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アピチャッポン・ウィーラセタクン
光と記憶のアーティスト
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2016年12月21日
- 登録日
- 2016年12月9日
- 最終更新日
- 2019年3月7日
書評掲載情報
2017-02-12 | 日本経済新聞 朝刊 |
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紹介
2000年以降の「映画」を動かした鬼才。
アジア、いや世界が誇るべき映像の魔術師を、各分野の識者が徹底的に解読!
映画論/アート/人類学を軸に、その全貌に迫る!!
映画ファンや映画研究者のみならず、全世界を注目させ続けているアピチャッポン・ウィーラセタクン。本年(2016年)は、全劇場長編作の特集上映が実施され、3月には新作『光りの墓』公開、さいたまトリエンナーレへの参加、そして12月には東京都写真美術館での個展が開催されるなど、各所から注目を集めている。
本書では、映画論に加え、アートと文化人類学を軸に、英語・タイ語論考の翻訳も交えながら、アジアのみならず世界の映画を代表する作家を多角的に解析。
精霊/幽霊や王室、または固有の民族などのタイ文化に着目する文化人類学の観点や、映画と並行して創作しているヴィデオ・インスタレーションを中心としたアピチャッポン作品のアート的側面を論じつつ、映画作品の特定のシーンを分析することで、彼の作品世界で何を描こうとしているのか、その全貌を明らかにする。
全長編作品を語る本人のインタビューと詳細な作品ガイドも収録!
■ アピチャッポン・ウィーラセタクン
1970年タイ・バンコクに生まれ、タイ東北部イサーン地方、コーンケンで育つ。コーンケン大学で建築を学んだ後、シカゴ美術館付属シカゴ美術学校で映画制作修士を取得。 1993年に短編映画、ショート・ヴィデオの制作を開始し、2000年に初の長編映画を制作。1999年に「Kick the Machine Films」を設立。既存の映画システムに属さず、実験的でインディペンデントな映画制作を行っている。長編映画『ブンミおじさんの森』で2010年カン ヌ国際映画祭最高賞(パルムドール)受賞。映画監督として活躍する一方、1998年以降、現代美術作家として映像インスタレーションを中心に旺盛な活動を行っている。2009年の大規模な映像インスタレーション「プリミティブ」は、ドイツ・ミュンヘンのハウス・デア・クンストにはじまり、数多くの美術館を巡回。2012年にチャイシリと協働でドクメンタ13に出展、2013年に参加したシャルジャ・ビエンナーレではチャイシリとの協働作品が金賞を受賞。同年に福岡アジア文化賞を受賞している。2015年は初のパフォーマンス作品《Fever Room》を韓国・光州のアジアン・アート・シアターで発表し、各都市で公演が続いている。2016年にチェンマイに開館したMIIAM現代美術館で、タイ初となる大規模個展を開催した。チェンマイ在住。
<主なフィルモグラフィ>
真昼の不思議な物体(2000)、ブリスフリー・ユアーズ(2002)、アイアン・プッシーの大冒険(2003)、トロピカル・マラディ(2004)、世紀の光(2006)、ブンミおじさんの森(2010)、メコンホテル(2012)、光りの墓(2015)
目次
■まえがき ──金子遊
■Interview
アピチャッポン、全長編映画を語る
■Art
ヴィジュアル・アート
宙ぶらりんな場所と、透明な糸 ──キュンチョメ
演劇批評
言語化以前の原感覚に支えられた、演劇的な宇宙 ──岩城京子
輪廻
彼の空白 飴屋法水
映画という亡霊を掘り起こす-ヴィデオ・インスタレーション、物語(ナラティブ)、Non-Cinema ──中村紀彦
前世を思い出せる男-アピチャッポン・ウィーラセタクンによるインスタレーション ──カレン・ニューマン (久保豊訳)
転生と精霊の芸術 ──伊藤俊治
夜の森で-遊戯と情動のポリティクス ──港千尋
蔡明亮、バルト、アピチャッポン-身体、同性愛、名付け得ぬもの ──夏目深雪
■Anthropology
ジェンダー
タイのジェンダーと政治社会 ──福冨渉
フィールドワーク
タイ的平衡 ──綾部真雄
探検
世界の未整理性を象徴するタイの「ピー」 ──高野秀行
幽霊
タイの幽霊 ──四方田犬彦
追憶のナブア-「プリミティブ」プロジェクトをめぐる手記 ──アピチャッポン・ウィーラセタクン (水野友美子訳)
病んだ体と政治の体-アピチャッポン・ウィーラセタクンの政治社会学 ──福島真人
ブンミおじさんの森-記憶を歴史に変える映画(抄訳) ──フィルムシック (福冨渉訳)
東北の発見-アヴァンギャルド/フォークロア ──金子遊
■Cinema
音楽
『モーラム』と『プア・チーウィット』とイサーン ──相澤虎之助(空族)
映画製作
アピチャッポンとともに ──福間健二
軍事政権下におけるタイ映画の愚かな現状とその未来 ──アピチャッポン・ウィーラセタクン (木本早耶訳)
「世紀の光」へ向かう奮闘 ──チャヤーニン・ティアンピッタヤーコーン (福冨渉訳)
『世紀の光-タイランドエディション』――この国で映画が映画でなくなる時
──チャヤーニン・ティアンピッタヤーコーン (福冨渉訳)
ディジタル文化とアジア的世界観-「準‐客体」と(しての)アピチャッポン・ウィーラセタクン ──渡邉大輔
タイトル未定 ──北小路隆志
Beautiful Dreamer ──佐々木敦
虚無との接触-アピチャッポン・ウィーラセタクンの映画 ──トニー・レインズ (後藤護訳)
形式化と造化作用 ──四方田犬彦
■あとがき-七番目の芸術による、六番目の大陸行き ──夏目深雪
■編者・執筆者・訳者紹介
■Filmography & Reviews
真昼の不思議な物体/ブリスフリー・ユアーズ/アイアンプッシーの大冒険/トロピカル・マラディ/世紀の光/ブンミおじさんの森/メコンホテル/光りの墓/短編映画作品
■Reviws of Artworks
「プリミティブ」プロジェクト/PHOTOPHOBIA/さいたまトリエンナーレ
アート作品リスト
バイオグラフィー
ビブリオグラフィ
上記内容は本書刊行時のものです。