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後藤正治ノンフィクション集 第3巻『遠いリング』『咬ませ犬』
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2010年10月
- 書店発売日
- 2010年10月15日
- 登録日
- 2010年10月15日
- 最終更新日
- 2012年10月30日
受賞情報
講談社ノンフィクション賞
書評掲載情報
2016-05-01 | 東京新聞/中日新聞 |
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紹介
もはや死語となった感のある「青春」という言葉を
引き受けるにたるものが確かにここにある
──著者を深く動かした8人のボクサーたち。
彼らそれぞれの「光芒のとき」を綴った
第十二回講談社ノンフィクション賞受賞作品の『遠いリング』を収録。
見返りや名誉のためではない、
内側からの情熱に突き動かされた本物のプロがここにいる!
スポーツの世界を舞台に「書きたいことを書きたいように書いた」
と著者自身が語る短編集『咬ませ犬』を併せて収録。
目次
『遠いリング』
第一章…絆のテンカウント
第二章…ジョーの戦記
第三章…演歌
第四章…カムバック
第五章…青コーナーブルース
第六章…B級パンチ
第七章…ゴング鳴るとき
あとがき
『咬ませ犬』
咬ませ犬──倒される前に倒す無名ボクサー
壁と呼ばれた男──公式戦記録のない二軍監督
ライアンの蹄音──競走馬の仕上げに賭ける厩務員
楕円球への夢──見はてぬ夢を追うラガーマン
ザイルの彼方──挑み続ける中年クライマー
あとがき
第三巻解説─林 壮一
第三巻への覚書
追記
「第三巻への覚書」より
『遠いリング』を書いて以降も、登場してくれたボクサーたちの消息を耳にしてきたが、次第に乏しくなり、やがて音信も途絶えていった。それでも折に触れて思うのだった。彼らにとって、リングにあった日々はなんであったのだろう、と。
何を残したのか──。人生の折々に、問い、問われることである。その後に即物的に役立つという秤にしたがっていえば、有益なるものは少なかろう。けれども、若き時代、ぎっしりと中身の詰まった日々をもったことが意味のないはずはない。畢竟(ひっきょう)、人生とはプロセスの連鎖であるならば、充実した日々の存在それ自体が価値なのだ。彼らへの敬意と懐かしさを込めて、そう思う。
林 壮一「解説」より
後藤さんの『遠いリング』は編集者たちの価値観と真正面から対峙し、そのうえで彼らを黙らせた一冊でもある。穏やかな人柄の奥にある、後藤さんの信念が伝わる。
若いボクサーたちのリングにおける生き方を目にし、“ほてり”を感じながら、ご自身も原稿用紙の上で闘っていたのだ。出版界の手垢に塗れて志を失う書き手が多いなかで、そのファイティング・スピリットは潔く、眩しい。
末期的状況に向かうノンフィクション界に留まり、30年以上もトップファイターとして勝負し続ける後藤さんの姿には、ただただ脱帽だ。
上記内容は本書刊行時のものです。