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船頭タリニ タラションコル・ボンドパッダエ(著) - めこん
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船頭タリニ (センドウタリニ) 完結

文芸
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発行:めこん
四六判
縦190mm 横148mm 厚さ15mm
重さ 425g
306ページ
上製
価格 2,500円+税
ISBN
978-4-8396-0292-5   COPY
ISBN 13
9784839602925   COPY
ISBN 10h
4-8396-0292-1   COPY
ISBN 10
4839602921   COPY
出版者記号
8396   COPY
Cコード
C0397  
0:一般 3:全集・双書 97:外国文学小説
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年1月
書店発売日
登録日
2016年6月29日
最終更新日
2016年7月6日
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紹介

30年かけてようやく「現代インド文学選集」が完結しました。実は「船頭タリニ」はこの「現代インド文学選集」刊行のきっかけとなった作品です。最初にこの作品に接した時の衝撃は忘れることができません。それから30年もかかって、ようやく翻訳が完成したわけですが、あらためて読んでみて、やはりすごい作品だと思います。

目次

1.船頭タリニ
2.郵便配達夫
3.やぶにらみ
4.供養バラモン
5.ラカル・バルッジェ
6.ラエ家
7.花輪と白檀

解説

前書きなど

「解説」から

 本書は、インド西ベンガル州のビルブム県出身の作家、タラションコル・ボンドパッダエ(一八九八~一九六九年)の、諸期の短編小説七篇を収める。彼は、ラビンドラナート・タゴール(一八六一~一九四一年) 後のベンガル語近現代文学史において、最もすぐれた作品を生み出した作家の一人に数えられる。生涯を通して二〇〇篇近い短編と六〇篇を越える中長編小説を書いている。それに加え、詩、戯曲、紀行文、批評文、自伝的文章などの作品がある。
 彼の文学の独自性を刻印した最初の作品として「ロショコリ」(一九二九年)を挙げるとすると、その作家活動は、実質、約四〇年である。その作家活動を、シャヒット・ションショド版(ジョゴディシュ・ボッタチャルジョ編)『タラションコル短編集』全三巻の分け方に従って、便宜的に、初期(一九三七年まで)、中期(一九四七年まで)、後期(一九四七年以降)に分けることにする。
 職業作家になることを決意した一九三〇年代の初頭から、彼はコルカタ(カルカッタ)に創作活動の場を置き、ビルブム社会の生活を題材にした短編と民族主義運動を題材にした自伝的中長編を次々に発表して、作家としての地位を築いていった。
 一九三七年は、彼が職業作家としての地位を確立し、ようやく収入が安定しはじめた年である。この年から、彼は最初の本格的長編小説『守護女神(ダトリ・デボタ)』の雑誌連載を始め、生涯の代表作となるすぐれた短篇や長編を次々に発表する。
 また、一九四七年は、インドとパキスタンが分離独立した年である。これ以降晩年にかけても、彼はいくつかのすぐれた中篇や長編小説を発表するが、そのいっぽう、インド文学協会賞、ジュニャーンピート(「知の座」)賞等のインドの主要な文学賞や、パドマブーシャン(「蓮の飾り」。インドの上位三番目の文化功労賞)を受賞するなど、ベンガルのみならずインドを代表する作家として認知され、恵まれた社会生活を全うする。
 彼の文学作品の中では、初期から中期にかけての、ビルブムのさまざまな階層の人びとの生活を題材とした一連の短編群と、中後期に書かれた、『半月土堤の伝承』(一九四七年)、『伝統治療院』(一九五三年)などに代表されるビルブム社会の変遷を捉えた叙事詩的な長編群が、二つの頂点を形作ると言っていいだろう。これらの作品によって、彼はベンガル文学に新しく広大な領域を切り開くことに成功した。彼が切り開いたこの領域は、この後、ショモレシュ・ボシュ(一九二四~一九八八年)、モハッシェタ・デビ (一九二六年~)などのいわゆる社会派の作家たちに受け継がれ、現代ベンガル文学の最も豊かな潮流を形成することになる。
 紙数の関係で、本書の収録作品を、彼の故郷である西ベンガル州ビルブム県のさまざまな階層の人びとの生活を題材にした、初期の短編に絞ることにした。収録作品のうちでは「花環と白檀」(一九三二年)が最も発表年代が早く、「供養バラモン」(一九三七年)が最も遅い。作品のテキストは、いずれも、上述の『タラションコル短編集』全三巻のうちの第一巻から取られている。

著者プロフィール

タラションコル・ボンドパッダエ  (タラションコルボンドパッダエ)  (

1898~1969年。インド西ベンガル州出身。ラビンドラナート・タゴール後のベンガル現代文学において最も優れた作家のひとりと言われている。200篇近い短編と60篇を超える中・長編小説、詩、戯曲、紀行、批評を執筆。初期の作品は故郷西ベンガル州ビルブムの農村社会に生きる多様な階層の人々の生活を鋭く鮮やかに描いており、中・後期の作品は大きな歴史的パースペクティヴの中にそれらを位置づけるような作風になっている。本書では、初期の作品の中でもとりわけ評価の高い短編を集めた。

大西 正幸  (オオニシマサユキ)  (

 東京出身。東京大学文学部英語英米文学科卒。一九七六~一九八〇年にかけてインドに留学。ベンガル文学・音楽などを学ぶ。オーストラリア国立大学文学部言語学科にて、ブーゲンビル(パプアニューギニア)の少数言語モトゥナ語の記述研究でPh.D.取得。名桜大学(沖縄)教授、マックスプランク研究所(ライプツィヒ)客員研究員、総合地球環境学研究所客員教授などを経て、現在は同志社大学文化遺産情報科学研究センター嘱託研究員。専門はベンガル文学・口承文化、記録・記述言語学、言語類型論。
 訳書に、ラビンドラナート・タゴール著『家と世界』上下巻(第三文明社)、モハッシェタ・デビ著『ジャグモーハンの死』(現代インド文学選集3、めこん)、ニコラス・エヴァンズ著・大西他訳『危機言語―言語の消滅でわれわれは何を失うのか』(京都大学学術出版会)など。

上記内容は本書刊行時のものです。