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東大講義 東南アジア近現代史 加納啓良(著) - めこん
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東大講義 東南アジア近現代史

発行:めこん
A5判
縦210mm 横148mm
262ページ
並製
定価 2,500円+税
ISBN
978-4-8396-0261-1
Cコード
C0022
一般 単行本 外国歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月
2012年10月
書店発売日
登録日
2012年10月26日
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重版情報

3刷 出来予定日: 2018-06-01

紹介

インドネシア研究の第一人者加納啓良教授(現名誉教授)が東京大学教養学部と経済学部で長年講義してきた「東南アジア近現代史」「東南アジア経済史」の講義ノートを1冊にまとめました。オーソドックスな内容で、とても読みやすい! 11ヵ国の複雑多様な政治・経済の歩みがすーっと頭に入ってくる優れたテキストです。学生だけではなく、アジアに目を向けるビジネスマンの必読書となるでしょう。

目次

1.東南アジアの概況と近現代史の時代区分
  1-1. 東南アジアの地理的範囲
  1-2. 東南アジアの自然環境
  1-3. 民族と言語
  1-4. 人口
  1-5. 食物
  1-6. 宗教
  1-7. 東南アジア近現代史の起点

2.近代以前の東南アジア史
  2-1. 先史時代の東南アジアと初期の国家形成
  2-2. 初期の海洋交易国家
  2-3. 稲作を基盤とする王国群
  2-4. 大陸部における上座部仏教の拡大と諸王朝
  2-5. 島嶼部におけるイスラムの拡大と諸王朝
  2-6. 中国化したベトナムの諸王朝
  2-7. ヨーロッパ勢力の到来と19世紀初めの東南アジア

3.欧米植民地支配の拡大
  3-1. オランダによる東インド支配の拡大
      ジャワ戦争と強制栽培制度
      外島諸地域へのオランダの進出
      アチェ戦争と東インド全域支配の確立
  3-2. イギリス植民地支配の拡大
      イギリス・ビルマ戦争とビルマの植民地化
      海峡植民地の直轄植民地化と英領マラヤの形成
      北ボルネオ、ブルネイの保護領化とサラワクのブルック王国
  3-3. 交通・運輸・通信の発達と世界市場への編入
      定期郵便汽船航路の開設と拡張
      海底電線網の展開
      フィリピンの開港
      バウリング条約とタイ(シャム)の世界市場編入
      マラヤの錫鉱山開発と華僑社会の形成
  3-4. タイの近代化とフランス領インドシナの形成
      タイ(シャム)の近代化改革と独立保全
      フランス領インドシナの形成
  3-5. フィリピンのアメリカ植民地化
  3-6. 鉄道の建設と太平洋貿易の増加
      鉄道の建設
      パナマ運河の開通と太平洋貿易の発展

4.後期植民地国家の形成と経済発展
  4-1. 後期植民地国家の形成
      前期植民地国家から後期植民地国家へ
      通貨の国別統一
      人口センサス(国勢調査)
  4-2. 1910年代までの経済発展
      投資と労働力の移入
      地域間分業の形成
      蘭印(インドネシア)の経済発展
      英領マラヤの経済発展
      大陸部3地域の米作フロンティア
      フィリピンの経済発展
  4-3. 1920年代から1941年までの経済発展
      第一次世界大戦を転機とする変動
      英領マラヤと蘭印(インドネシア)のゴム栽培
      1929~30年恐慌を転機とする変動

5.植民地支配の帰結とナショナリズムの台頭
  5-1. ナショナリズムの台頭
  5-2. フィリピンにおけるナショナリズムの展開
      フィリピン・ナショナリズムの誕生とフィリピン革命
      フィリピン・コモンウェルスの成立と社会革命運動の台頭
  5-3. インドネシア・ナショナリズムの誕生と成長
      「インドネシア」の起源
      倫理政策と近代学校教育の導入
      ナショナリズムの登場
  5-4. インドシナにおけるナショナリズムと社会主義運動の展開
      反仏復古運動
      新しいナショナリズムの登場
      社会主義運動の発展
  5-5. ビルマにおけるナショナリズムの展開
      ナショナリズムの芽生え
      インドからの分離とタキン党の結成
  5-6. タイの立憲革命
      教育の近代化
      人民党と立憲革命
  5-7. 英領マラヤにおけるナショナリズムと共産主義運動
      複雑な民族構成と近代学校教育の発展
      二つのナショナリズム

6.植民地支配の終わりと国民国家の誕生
  6-1. 第二次世界大戦と欧米植民地支配の崩壊
      日本による占領と現地社会の反応
      フィリピン
      マラヤ
      インドネシア
      ビルマ
      インドシナ
  6-2. ベトナム8月革命と第1次インドシナ戦争
  6-3. インドネシアの独立戦争と単一共和国の成立
  6-4. フィリピンの独立とフク団の反乱
  6-5. ビルマの独立と内戦
  6-6. マラヤ連邦の形成と内戦、独立

7.ナショナリズム革命の終結と強権政治の展開
  7-1. スカルノ体制からスハルト体制へ(1960年代末までのインドネシア)
      1950年暫定憲法体制
      外島反乱と1945年憲法復帰
      スカルノの失脚とスハルト政権の成立
  7-2. マレーシア連邦、シンガポール共和国の誕生とASEANの結成
      シンガポール自治政府の発足
      マレーシア連邦の形成とシンガポールの独立
      ASEANの結成
  7-3. マルコス政権の成立と戒厳令体制
  7-4. サリット政権と軍部独裁体制下のタイ
  7-5. ビルマ式社会主義の成立と展開
  7-6. 第2次インドシナ戦争とベトナムの統一

8.製造工業の発展と緑の革命
  8-1. 工業化の始動と民族・種族間対立
      工業化の始動
      マレーシアのブミプトラ政策
      インドネシアのプリブミ優先政策
  8-2. 「緑の革命」と稲作農業の変貌
      背景と経過
      フィリピンにおける「緑の革命」
      インドネシアにおける「緑の革命」
      東南アジア全体における稲生産と米貿易の推移
  8-3. 貿易統計から見た1970年代のASEAN5カ国経済

9. 1980年代からの東南アジア
  9-1. フィリピンの「ピープルズ・パワー革命」とマルコス政権の崩壊
  9-2. インドネシア・スハルト体制の長期化
  9-3. マレーシア・マハティール政権の成立とブミプトラ政策の推進
  9-4. ブルネイの独立とシンガポールの経済高度化戦略
  9-5. ミャンマーの民主化運動と軍事政権
  9-6. ベトナムの新路線(ドイモイ)と市場経済化の開始
  9-7. カンボジアの悲劇と内戦
  9-8. 経済発展の新段階へ
      石油ブームとその終焉
      構造調整、規制緩和と輸出指向工業化
  9-9. プラザ合意、円高と新産業投資ブーム

10. 20世紀末以降の東南アジア
  10-1. 貿易自由化とASEAN地域統合
  10-2. アジア経済危機(1997~98年)と東南アジア
      背景と序曲
      危機の波及
      危機からの回復
  10-3. リーマン・ショック(2008年)後の東南アジアの経済成長
  10-4. 最近の貿易統計から見た東南アジア経済
  10-5. スハルト体制の終わりとインドネシアのレフォルマシ
  10-6. 市民社会の目覚めと強権政治の後退
      マレーシア
      シンガポール
      ミャンマー
  10-7. フィリピン--アロヨ政権から新アキノ政権へ
  10-8. タイの政治抗争--黄色派と赤色派の死闘
  10-9. おわりに--21世紀世界と東南アジア

地図1 東南アジアの国境(2011年末)と主要都市
地図2 東南アジアの島・川・造山帯
地図3 近代以前の東南アジアの主要国家首都所在地
地図4 オランダ領東インド(蘭印)の形成
地図5 ビルマのイギリス植民地化
地図6 英領マラヤの形成

参考文献
東南アジア現代史略年表
索引

前書きなど

まえがき

 本書は、政治・経済の動きを中心に、主に19世紀半ばから現在にまで至る東南アジア全域の歴史を概観したものである。現在の東南アジアは全部で11の国から成り、民族、言語、宗教、風俗などきわめて多様な要素を抱えた地域である。このように多彩な内容を持つ地域の歴史をひとつにまとめて記述しようとするのは、大きくは次の理由からである。
 第1に、民族的に多様であるといっても、東南アジアの大半の住民が人種的にはモンゴロイドに属し、主な農業の形態は稲作で米が最も重要な作物であり、熱帯の自然環境のもとで生活様式や基層文化に多くの共通点を持っている。歴史的に見ても、古い時代には隣接するインドや中国の文化、文明から強い影響を受け、17~20世紀には大半の地域が欧米の植民地支配またはその強い政治経済的影響のもとに置かれ、その中で現在の国家、社会の原型が形成されたという共通点を持っている。
 このような意味で大づかみにひとつの地域としてとらえうる東南アジアの歴史のうち、特に最近150年前後の時期を「近現代史」として本書で取り上げるのは、更に次の理由からである。まず、19世紀後半までの時代に東南アジアの全域が資本主義世界経済のシステムに編入されるとともに、東南アジアと世界の他地域、および東南アジアの中の諸地域のあいだに、それまでとは次元の違う強い分業関係が形作られ、東南アジアの各地における経済・社会の変動が共通の脈動に従って進むようになった。更に、20世紀に入ると、植民地支配を覆して新しい国民国家を創造しようとする政治的動きが展開し、この点でも共通の脈動をもって東南アジア全体の歴史が動く様子が強まった。本書では、この脈動に注目しながら、各国、地域の個別の歴史の動きをまとめて叙述することを試みる。
 初期の段階では植民地支配をも伴いながら、資本主義世界経済の分業体制への編入が決定的になり、更にその拡大と深化が現在に至るまで進んできた時代の全体を「近現代」(modern age)と考えることにすると、東南アジアの場合、おおよそ19世紀半ばから後半にかけての時期が近現代の幕開けの時代と言ってよいように思う。なお、英語では一括してmodernと呼ばれるが、日本語では「近代」と「現代」の用語の区別がある。この区別には明確な普遍的定義があるわけではないので、本書では両者を一括して「近現代」と呼ぶが、東南アジアの欧米植民地支配体制が崩れる1940~50年代を分水嶺として、それ以前を「近代」、以後を「現代」と呼び分けることも可能であろう。
 本書はまた、近現代史を理解する前提として知っておくことが最低限必要と思われる東南アジアの前近代史の概略について、第2章で簡単にまとめておくことにした。この部分について立ち入った知識を求める読者は、東南アジアの前近代史についてより詳しく記述された概説書や研究書を別にひもといて頂きたい。
 最後に、東南アジア近現代史の学び方と叙述方法について一言述べておく。東南アジア各国の近現代史についての基本的史・資料はそれぞれの国の言葉に加え、英語、フランス語、オランダ語など旧植民地宗主国の言語でも記されており、その全部をひとりの研究者が独力で参照し利用することは、およそ不可能である。そのため、ひとりで東南アジア全体の歴史像をつかみ叙述するためには、各国、各地域について主に英語や日本語で書かれた概説書や二次資料を頼りにするしかない。本書もこの方法に従って執筆されたことをお断りしておきたい。東南アジア各国の近現代史について、定番的な、あるいは良く書かれていると思われる概説書については、巻末の参考文献リストに掲げておいたので、より詳しい知識を求める読者はそれらを参照されるようお願いする。

著者プロフィール

加納啓良  (カノウヒロヨシ)  (

東京大学名誉教授
1948年、東京都生まれ。1970年、東京大学経済学部卒。1971~80年、
アジア経済研究所勤務。1980~91年、東京大学東洋文化研究所助教授。
1991年から同教授。2012年3月に東京大学を定年退職し、現在名誉教授。
インドネシアを中心に東南アジアの経済・社会・歴史を研究。1976~78年、1987~88年、1998~99年の3回にわたりインドネシアに長期滞在して調査研究に従事。その他、毎年数回はインドネシアを訪問。

上記内容は本書刊行時のものです。