書店員向け情報 HELP
「ぞめき」の時空間と如来教
近世後期の救済論的転回
- 初版年月日
- 2020年7月30日
- 書店発売日
- 2020年8月7日
- 登録日
- 2020年6月24日
- 最終更新日
- 2020年8月5日
紹介
一八〇〇年前後、日本宗教史上の大転換が起こった。名古屋城下は、群衆が開帳に狂乱して向かい信仰に熱狂する「ぞめき(騒き)」のただ中にあった。民衆宗教の先掛けとされる如来教は、こうした時空間に登場したのである。名古屋の人びとの宗教への向かい方に注目し、「身体」から「心」へと質的転回をした救済論について、如来教、真宗、民間信仰の枠を超えて明らかにする。
【目次】
第一部 一八〇〇年前後の救済課題と如来教
第一章 一八〇〇年前後における救済の動揺
――三業惑乱と如来教――
第二章 名古屋城下の真宗異安心と如来教
――尾州五人男をめぐって――
第三章 「渇仰の貴賤」と如来教
――作善実践に向き合う――
第二部 一八〇〇年前後名古屋の宗教環境と如来教世界の形成
第一章 如来教世界の形成過程と秋葉信仰
第二章 如来教説教の想像力としての近世親鸞伝
第三章 文政大地震と如来教
結章 本稿の成果と課題・展望
目次
序章
はじめに――「ぞめき」の時空間と如来教――
一 民衆宗教研究・如来教研究とその課題
二 近世民衆宗教としての如来教
三 本書の立場と分析視点・方法
四 本書の構成
第一部 一八〇〇年前後の救済課題と如来教
第一章 一八〇〇年前後における救済の動揺――三業惑乱と如来教――
はじめに――異安心の時代と如来教――
一 近世真宗教学論争年表からみる如来教の時代
二 三業惑乱――近世真宗最大の異安心事件――
三 つとめの方法への問いと如来教
おわりに――三業惑乱にみる時代的課題と共振する如来教――
第二章 名古屋城下の真宗異安心と如来教――尾州五人男をめぐって――
はじめに――名古屋城下の真宗から如来教説教を読む――
一 名古屋城下の真宗
二 名古屋城下における真宗信仰の揺れ――「新敷宗意」事件と尾州五人男事件――
三 如来教説教と真宗の動向
おわりに――一八〇〇年前後の救済課題に対する心の定置という応答と如来教――
第三章 「渇仰の貴賤」と如来教――作善実践に向き合う――
はじめに――「渇仰の貴賤」の群像から如来教説教を読む――
一 『金明録』にみる「渇仰の貴賤」
二 作善問題と善の実践根拠
三 作善問題と如来教――善/悪と救済――
おわりに――一八〇〇年前後の人々の救済への希求と宗教の応答――
第二部 一八〇〇年前後名古屋の宗教環境と如来教世界の形成
第一章 如来教世界の形成過程と秋葉信仰
はじめに――名古屋城下の宗教環境と如来教における存在意義の発見――
一 名古屋城下の秋葉信仰――その登場と展開――
二 鳴海宿下郷家と秋葉講――その組織と信仰活動――
三 秋葉信仰に対峙した如来教説教の展開
おわりに――他信仰との柔軟な対峙のあり方と民衆宗教・如来教の展開――
第二章 如来教説教の想像力としての近世親鸞伝
はじめに――一八〇〇年前後の宗教知と如来教説教――
一 枕石寺の宝物弘通と「高祖親鸞聖人御枕石」
二 如来教の中の「高祖親鸞聖人御枕石」縁起
三 如来教の「高祖親鸞聖人御枕石」縁起の想像力
おわりに
第三章 文政地震と如来教
はじめに――非日常に表出する民衆宗教の特徴――
一 名古屋城下における文政地震
二 地震の恐怖と宗教
三 如来教の地震説教とその展開
おわりに――即時性・即興力・変容――
結章 本稿の成果と課題・展望
一 一八〇〇年前後の都市名古屋
二 「ぞめき」の時空間とつとめの方法の模索――社会変化へのふたつの対応――
三 一八〇〇年前後の救済パラダイムという視線を広げる
四 救済論の構成にみる如来教の特色
初出一覧
あとがき
上記内容は本書刊行時のものです。