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現代東南アジアにおけるラーマーヤナ演劇 福岡まどか(編著) - めこん
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現代東南アジアにおけるラーマーヤナ演劇 (ゲンダイトウナンアジアニオケルラーマーヤナエンゲキ)

芸術
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発行:めこん
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ17mm
重さ 436g
248ページ
並製
定価 2,700円+税
ISBN
978-4-8396-0330-4   COPY
ISBN 13
9784839603304   COPY
ISBN 10h
4-8396-0330-8   COPY
ISBN 10
4839603308   COPY
出版者記号
8396   COPY
Cコード
C0074  
0:一般 0:単行本 74:演劇・映画
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2022年3月10日
書店発売日
登録日
2022年2月24日
最終更新日
2022年5月11日
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書評掲載情報

2022-05-21 毎日新聞  朝刊
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紹介

ラーマーヤナを見ながらラーマーヤナを学ぶ。
古代インドの叙事詩ラーマーヤナは、9世紀以降東南アジア各地に広まり、人形劇、仮面劇、舞踊劇、創作舞踊、影絵、映画、歌曲、文学、コミックなどあらゆる分野の芸術・芸能において最もポピュラーなテーマになっています。各国・各分野でラーマーヤナ演劇はどのような展開を見せているのでしょうか。
本書刊行に合わせて日本でもファンの多いインドネシアの3人のアーティストがラーマーヤナの新作を創作。記載のQRコードからYouTubeでそのパフォーマンスを実際に見ることができます:
➀舞踊劇「人魚ウラン・ラユンとアノマン対レカタ・ルンプン」(ディディ・ニニ・トウォ)
➁ワヤン・アニメーション「ラーマーヤナ:最後の使命」(ナナン・アナント・ウィチャクソノ)
③合唱・ケチャダンス「シーターの火の試練」(ケン・スティーヴン)

「ラーマーヤナを見ながらラーマーヤナを学ぶ」という新しい試みの書籍です

目次

【第1部 ラーマーヤナの多元的解釈】

第1章 現代東南アジアにおけるラーマーヤナ演劇の多元的意味
   
第1章付論 ヴァールミーキ版の7巻本の概要と東南アジアにおけるその展開 

第2章 タイのラーマーヤナ、「ラーマキエン」の現代的展開――チャイヨー・スタジオ     
    製作映画を中心にして
                         
第3章 残虐なる魔物か、それとも勇敢に死にゆく英雄か?――バリ島のワヤンの演目   
   「クンバカルナの死」のダランによる解釈

第4章 カンボジアにおけるラーマーヤナ演劇 
 
                                                                                                            【第2部 多様化する上演コンテクスト】

第5章 インド人ディアスポラとラーマーヤナ――シンガポールにおけるアートマネージ
    メントとローカル/ナショナル/グローバルな表象 
  
第6章 観光文化におけるラーマーヤナ演劇――インドネシア、タイの事例から 

【第3部 表象されるラーマーヤナ】

第7章 ラーマーヤナ演劇をめぐる近代タイ知識人の認識 
       
第8章 日本の博物館で東南アジアのラーマーヤナを展示する       

【委嘱創作作品】(QRコードで鑑賞できます)

1.ディディ・ニニ・トウォによる舞踊劇「人魚ウラン・ラユンとアノマン対レカタ・ルン 
 プン」

2. ナナン・アナント・ウィチャクソノによるアニメーション作品「ラーマーヤナ:最後の
 使命」

3. ケン・スティーヴンによる合唱作品 「シーターの火の試練」

前書きなど

はじめに
◉ヴィシュヌ神の転生であるラーマ王子が、さらわれた妃シーターを取り戻す
べく猿の軍勢の助けを借りて魔王ラーヴァナと戦うという内容を持つラーマー
ヤナは冒険、戦い、ロマンスなどの要素が満載の物語である。この叙事詩は
古代インドにて成立した二大叙事詩の1つでマハーバーラタと双璧を成すもの
として知られる。神話が神々の物語であるのに対して叙事詩は英雄たち、特
に神の転生である英雄たちが活躍する物語であり、神々の世界から人間界に
より近づいたものとして位置づけられる。王位継承争い、武将の高潔な魂、
道徳的規範などを描く人間ドラマの部分は人間の世界に近づいた叙事詩の特
徴を示しており、その一方で登場人物たちの超能力、運命、不思議な武器な
どが描かれる部分は神々の転生である英雄たちの物語の特徴を示している。
猿をはじめとする動物や魔物などが登場することも特徴である。こうした特徴
のゆえにこの叙事詩は、絵画、文学作品のみならず演劇上演の中でさかんに
演じられてきた。
◉私が初めてラーマーヤナの演劇を観たのは1980年代終わりのインドネシア・
ジャワ島バンドンで上演された人形劇だった。演目は当時一世を風靡した人
形遣いアセップ・スナンダール・スナルヤ(1955-2014)による「魔王ラーヴァナ
の戦死」。悪役の魔王ではあるが偉大な存在としても位置づけられる魔王ラー
ヴァナの戦死を描く演目は、人々に怖れられており普段はなかなか上演され
ない稀少なものであった。残念ながら当時の私はまだ内容も分からず、その
演目の貴重な価値にも気づいていなかった。だが人形遣いアセップによる人
形操作のわざと語りが随所で観客の喝采を浴びていたのは印象的な経験だっ
た。特に勇者ハヌマーンの演技とセリフを通して語られる戦いについての語り
は多くの観客の拍手と歓声を受けていた。それは叙事詩ラーマーヤナを通し
て提示される人形遣い自身の解釈と人生哲学に対する観客からの共感と称賛
であったのだろう。
◉叙事詩ラーマーヤナは9世紀頃から東南アジアの広域に伝わり、多様な分
野において独自の発展を遂げて伝承されてきた。この本は、東南アジアの演
劇を中心とする上演芸術の中で叙事詩ラーマーヤナが多様なかたちで演じら
れる現状を考察したものである。戦い、冒険、恋愛、人間の生き方を描くラー
マーヤナは、その大筋や登場人物設定を基本としつつ多様な解釈を加えられ
てきた。東南アジアの人々が独自の翻案を生み出し演劇やダンスなどの中で
その効果的表現を追求してきた主要な題材の一つである。上述の人形劇だけ
でなく影絵、俳優劇、仮面劇など多様な演劇ジャンルの中で親しまれてきた。
演劇やダンスの上演は地域によっては王権や宮廷文化と結びつき、各地の主
要な文化表現の媒体として観光や文化遺産指定などのコンテクストで着目さ
れてきた。映画やコミックなどを通しても広まってきた。東南アジアのアー
ティストたちは、その時代における社会状況、文化的な価値観に対する独自
の考えを叙事詩ラーマーヤナに投影しながら芸術的表現を追求してきた。そ
うした現代東南アジアにおける叙事詩ラーマーヤナの多様なあり方を演劇的
ジャンルに焦点を当て検討しようと試みたのがこの本である。
◉口絵カラーページにはインドネシアのアーティスト3人による新作の作品も
収録されている。この本を通して叙事詩ラーマーヤナが演劇を通して東南ア
ジアに広く普及し人々に親しまれ、現在に至るまで独自の発展を遂げている
現状を多くの人々に伝えたい。
福岡まどか

版元から一言

➀舞踊劇➁影絵アニメーション③ケチャダンス・合唱という最新のラーマーヤナ作品のパフォーマンスをYouTubeで実際に鑑賞しながら「ラーマーヤナ」について学ぶ、という新しいスタイルの書籍です。おそらく今後このようなスタイルの研究書がどんどん出てくると思います。アナログ世代としては驚嘆するしかないというところです。

著者プロフィール

福岡まどか  (フクオカマドカ)  (編著

大阪大学大学院人間科学研究科教授
専門分野 民族音楽学・文化人類学・地域研究(インドネシア)
著作 『ジャワの仮面舞踊』(2002年. 勁草書房)、『性を超えるダンサー ディディ・ニニ・トウォ』(2014年. めこん)、『ジャワの芸能ワヤン その物語世界』(2016年. スタイルノート)など。

青山 亨  (アオヤマトオル)  (

東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授
専門分野 東南アジア前近代史、地域研究(インドネシア)
著作 共著『岩波講座東南アジア史2 東南アジア古代国家の成立と展開』(2001年. 岩波書店)、共著『アジア仏教美術論集 東南アジア』(2019年. 中央公論美術出版社)、共著『天変地異はどう語られてきたか 中国・日本・朝鮮・東南アジア』(2020年. 東方書店)など。

平松秀樹  (ヒラマツヒデキ)  (

京都大学東南アジア地域研究研究所連携准教授
専門分野 タイ文学・文化 比較文学・比較文化 地域研究(タイ)
著作 共著『東南アジアのポピュラーカルチャー』(2018年. スタイルノート)、共著『女たちの翼 アジア初期近代における女性のリテラシーと境界侵犯的活動』(2018年. ナカニシヤ出版)、共著「交錯する知 衣装・信仰・女性」(2014年. 思文閣出版)など。

梅田英春  (ウメダヒデハル)  (

静岡文化芸術大学文化政策学部教授
専門分野 民族音楽学、インドネシア地域研究
著作 『バリ島の影絵人形芝居ワヤン』(2020年. めこん)、『バリ島ワヤン夢うつつーー影絵人形芝居修業記』(2009年. 木犀社)、共著『インドネシア芸能への招待』(2010年. 東京堂出版)など。

サムアン・サム  (サムアンサム)  (

Pannasastra University of Cambodia 学長 
専門分野 民族音楽学・カンボジア音楽演奏家
著作 Music in the Lives of the Indigenous Ethnic Groups in Northeast Cambodia. 2010. Phnom Penh: PUC Press; Musical Instruments of Cambodia. 2002. Senri Ethnological Reports (29): 1-162. Osaka: National Museum of Ethnology; Khmer Folk Dance. 1987. Newington: Khmer Studies Institute.

竹村嘉晃  (タケムラヨシアキ)  (

国立民族学博物館南アジア研究拠点・特任助教
専門分野 芸能人類学、南アジア地域研究
著作 単著『神霊を生きること、その世界--インド・ケーララ社会における「不可触民」の芸能民族誌』(2015年. 風響社)、共著『Dance Matters Too: Markets, Memories, Identities』(2018年. Routledge)、共著『世界を環流する〈インド〉--グローバリゼーションのなかで変容する南アジア芸能の人類学的研究』(2021年. 青弓社)など。

日向伸介  (ヒナタシンスケ)  (

大阪大学大学院言語文化研究科・准教授
専門分野 タイ近現代史
論文 「ラーマ7世王治世期のバンコク国立博物館に関する一考察:ダムロン親王の役割に着目して」(2012年『東南アジア 歴史と文化』、「パッタヤー歓楽街の形成:冷戦期タイの都市空間と性的多様性をめぐる予備的研究」(2020年『人文學報』)、「1910年「シャム国の教育に関する勅語」公布計画:経緯と思想的背景」(2021年『新世紀人文学論集』」など。

福岡正太  (フクオカショウタ)  (

国立民族学博物館教授
専門分野 民族音楽学
著作 共著『音楽の未明からの思考 ミュージッキングを超えて』(2021年. アルテスパブリッシング)、共著『東南アジアのポピュラーカルチャー アイデンティティ・国家・グローバル化』(2018年. スタイルノート)など。

ディディ・ニニ・トウォ  (ディディニニトウォ)  (舞踊劇

インドネシアを代表する女形ダンサー、コメディアンとして国内外で活躍。近年はアジア現代演劇の活動にも従事。ジャワ島・ジョグジャカルタ在住。

ナナン・アナント・ウィチャクソノ  (ナナンアナントウィチャクソノ)  (影絵

インドネシア・ジャワ島の影絵の人形遣い(ダラン)であり、またアニメーターとして日本国内・海外で活躍。大阪在住。

ケン・スティーブン  (ケンスティーブン)  (作曲

作曲家、指揮者。アカペラ合唱曲を中心に多くの合唱曲を作曲し、音楽祭等で高く評価されている。インドネシア・スマトラ島・メダン在住。

上記内容は本書刊行時のものです。