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ベトナムの基礎知識 古田元夫(著) - めこん
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ベトナムの基礎知識 (ベトナムノキソチシキ)

社会科学
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発行:めこん
A5判
縦217mm 横155mm 厚さ22mm
重さ 490g
316ページ
上製
定価 2,500円+税
ISBN
978-4-8396-0307-6   COPY
ISBN 13
9784839603076   COPY
ISBN 10h
4-8396-0307-3   COPY
ISBN 10
4839603073   COPY
出版者記号
8396   COPY
Cコード
C0330  
0:一般 3:全集・双書 30:社会科学総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年12月
書店発売日
登録日
2017年11月21日
最終更新日
2017年12月28日
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紹介

ベトナム研究の第一人者、日越大学(ハノイ)学長古田元夫氏によるベトナム入門書の決定版。一気に読めて「必要最小限」の知識が身につきます。

目次

❶ベトナムはどんな国か
ベトナムの活力
言いたい放題だが「結論」の出る会議
ベトナムの宗教
多民族国家ベトナム
在外ベトナム人
ベトナム語の表記法
ベトナムの文化、日本の文化
【ベトナムの10人】 楊雲娥

➋地域区分
概観
紅河デルタ地方
東北地方(越北地方)
西北地方
中部北方海岸平野地方
中部南方海岸平野地方
中部高原地方
南部東方地方
メコンデルタ地方
【ベトナムの10人】莫登庸

❸主要都市
ハノイ
ハイフォン
ランソン
ナムディン
ヴィン
フエ
ダナン
ホイアン
バンメトート
ホーチミン市
カントー
【ベトナムの10人】潘清簡

❹歴史 先史からベトナム民主共和国独立まで
ベトナム歴史像の変遷
三つの古代文化
李朝・陳朝
中華世界の南国へ
チャンパ王国とそのベトナムとの関係
胡朝と明の支配
黎朝初期の大越
分裂の時代
西山朝から阮朝へ
越南、大南へ
フランス植民地支配の形成
フランス植民地支配の意味
ベトナム民族運動の展開
ベトナム人のインドシナ再解釈
【ベトナムの10人】ファム・クイン

❺独立ベトナムの歩み ①戦争の時代
抗仏戦争(一九四五~五四年)
「ホー・チ・ミンの国」から「中国モデル」の受容へ
ジュネーヴ会議
土地改革の展開
ゴ・ディン・ジエム政権と南ベトナム解放民族戦線
ジエム政権の崩壊と戦争のエスカレーション
アメリカの戦争
革命勢力の総合戦略
貧しさを分かちあう社会主義
ソ連・中国の支援
テト攻勢
戦争の「ベトナム化」とカンボジア侵攻
七二年春季大攻勢と七三年パリ協定
サイゴン解放
統一ベトナムとカンボジア紛争、中越戦争、難民問題
【ベトナムの10人】 ヴォー・グエン・ザップ

❻独立ベトナムの歩み ②ドイモイの時代
「貧しさを分かちあう社会主義」の機能不全
集団農業における生産請負制
ドイモイ路線の提唱
東南アジアの「地域国家」ベトナム
ASEANの中のベトナム
残存社会主義同盟からパートナー外交へ
ドイモイ路線の展開
【ベトナムの10人】グエン・ティ・ビン

❼政治
ベトナムと中国
ホー・チ・ミン
ベトナムの政治体制
【ベトナムの10人】レ・ズアン

❽経済と社会
経済の持続的高度成長
経済成長の担い手
外資と貿易の大きな役割
貧困削減と格差
中進国の罠
経済のグローバル化への積極的対応
都市と農村
【ベトナムの10人】ダン・ヴァン・グー

❾隣人との関係
北方・西方・南方
ベトナム版小中華帝国の試み
フランス領インドシナ
「戦場の友」としての結合
ベトナム戦争後のカンボジア紛争
【ベトナムの10人】ヴー・ディン・ホエ

❿日本とベトナム
歴史の中の日越交流
近代日本とベトナム
一九四五年飢饉
南方特別留学生と新しいベトナム人
ベトナム戦争と日本
ベトナム民主共和国との国交樹立と日越関係の全面的発展の時代
今後の日越関係を展望して
【ベトナムの10人】ファン・フイ・レ

あとがき
インターネット出典写真一覧
参考文献
文献案内
索引

前書きなど

ベトナムの文化、日本の文化(本文から)
ベトナムも日本もともに、もともとは水稲栽培を中心とする農業を基盤として発展した社会であり、前近代には中華文明の影響を強く受け、近代には西洋文明の影響を強く受けたという共通点を持っている。外来文化の受容に積極的で、外来文明と土着文化が重なって文化の多様性を形作っている点でも、よく似た面を持っている。しかしながら、現代ベトナムの代表的歴史学者のヴー・ミン・ザン(Vũ Minh Giang)氏が指摘しているように、ベトナムと日本の文化は、相似しているとはいっても、どちらかの文化から推し量って相手も同じだろうと考えるのは危険で、右手と左手が一見よく似ているが、違いも大きいことを認識しなければならないというのが、正論であろう。
たとえば、政治文化では、日本は「上からの指導」が大きな役割を果たしてきた「お上は強く、民は弱し」の社会であるのに対し、ベトナムは「下からの創意」が大きな役割を果たしている「お上は弱く、民は強い」社会である。
トナム人は状況に融通無碍に対応するのに優れ、柔軟であるのに対して、日本人は原則的であり、紀律を重んずるなど、ベトナムと日本の対照性がきわだっている面も多数ある。
この臨機応変、融通無碍なベトナムの特質を「水」にたとえるベトナムの研究者もいる。ベトナムの農業が水稲耕作を基盤としていること、そのような農業が生産する米と野菜に加えて水産物がベトナム人の食事の基本になっていること、「水」を表すベトナム語のヌォック(nước)は同時にクニという意味を持っており、水=クニという等式が成立していることなど、ベトナム文化における「水」の重要性を示す例は多数ある。自動車やオートバイが一見無秩序に自分の行きたい方向に突っ込んでくる運転が基本のベトナムの大都市の道
路で、それなりに交通が流れているのも、「水」の流れのようなものと考えると納得がいくような気もする。

著者プロフィール

古田元夫  (フルタモトオ)  (

1949年生まれ。東京大学名誉教授。日越大学学長として2016年6月からハノイに常駐。
専門 ベトナム現代史
主要著書 『歴史としてのベトナム戦争』(大月書店、1991年)、『ドイモイの誕生:ベトナムにおける改革路線の形成過程』(青木書店、2009年)、『ベトナムの世界史――中華世界から東南アジア世界へ』(増補新装版)(東京大学出版会、2015年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。