示された音響彫刻は大きな注目を集めた。
そして、大阪万博から40年を経た2010年、鉄鋼館がEXPO’70パビリオンとしてリニューアルしたのをきっかけにバシェの音響彫刻が修復されることとなり、それを契機に、EXPO’70パビリオンのみならず、京都市立芸術大学、東京藝術大学でも修復プロジェクトが遂行された。また2015年には、東京国立近代美術館で「フランソワ・バシェ音響彫刻の響き」と京都芸術センターで「バシェ音響彫刻コンサート&映画上映会」が開催され、2020年には川崎市岡本太郎美術館「音と造形のレゾナンス-バシェ音響彫刻と岡本太郎の共振」、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAで「バシェ音響彫刻特別企画展」が開催された。
また、2017年には作曲家の坂本龍一がバシェの音響彫刻を用いて楽曲を制作し、アルバム『async』に収録していることも記憶に新しい。
その他、映画音楽にも影響を与えており、ジャン・コクトー監督『オルフェの遺言』(1960)、黒澤明監督『どですかでん』(1970)のほか、2024 年のエドワード・ベルガー監督『教皇選挙』では、音響彫刻《クリスタル・バシェ》が楽曲に使用され、2024年度のアカデミー作曲賞にもノミネートされている。
以上のように、現代においてもバシェの音響彫刻はその独創性やユニークさによって、美術家、演奏家、作曲家、音楽学者などをいまなお惹きつけている。
目次
まえがき
音と音響
楽器と音
音を聴く
音の伝達
共鳴(共振)
共鳴は人生を変える──実際にあった話
スプーンを使った実験
歯を使って音を聴く
糸電話
ピアノの幽霊
サウンドエレメント
平らな金属棒
鉄琴の調律
ケーニッヒの法則
金属板──ゴング、シンバル、ベル
クラドニ図形──1枚の金属板から出せるさまざまな音の模様
板の素材の強化
セラミック製のサウンドエレメント
パイプ
パイプの材料
ゴング
鐘
金属棒
音風車の構成要素
弦
圧縮空気を利用した音
空気の吸引によって発生する音
笛
笛の調律
さまざまな笛
メカニック
「音の噴水」のための水動力
水掻き車
歴史的な発明
回転式のスプレー
桶のチェーン
伝達
重要なディテールの構造
特別な装置
振り子装置と蹴り上げ装置
制作時の注意点
サイフォン
どのようにポンプで水を送るのでしょうか?
水槽
デザインと構造
木材を使ったデザイン
羽の取り付け
鳥を動かす
その他の例
金属を使ったデザイン
水車と回転するフィギュア
配管材を使ったデザイン
銅菅
ウォーターゲーム
風車
仕入れ先
著者について
フランソワ・バシェからの手紙
訳者あとがき
前書きなど
(私は)「音楽の」創造は芸術以上のものであり、それは美しさ以上のものを含む哲学だと考えています。
それは、人々に自己実現の手段を与えることで、自分自身の人生を豊かにするだけでなく、それらの楽器を使う人々の存在、そしてさらにそれを聴く聴衆の人生までも豊かにする方法なのです。
(本書「フランソワ・バシェからの手紙」より)
上記内容は本書刊行時のものです。