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顔真卿伝
時事はただ天のみぞ知る
- 初版年月日
- 2019年1月5日
- 書店発売日
- 2019年1月10日
- 登録日
- 2018年11月21日
- 最終更新日
- 2024年3月11日
書評掲載情報
2019-02-24 |
毎日新聞
朝刊 評者: 井波律子(中国文学者) |
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紹介
雄勁の書風をもって書道史上にその名を留める顔真卿。
しかし書はその一局面の表出に過ぎない。
安史の乱とそれに続く激動の時代のなかで、
節義に生きた顔真卿の等身大の人物像を、
中国の歴史・文学・思想に精通した著者が
堅実な史料解釈と余韻ゆたかな筆致で描き出す。
書き下ろしの本格的人物伝!
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険しい時代を生きた顔真卿。『旧唐書』は巻一二八に、『新唐書』は巻一五三に顔真卿の伝記を備えている。また顔真卿自身がのこしたさまざまの書作品や少なからざる詩文が今日に伝わる。それらに基づいて、あらかたは伝記風にその生涯をたどりつつ、せいぜい等身大の人物像を描くことにつとめたい。《「はじめに」より》
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「書は人なり」。いやそれ以上に、書よりもまずなにより大切なのは人間なのだ。両『唐書』に真卿の書についての記事が少ないのは、真卿にとってなんら不名誉なことではなく、むしろ名誉とすべきことがらなのかもしれぬ。後世の人間にとって顔真卿の名が想起されるのは、なによりもその書芸術によってではあろうけれども、しかしながら書芸術はあくまでも人間顔真卿の一局面の表出に過ぎないのであり、おそらく真卿自身も、あらゆる学芸や徳義を兼備するところの均衡のとれた人間を理想としたのにちがいない。「慎んで書を以て自らに命(な)づくること勿(な)かれ」、くれぐれも書をもって表看板とするようなことがあってはならぬぞ、このように戒めた五代の祖之推の遺訓を真卿は裏切ることはなかったのである。《本文より》
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※初刷は限定仕様カバー。書影は重刷分につき、リニューアル仕様。
目次
はじめに
一章 輝かしい家系とその生い立ち
書生門戸/節義の伝統/書芸術の伝統/父惟貞/幼少時代
二章 官界デビュー
青雲の志/張旭/硬骨の官として
三章 安史の乱
羯胡安禄山/気驕りて上都を凌ぐ/漁陽の?鼓(へいこ)、地を動(どよも)して来たる/平原太守として/青年李[山+咢]の献策/危機迫る/平原を去る/行在所へ
四章 息を吹き返す唐王朝
長安帰還/「祭姪文稿」と「祭伯文稿」/「争坐位帖」
五章 撫州刺史時代
「麻姑山仙壇記」/「魏夫人仙壇碑」/「華姑仙壇碑」/「李含光碑」/仏教とのかかわり/「蔡明遠帖」と「八関斎会報徳記」
六章 湖州刺史時代
『韻海鏡源』/皎然/「李左相の石樽」聯句/陸羽/張志和
七章 壮絶な最期
「李太保に与うる帖」/『礼儀集』/盧杞の姦策/李希烈のもとで/「蔡州帖」/泉下に眠る顔真卿
終章 書と人
後世における顔真卿評/書をもって自らに命(な)づくることなかれ
あとがき
参考文献
図版一覧
顔真卿年譜
上記内容は本書刊行時のものです。