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後藤正治ノンフィクション集 第6巻『牙』江夏豊とその時代『不屈者』
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2010年8月
- 書店発売日
- 2010年8月1日
- 登録日
- 2012年10月30日
- 最終更新日
- 2012年10月30日
書評掲載情報
2016-05-01 | 東京新聞/中日新聞 |
2012-11-04 |
毎日新聞
評者: あさのあつこ(作家) |
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紹介
青春の重なり を感じたただ一人の野球人、江夏豊。
プロ野球の<夏の季節>、長嶋がいて王がいた。真っ直ぐ一本で立ち向かい、よく三振を奪い、またときに痛打を浴びた。
それでも牙を剥いて闘うことを止めなかった。江夏がもっとも江夏らしかった縦縞時代。そして、<その時代>を綴った著者の記念碑的作品『牙』。
老いを知覚した名優が演技力によって新境地を切り開いていくように、
照り輝く季節が去ってもなお挑戦し続ける情熱を追った
人物短編集『不屈者』を併せて収録。
目次
『牙』江夏豊とその時代
序章………反抗
第一章……ごつい奴
第二章……早春
第三章……九月の三日間
第四章……兄貴
第五章……黄金バッテリー
第六章……個人事業主
第七章……大阪ブルース
第八章……伝説
第九章……六球の攻防
第十章……化け物
第十一章…世紀の落球
終章………記憶
あとがき
『不屈者』
幻の史上最速投手──元プロ野球投手・森安敏明
閃光、走る──ラガーマン・村田亙
美の成熟──棋士・谷川浩司
泥沼に花ありて──シンクロコーチ・井村雅代
登攀──登山家・山野井泰史
あとがき
第六巻解説─道浦母都子
第六巻への覚書
追記
「第六巻への覚書」より
よく問われることがあった。江夏豊とは何者か、と。私の知る江夏はグラウンド内のことに限られているが、こう答えてきた。
――ことマウンドに立てば、いつも素晴らしい野球選手だった、と。
付け加えることがあるとすれば、その卓越したプロ性と、いまも残す野球少年の心ではあるまいか。一見、ふたつは遠く隔たっているようでありつつまた交差していて、それが相まって立ち現れていたのが江夏という選手だった。彼の周辺からフィールド・オブ・ドリームスが生まれた所以もまたそこにあったように思える。
道浦母都子「解説」より
一九六〇年代後半から七〇年代にかけての一連の学生騒乱は、戦後日本への青春世代からの少々荒っぽい問いかけだったと私は考えているが、その代替として負った傷も浅くはない。今、その点を詳しく述べるつもりはない。わかる人にだけわかれば、いいことなのである。
「江夏への旅」は、後藤さんにとって、青春期に於けるたったひとりの抵抗、そこで受けとめ、 抱きしめ続けたものを、どんくさく、決してスマートとはいえない江夏という人物の風貌や 生き方に重ねての旅だったのだろう。
熱い夏ほど、早く終わる。
けれど、その夏を抱きしめながら生きる者こそ、本当の人生を味わえるのではないか。後藤さんが言いたかったのは、まさにこのことだろう。
上記内容は本書刊行時のものです。