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ラオス農山村地域研究 横山智(編) - めこん
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ラオス農山村地域研究 (ラオスノウサンソンチイキケンキュウ)

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発行:めこん
四六判
456ページ
上製
定価 3,500円+税
ISBN
978-4-8396-0213-0   COPY
ISBN 13
9784839602130   COPY
ISBN 10h
4-8396-0213-1   COPY
ISBN 10
4839602131   COPY
出版者記号
8396   COPY
Cコード
C3030  
3:専門 0:単行本 30:社会科学総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2008年3月
書店発売日
登録日
2010年2月18日
最終更新日
2015年8月22日
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紹介

日本のラオス研究の頂点に立つ書。地理学・植物学・社会人類学などの気鋭の研究者が綿密なフィールドワークをもとに多様なラオスの農山村の実態を明らかにし、その問題点を掘り下げる。専門書ではあるが、さまざまな工夫で読みやすくなっており、ラオス概説としての要素も大きい。

目次

第1章 ラオスをとらえる視点
第2章 消えゆく水牛
第3章 民族関係と民族アイデンティティ
第4章 水田を拓く人々
第5章 水田の多面的機能
第6章 土地森林分配事業をめぐる問題
第7章 森林事業による森の変容
第8章 非木材産物と焼畑
第9章 焼畑とともに暮らす
第10章 開発援助と中国経済のはざまで
第11章 商品作物の導入と農山村の変容

前書きなど

まえがき                              横山 智

 今でこそ、ラオスの農山村でフィールドワークをしている研究者は多い。しかし、つい最近まで、ラオスの農山村には、行くことすらできなかった。
 私が初めてラオスを訪れたのは、今から一六年前の一九九二年である。青年海外協力隊員として、首都ヴィエンチャンで二年間生活したが、ヴィエンチャン以外の土地をほとんど知らずに帰国した。当時のラオスでは、人の移動が厳しく規制され、県境を越える際には通行許可証が必要であった。しかも、私のような外国人に対して、許可証は簡単には発行されなかった。
 一九九四年に、その状況が大きく変わった。タイとラオスを隔てていたメコン川に友好橋が開通したことで、外国人旅行者に観光査証が発行され、通行許可証が廃止された。つまり、だれでも、ある程度自由にラオス国内を移動できるようになった。社会主義に転じた一九七五年以降、閉ざされてきたラオスの農山村が、一九年ぶりに外国人に開放されたのである。
 これで、農山村に行けるようにはなった。しかし、フィールドワークすることは、まだまだ困難であった。一九九六年に北部の農山村でフィールドワークを試みたが、一人では村に入ることができず、結局、国連開発計画の助けを借りて、そのプロジェクト対象地で研究をさせてもらった。開発援助のための調査は許されても、学術目的の調査に対しては理解が得られない状態が続いたのである。
 ところが、二〇〇〇年に文部省の派遣でラオス国立大学に留学した時には、状況はかなり改善されていた。調査地に設定したのは、道路でのアクセスができず、川伝いにボートでしか行けないような北部の村であった。最初だけは大学の先生と一緒に郡長に挨拶に行ったが、その後は私一人で村に入ることが許可された。つまり、ラオス農山村でフィールドワークができる環境が整ったのは、ここ七、八年のことなのである。

 このような経過をへて、ラオスでのフィールドワークを心待ちにしていた研究者たちが、いよいよ本格的に動き出した。そのうちのひとつが、総合地球環境学研究所の「アジア・熱帯モンスーン地域における地域生態史の統合的研究: 一九四五―二〇〇五」(平成一五~二〇年度)である。ラオスを中心とする東南アジア大陸部を対象としたこのプロジェクト研究には、秋道智彌教授をリーダーにのべ一〇〇名近い研究者が参加した。
 本書の執筆者一五名のうち一二名は、このプロジェクトの森林農業班のメンバーとして、ラオス農山村でフィールドワークを実施してきた。本書は、その研究成果を公表し、社会に広く還元することを目的として企画したものである。さらに、ラオス農山村の実態を伝えるために不可欠なトピックを加えるため、プロジェクトのメンバー以外にも、ラオスで豊富な調査経験を持つ三名の研究者が執筆に加わった。その結果、農学、林学、民族植物学、土壌学、農業経済学、社会学、地理学、文化人類学、歴史学の九つの学問分野にまたがる一五名の執筆者が協働して、本書を執筆することとなった。
 ラオスは、他の東南アジア諸国に比べると、研究蓄積そのものが少ない。特に、最近までフィールドワークができなかった農山村の研究は、緒に就いたばかりである。外国語で書かれた書籍を含めても、ラオス農山村をここまで多面的に、かつ広範囲に論じた類書はない。本書は、多分野の研究者がラオス各地でフィールドワークを行ない、そこで見て聞いて、そして感じたことを手がかりに、ラオス農山村の多様な姿を探った、初めての専門書である。

版元から一言

明らかに現段階での日本のラオス研究の頂点に立つ本です。

著者プロフィール

横山智  (よこやまさとし)  (

1966年生まれ。熊本大学文学部准教授。筑波大学大学院地球科学研究科博士課程中退。博士(理学)。
専門:地理学、文化生態学。

落合雪野  (おちあいゆきの)  (

1967年生まれ。鹿児島大学総合研究博物館准教授。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。博士(農学)。
専門:民族植物学。

河野泰之  (こうのやすゆき)  (共著

1958年生まれ。京都大学東南アジア研究所教授。東京大学大学院農学系研究科博士課程修了。農学博士。
専門:土地・水資源管理。

高井康弘  (たかいやすひろ)  (共著

1956年生まれ。大谷大学文学部教授。神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得退学。文学修士。
専門:社会学、文化人類学。

中田友子  (なかたともこ)  (共著

1960年生まれ。神戸市外国語大学外国語学部准教授。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。博士(文学)。
専門:社会人類学。

増原善之  (ますはらよしゆき)  (共著

1963年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研究員。チェンマイ大学人文学部歴史学科修士課程修了。MA(歴史学)。
専門:歴史学。

冨田晋介  (とみたしんすけ)  (共著

1973年生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科助教。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。博士(農学)。
専門:熱帯農業生態学。

小坂康之  (こさかやすゆき)  (共著

1977年生まれ。京都大学東南アジア研究所研究員。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程修了。博士(地域研究)。
専門:民族植物学。

田中耕司  (たなかこうじ)  (共著

1947年生まれ。京都大学地域研究統合情報センター教授。京都大学大学院農学研究科博士後期課程中退。農学修士。
専門:熱帯農学。

名村隆行  (なむらたかゆき)  (共著

1971年生まれ。国際協力機構(JICA)ラオス森林管理・住民支援プロジェクト専門家(参加型資源管理分野)。東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程単位取得退学。修士(農学)。
専門:森林政策学。

百村帝彦  (ひゃくむらきみひこ)  (共著

1965年生まれ。地球環境戦略研究機関(IGES)研究員。三重大学大学院生物資源学研究科修士課程修了。博士(農学)。
専門:森林政策学、森林社会学。

竹田晋也  (たけだしんや)  (共著

1961年生まれ。京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科准教授。京都大学大学院農学研究科博士後期課程中退。農学博士。
専門:森林資源学、熱帯農学。

福田恵  (ふくださとし)  (共著

1974年生まれ。大谷大学文学部助教。神戸大学大学院人文学研究科博士課程修了。博士(学術)。
専門:環境社会学。

櫻井克年  (さくらいかつとし)  (共著

1957年生まれ。高知大学理事(総務担当)、副学長、農学部教授。京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了。農学博士。
専門:熱帯土壌学、土壌生態環境学。

藤田幸一  (ふじたこういち)  (共著

1959年生まれ。京都大学東南アジア研究所教授。東京大学大学院農学系研究科修士課程修了。農学博士。
専門:農業経済学。

上記内容は本書刊行時のものです。