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イギリス国立公園の現状と未来
進化する自然公園制度の確立に向けて
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2012年2月1日
- 書店発売日
- 2012年3月15日
- 登録日
- 2012年1月23日
- 最終更新日
- 2012年10月24日
紹介
本書は、イギリス国立公園の沿革、現状、当面する課題などを明らかにしつつ、日本の国立公園管理の将来像を構想しようとするものである。
従来、自然保護区のモデルとされたのが国立公園制度、とりわけアメリカ合衆国の国立公園であった。しかし、生物多様性保全においては、里地・里山に代表される二次的自然(人の生活とのリンケージの中で育まれてきた自然)の保護がきわめて重要である。そこで、本書においては、アメリカ型の管理の厳格な国立公園制度の対局として、地域との協働を重視し、持続可能な地域社会の形成、地球温暖化への対応、生物多様性保全などの今日的課題を追求しているイギリス国立公園を取り上げ、その今日的意義付け、新たな可能性、将来の制度発展の条件などを、最新の文献、資料・統計、各種の報告書、数回の現地調査などの成果をもとに解明する。本書は、国立公園制度を、多様な現代的課題に対応し、未来を展望しうる制度としてとらえ、その可能性を示すことによって、国際的潮流から隔たりつつある日本の国立公園制度に対し重要な示唆をあたえることを目的とするものである。
そこで、イギリス国立公園が、自然の美の保存等と地域社会の健全な発展という目標をいかに達成しつつあるのかに焦点をあて、さらに規制的手法にとどまらず、住民とのパートナーシップ・市民参加による協議、協定、買取り、補償などの自主的手法・合意的手法を駆使していることについて、最新の知見を提供する。
さらにヨーロッパ諸国の中から、主要国であるイタリア、スウェーデン、ドイツ、フランスについて、国立公園および類似の制度の現状と課題が分析される。
以上の分析により、今日の国立公園が、自然資源の厳格な保存と限られた利用者へ開放という古典的モデルから、地域社会との連携を模索しつつ成長する自然公園型モデルへと転換すべきであることを明らかにし、日本の国立公園の特徴、管理の実態などに精通した執筆者らの相互討論を踏まえ、日本およびイギリスの国立公園の可能性と進歩の方向が明らかにされる。
従来、アメリカの国立公園についてはいくつかあるが、イギリス・ヨーロッパの国立公園に関する業績は(本書執筆者によるものを除き)皆無に等しい。本書は、諸外国の国立公園(およびヨーロッパの自然公園)に関する研究者による最初の本格的なモノグラフィーであり、法学、環境社会学、森林資源管理学、農村計画学など、専門分野をこえる共同研究によって初めて達成し得た成果である。
目次
目次
0.なぜイギリス国立公園か-イギリス国立公園制度の特徴
1. イギリス国立公園制度の成立
2. イギリス(イングランド)国立公園制度の現状
3. ピークディストリクト国立公園の管理とパートナーシップ
4.コッツウォルズ特別自然景勝地域
5. 歴史の中の国立公園
6. 比較の中の国立公園―ヨーロッパ諸国の自然公園制度
7.自然公園の将来展望
8.座談会:国立公園・自然公園の可能性を求めて
(ヨーロッパから日本へ)
上記内容は本書刊行時のものです。