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オーロラの下、北極で働く 松下 隼士(著) - 雷鳥社
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オーロラの下、北極で働く (オーロラノモトホッキョクデハタラク)

自然科学
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発行:雷鳥社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ175mm
244ページ
並製
定価 1,700円+税
ISBN
978-4-8441-3812-9   COPY
ISBN 13
9784844138129   COPY
ISBN 10h
4-8441-3812-X   COPY
ISBN 10
484413812X   COPY
出版者記号
8441   COPY
Cコード
C0026  
0:一般 0:単行本 26:旅行
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2025年1月27日
最終更新日
2025年3月3日
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紹介

世界最北のサイエンスの町・ニーオルスンへ!


オーロラが一日中煌めき、町中をトナカイが闊歩するこの地に、世界中から研究者が集う。ニーオルスンには、基本的に許可を得た者しか滞在できず、Wi-Fiの使用禁止、ライフル携行、建物の施錠不可といった特殊な生活ルールが課される。

かつて極地探検家のロアール・アムンセンが北極点を目指す拠点として滞在したこの小さな町では、北緯78度55分、11ヵ国の観測施設が建つ世界最北の「国際観測拠点」として、大気、雪氷、生物、宇宙など様々な分野の観測が日々行われている。北極は温暖化の進行が早く、ここニーオルスンは地球の未来を知る研究の最前線・最重要の場所でもある。

国立極地研究所の元職員であり、元南極越冬隊員でもあった著者は、観測技術者(観測だけではなく除雪から広報までをこなす「何でも屋」のような仕事)としてニーオルスンに長期滞在した初めての日本人である。
時にホッキョクグマが現れる町で観測を続け、氷点下のマラソン大会や太陽のパーティーなど個性豊かなイベントを楽しむ。ニーオルスンの壮大な自然、多種多様な野生動物、世界各国の滞在員達とのユーモラスな交流、毎日のルーティンなどなど、約4年の滞在中に見たもの感じたことを、著者自ら撮影した美麗な写真とともに紹介。

誰もが知っている北極の、誰もが知らない一面を、つぶさに綴った滞在記。


~カバーデザインについて~
カバーには、オーロラが煌めき、観測用のレーザー光線が夜空に飛ぶ、まるで映画のワンシーンのような写真を採用。見たことがない光景がこの地では日常の、ニーオルスンを象徴する一枚です。
透け感のある帯には、オーロラのようなグラデーションがかったコピー文が入り、カバーとの親和性の高いデザインになっています。

目次

1 北極へ向かう 2019.11.5-12.21
2 北極から逃げる 2020.1.18-3.24
3 北極に戻る 2021.9.10-12.7
4 北極に再び戻る 2022.6.12-9.11
5 北極から帰る 2022.9.12-12.1

前書きなど

生命を寄せ付けない、過酷な環境と知られる「極地」。そんな場所で生活を送り、仕事を続けている人たちがいます。かつて、私もその一人でした。南極地域観測隊の隊員として第五十五次の夏隊へ参加し、日本に一時帰国の後、再び第五十六次の越冬隊として南極へ。そして、帰国して三年後に、私は北極へ向かうことになりました。
 研究者の観測を支援するため何度も極地へ行きましたが、自然科学の研究業界では珍しい話ではありません。私の周りには極地へ行った経験のある人が多く、この業界は突き詰めると極地へ行きつくのかと思うほどです。
 「極地という場所は私の仕事の延長線上に存在していた。」極地へ行くことになったきっかけを人に聞かれると、表向きにはそのように答えますが、果たして最初のきっかけは何だったのか、私自身、実は長らくわからないままでした。
 ちょうど、この本の執筆を始めた頃、実家の片付けをしているとダンボール箱から古い本が出てきました。研究者であり科学作家でもあるアイザック・アシモフが一九七九年に出版した子ども向けの科学本シリーズで、私が小学生の頃に両親から買ってもらったものです。古本独特の甘い匂いを感じながら本の束を取り出すと、アデリーペンギンのイラストが描かれた『南極ってなに?』という一冊に目が留まりました。ページを開くと、見覚えのあるイラストや文章が並び、「極地」に対して初めて感じた憧憬が、当時からインプットされていたことに気付いたのです。「見たことがないものを見たい」というその感情は、社会人になって観測の仕事を始めるずっと前から、私の人生の線上にそっと置かれており、私を極地へ向かわせるきっかけになったのだと思います。
 本書の舞台は、誰もが知る北極にも関わらず、あまり知られていない北極です。ノルウェーと北極点の間に位置する北極圏のスバールバル諸島に、ニーオルスンという小さな町があります。北極域の研究拠点とされるこの場所には、世界各国の観測施設があり、日本もニーオルスン基地と呼ばれる施設を持っています。南極の昭和基地は映画や書籍の題材にもなっているため有名ですが、ニーオルスン基地という名前は初めて聞く人も多いかもしれません。どちらも、極地を研究するための観測施設であり、私は観測を支援する技術職員として、現地に長期滞在することになりました。
両施設は南北の緯度以外に大きな違いがあり、また、昭和基地の滞在者が主に日本人の隊員で編成されているのに対し、ニーオルスン基地は、国際観測拠点である町の中に世界各国の人が滞在しています。観測という目的で、様々なバックグラウンドを持った人が同じ場所で暮らし集団生活を送り、そして、長い年月を経て世代交代が繰り返されると、地球の果ての極地といえども自ずと文化が生まれます。それは、外界から隔てられた環境のせいか、南極と北極で共通する特殊性があり、私が「極地カルチャー」と呼んでいるものです。そして、ニーオルスンでは、その土地が歩んできた歴史から、様々な要素が加わり、さらに独特の文化が生まれています。
 本書は、私が現地で過ごした情景を綴ったものであり、仕事として携わったニーオルスンの観測についてはあまり書かれていません。というのも、原文は私が毎日書いていた日記をまとめたものだからです。職場宛に業務報告を中心とした日報を送っていたためか、この日記には、私が北極で実際に見たり聞いたりして感じたことが多く残されていました。徒然なるままに北極を描写した本書から、見たことのない「ニーオルスン」、そして、聞いたことのない「極地カルチャー」を感じ取って頂ければ幸いです。

版元から一言

北極といえば「冒険」のイメージがあるかもしれません。過酷を極める環境は、容易に行ける場所ではないからです。
そんな北極に、気候変動や宇宙分野などの研究・観測を行う、世界最北のサイエンスの町・ニーオルスンが存在します。この地に日本人として初めて長期滞在した、極地研の元職員であり元南極越冬隊員でもある著者が、現地での日々を豊富な写真とともに軽妙に綴った記録が本書です。
過酷な北極にあるニーオルスンとはどんなところなのか?どんな人が滞在しているのか?何をしているのか?4年間滞在した著者だからこそ書ける、現地で見た・感じたことを記した細かい描写は、まるで現地を旅しているかのよう。北極に対するイメージがガラッと変わるかもしれません。

著者プロフィール

松下 隼士  (マツシタジュンジ)  (

石川県金沢市生まれ。大学卒業後、海洋地球研究船の乗船技術者として世界各地の海洋観測に従事。その後、大気観測の技術者を経て、南極地域観測隊の夏隊、越冬隊、東京海洋大学の南大洋航海に参加。気候変動の研究観測に携わった経験を活かし環境NPOにて活動する。2019年より北極圏スバールバル諸島にあるニーオルスン国際観測拠点に長期滞在し、世界各国の滞在員と生活しながら研究観測に従事。2023年に富山へ移住。

上記内容は本書刊行時のものです。