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タイの基礎知識 柿崎一郎(著) - めこん
.
アジアの基礎知識 1

タイの基礎知識

発行:めこん
A5判
縦215mm 横153mm 厚さ17mm
重さ 449g
248ページ
上製
価格 2,000円+税
ISBN
978-4-8396-0293-2
Cコード
C0330
一般 全集・双書 社会科学総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年4月
書店発売日
登録日
2016年8月26日
最終更新日
2016年8月26日
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紹介

タイのことを知りたいと思う人が最後まで一気に読めて、基本的な情報がすっと頭に入る。

〇読みやすい・・・研究者がひとりで執筆→全体のまとまりがある。
〇理解しやすい・・・各節2~4ページ。写真・図版・地図を多用。
〇必要最小限の知識・・・詳しくなりすぎない。固有名詞より流れや構造を重視。タイを代表する人物15名のコラムがユニークで役に立つ。
〇読者の立場に立ったレイアウト・・・細部まで気を配り、親切に。

目次

1タイはどんな国か?

なぜタイに惹かれるのか? 
日本に似た景観 
多様な観光資源 
似ている食べ物 
宗教の共通性と相違点 
「居心地」の良い社会 

【タイの13人】ラームカムヘーン王 
【タイの13人】プーミポン王 

2自然と地理
 
気候 
北部 
中部 
東北部 
南部 
バンコク 
交通 

【タイの13人】 スリヨータイ 

3タイの歴史 

タイ族の王国の成立 
シャムの隆盛 
シャムの危機 
シャムからタイへ 
「開発」と「民主化」 
「対立」の時代 

【タイの13人】 ナレースワン王 
【タイの13人】 チュラーロンコーン王 

4タイに住む人々 

タイ人とは誰か? 
タイ系民族 
モン・クメール系とマレー系 
多様な山地民 
中国系タイ人 
急増する外国人労働者  

【タイの13人】 チン・ソーポンパーニット 

5政治と行政 

立憲君主制の成立 
二つのクーデター 
「民主化」の進展 
「ポピュリスト的政策」の功罪 
中央集権型の統治機構 
地方分権化の推進 

【タイの13人】タックシン 

6経済と産業 

経済ナショナリズムから「開発」の時代へ 
経済ブームと通貨危機 
「タックシノミクス」とその後 
農林水産業 
急速な工業化 
拡大する第三次産業 

【タイの13人】ターニン・チアラワーノン 

7国際関係 

伝統的な国際関係 
ヨーロッパ諸国との関係 
冷戦下の親米路線 
周辺諸国との関係改善 
緊密化する中国との関係 
ASEAN共同体の成立へ 

【タイの13人】モンクット王 

8日タイ関係の変遷 

日タイ関係の始まり 
タイへ渡る日本人 
第二次世界大戦 
日本の復帰と反日運動 
双方向化する物流・人流 
流行する「日本文化」と「タイ文化」 

【タイの13人】プレーク・ピブーンソンクラーム 

9タイの社会

「緩い」社会と「堅い」社会 
「ラック・タイ」の下での国民統合 
変化する農村と都市 
少子化・高齢化の進展 
学歴社会の深化 
「自由」な社会と「不自由」な社会 

【タイの13人】サリット・タナラット 

10対立の構図 

ラオスとイサーン 
「宿敵」ミャンマー 
カンボジアとの国境線問題 
テロが続く深南部 
都市と農村 
「黄」と「赤」 

【タイの13人】スラナーリー 
【タイの13人】プレーム・ティンスーラーノン 

あとがき 
文献案内 
参考文献 
索引 

前書きなど

・なぜタイに惹かれるのか?
 タイは東南アジア大陸部、インドシナ半島の中央にある。インドシナ半島はユーラシア大陸の南東に突き出た大きな半島で、さらにそこから細長いマレー半島が南へと延びている。タイの領域はそのインドシナ半島からマレー半島にかけて広がっており、面積は五一・三平方キロメートル。日本の約一・五倍である。人口は二〇一二年推定で約六七九〇万人。日本のおよそ半分程度となる。首都はバンコクで、日本との時差はマイナス二時間となる。太平洋側のタイ湾とインド洋側のアンダマン海と二つの大洋に接しており、西のミャンマー、東北のラオス、東のカンボジア、南のマレーシアと国境を接している。
タイと聞くとゾウを思い浮かべる人もいるかもしれない。日本でもタイから来たゾウが各地の動物園で飼育されており、タイの観光地でゾウに乗ったことのある人もいるだろう。特にタイでは白ゾウは王者の象徴として崇められており、かつてのタイの国旗にも赤地に白ゾウが描かれていた。タイの国土の形はこのゾウの顔に似ており、マレー半島がちょうどゾウの鼻となる。もちろんこれは何の必然もなく、偶然そのような形になっただけであるが、このゾウの顔の形が完成したのは一九〇九年のことであり、今から一〇〇年ほど前でしかない。
 タイに惹かれる日本人は多い。タイに来る日本人は年間一〇〇万人を超えるが、その多くはタイを気に入って帰っていく。特に目的もなくタイに来て、そのまま長期間滞在してしまう人もいる。これはいわゆる「タイにはまる」人たちである。近年はタイで就職したいという日本人も増えており、老後の生活の場としてタイを選ぶ人も少なくない。彼らがそのような決断をした理由は多岐にわたろうが、何らかの共通項も存在するはずである。なぜ日本人はタイに惹かれるのであろうか?
 かく言う私自身もタイに惹かれてタイと関わるようになった日本人の一人である。最初にタイに来たのは中学生の時である。父の仕事の関係で私は中学三年間をタイで過ごした。その時は特にタイが好きというわけでもなく、日本人社会の中で暮らしていたのでタイの人との関わりもほとんどなかった。それでも、学校でのタイ語の授業では一番上級のクラスまで進み、友人とバスに乗ってバンコク市内を回ったり、学校の帰りにあちこちの店に寄って飲んだり食べたりしてくることはあった。特に好きではなかったと思うが、嫌いでもなかったのであろう。
 その後、高校は日本であったが、三年生の時、大学で何を学ぶかを考えた末、最終的にタイ語を勉強することに決めた。かつてタイに三年間住んでいたので、その経験を活かすにはタイ語ができたほうがいいと思ったからだが、おそらくその根底には懐かしさもあったのであろう。
 無事に大学に合格してタイ語の勉強を始め、大学三年生の時に交換留学生として一年間バンコクの大学に通う機会を得た。タイの人の家に下宿させてもらい、通う大学にも日本人はほとんどいないという環境であったことから、事実上、一年間を「タイ人」として生活した。この時に私自身のタイ語の力も向上し、その後タイの研究を行なっていくための基盤が構築されたのだと思う。そして、昔から交通・鉄道に昔から関心があったので、「タイの交通・鉄道」をテーマに卒論を書くことに決め、さらに研究を進めるために修士課程に進学することになった。これが私のタイ研究の始まりであり、それから約四半世紀を経ても、相変わらず同じようなことをやっている。
 このように、私自身もタイに惹かれたことで過去三〇年間以上にわたってタイと関わってきたのであるが、その理由を客観的に説明することは難しい。タイのどこが好きかと言われれば、「暑い」、「おいしい」、「人なつっこい」、「安い」などの形容詞が思い浮かぶが、これらはあくまでも私の主観でしかない。とはいえ、私だけではなく、多くの人がこのような印象を抱くのではなかろうか。したがって、このような主観的な印象を客観的に説明することはタイをおおづかみに捉える上で重要だと思われる。以下、景観、観光資源、食事、宗教、社会の五つの点から、日本人がタイに惹かれる理由を客観的に考察してみよう。

著者プロフィール

柿崎一郎  (カキザキイチロウ)  (

横浜市立大学国際総合科学部教授
1971年生まれ。1999年東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。横浜市立大学国際文化学部専任講師、同助教授、同国際総合科学部准教授を経て2015年より現職。博士(学術)。
第17回大平正芳記念賞(『タイ経済と鉄道1885~1935年』)、第2回鉄道史学会住田奨励賞(『鉄道と道路の政治経済学 タイの交通政策と商品流通 1935~1975年』)、第40回交通図書賞(『都市交通のポリティクス バンコク1886~2012年』)、第30回大同生命地域研究奨励賞(「タイを中心とする東南アジアの交通・鉄道に関する社会経済的実証研究」)を受賞。
主要著書
『タイ経済と鉄道 1885~1935年』(日本経済評論社、2000年)、『物語 タイの歴史』(中公新書、2007年)、『鉄道と道路の政治経済学 タイの交通政策と商品流通 1935~1975年』(京都大学学術出版会、2009年)、『東南アジアを学ぼう 「メコン圏」入門』(2011年、ちくまプリマ―新書)『都市交通のポリティクス バンコク1886~2012年』(京都大学学術出版会、2014年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。