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後藤正治ノンフィクション集 第2巻『甦る鼓動』『生体肝移植』京大チームの挑戦
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2011年5月
- 書店発売日
- 2011年5月31日
- 登録日
- 2012年10月30日
- 最終更新日
- 2012年10月30日
書評掲載情報
2016-05-01 | 東京新聞/中日新聞 |
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紹介
臓器移植。何が起こり、何が問われているのか。
心臓・腎臓・肝臓移植、そして脳死者が生まれる救急病棟。
苦悩する「患者」と「外科医」──。
日本社会においてもようやく臓器移植の臨床の時代が訪れつつある。
受賞作家 後藤正治が、日米両国の臨床現場の徹底取材を通して、
移植医療の全貌を描く。
目次
『甦る鼓動』
第一章……今日の命
第二章……十四年目の発掘
第三章……明暗の旅
第四章……救急病棟
第五章……遠い坂道
第六章……最後の登攀
第七章……遥かなる助走
第八章……帝王の町
あとがき
証言及び取材協力者
主な引用・参考文献
『生体肝移植』京大チームの挑戦
第一章……手術場
第二章……十二年目の春
第三章……外科医
第四章……小児病棟の日
第五章……細き道を
第六章……新領域へ
第七章……私のことなんだ・・・
あとがき
主な参考文献
第二巻解説─小柳 仁
第二巻への覚書
追記
「第二巻への覚書」より
いま、本書に登場いただいた医学者も多くは第一線を退いておられる。故人となられた方 もおられる。その方々の仕事と歩みを敬意と懐かしさを込めて思い起こしている。
移植を受けることなく亡くなられた待機患者の顔も浮かぶ。有効な治療手段がなかったの ではない。目の前にありつつ、〝諸般の事情で?手の届かぬものとしてあり続けてきた。い まはただ、私は彼らのことを忘れまいと思うだけである。
本巻には『生体肝移植』もあわせて収録した。脳死移植が閉ざされてきた時代、その〝一支流?として切り開かれてきた日本的臨床である。その中心軸を担った、京大の田中紘一チームの 足跡を追ったノンフィクションである。いま生体肝移植は海外においても広く普及し、移植 外科の確かな領域としての位置を占めるに至っている。
小柳仁「解説」より
しかし私は初対面の後藤氏の前では、構えることなく、ゆったりと、言い換えれば少し「抜いて」話をしていたと思う。彼は医療上の出来事を「事件」としてみるのではなく、その出来事を、今進めつつある人物を通して真髄に迫ろうとしているかのように見えた。
…<中略>…
後藤氏はこの分野にかけている多くの人物像を暖かく抉り出してくれた。一連の臓器移植についての著述は、この国におけるもっとも詳細な科学史であり、一つの医療行為を社会に根付かせる「社会工学」の記録でもある。同時代にこのような文筆家を得たことは喜びである。
上記内容は本書刊行時のものです。