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エスペラント 大類善啓(著) - 批評社
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エスペラント (エスペラント) 分断された世界を繋ぐHomaranismo (ブンダンサレタセカイヲツナグホマラニスモ)

社会一般
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発行:批評社
A5判
200ページ
定価 1,700円+税
ISBN
978-4-8265-0723-3   COPY
ISBN 13
9784826507233   COPY
ISBN 10h
4-8265-0723-2   COPY
ISBN 10
4826507232   COPY
出版者記号
8265   COPY
Cコード
C0087  
0:一般 0:単行本 87:各国語
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2021年5月25日
書店発売日
登録日
2021年5月14日
最終更新日
2021年5月14日
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書評掲載情報

2021-08-22 読売新聞  朝刊
評者: 瀧澤弘和(中央大学教授・経済学者)
2021-07-24 東京新聞/中日新聞  朝刊
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紹介

世界中の人びとが使い易く覚えやすい国際共通語として、エスペラントは1887年に発表された。19世紀の各民族が入り乱れる混沌とした世界情勢の中で、言語的・文化的に中立な共通語が広まることで相互理解が進み、平穏がもたらされる、と創案者であるザメンホフは考えたのである。
そのようにして誕生したエスペラントは、根底に平和と協調の思想が存在しており、日本では反戦主義者やアナーキストが受容と普及に努めてきた。日本のエスペランティストたちは、売国奴と蔑まれながら大日本帝国の侵略戦争を批判し続けた長谷川テルやベトナム戦争に抗議して官邸前で焼身自殺した由比忠之進のように、時流や権力に苛烈に反抗してきたのである。
急速なグローバル化が反転して「自国ファースト」が叫ばれる現在こそ、エスペラントの思想が必要となっている。あまりにも早すぎたザメンホフの人類人主義の精神に、ついに時代が追いついてきたのである。

言語・宗教・民族・国家の違いを認め合うために――今こそエスペラントを!
ちょっと変わった人たちだけど、個性豊かなホマラニスト。
日本エスペランティストたちの闘争列伝。

目次

まえがき
第一章 エスペラントの創造者ザメンホフとは
生まれた町ヴィアリストク/多言語が行きかう町/人類のために世界共通語を!/レフ・トルストイやロマン・ロランも共感
第二章 エスペラントは日本へどう伝わったか
二葉亭四迷がエスペラントを売り出す/エスペラントに魅せられた柳田國男/宮沢賢治もエスペラントを学ぶ/大杉栄は中国にも影響を与えた
第三章 中国とのエスペラント交流
魯迅、周作人兄弟とエスペラント/文豪のエスペランティスト、巴金の来日/熱気に満ちた歓迎パーティー/パーティーでの有吉佐和子の喜びぶり
第四章 中国で闘う長谷川テル
エスペラントを駆使して闘うテル/「売国奴と呼んでください」/時代の逆流に抗して/民衆を裏切らなかった長谷川テル/上海を脱出し南方へ向かうテル夫妻/世界的視野を持っていたテル/ペンで闘い続けるテル/周恩来も称賛したテルの活動/日本の敗戦/劉仁の故郷へ出発/一方的に〝結婚〟させられた劉仁/再び佳木斯に向かう二人
第五章 彷徨える理想主義者 由比忠之進
首相官邸前で焼身自殺して抗議/若い頃からエスペラントを学ぶ/日本敗戦後、中国残留を望む/焼け跡闇市時代に帰国/由比、エスペラント学会を訪ねる/一燈園に入る/名古屋でのエスペラント活動/朝鮮戦争勃発/抑圧されたソ連圏エスペラント運動/「ソ連帝国主義」を告発した由比忠之進/原爆被災者を支援する由比忠之進/由比忠之進を導いた人類人主義/追悼会などは無用/由比忠之進の死を悼む/「由比の思想は生きている」/焼身自殺という行為
第六章 清貧な理想主義者 伊東三郎
敗戦後五年目に発行された『ザメンホフ』/ひとりではなく「共同の力」で/二つの学校を中退し農民運動へ/埴谷雄高と出会う/常に志を高く/一体それが何だ!/老荘の徒/洗いさらした木綿のような人/享年六七 早すぎる死/「馬鹿いっちゃいかん!」/自己変革し続けた人格者/「ウォーッ!」と奇声を発す
第七章 アナーキスト 山鹿泰治
印刷工として生きる/エスペラントにのめり込む/キリスト者からアナーキストへ/アナーキスト・大杉栄に会う/キリスト教から訣別する苦悩/「各国のアナーキストと文通したし」――外国雑誌への広告/電気工として中国の大連へ/中国アナーキズム運動との連携/盲目の詩人、エロシェンコの来日/エスペラントに共感した北一輝/SATの創立者ランティの来日/スペイン市民戦争が勃発し人民共和国政府を支援/戦後の山鹿泰治
第八章 「小日本」に抵抗したカリスマ 出口王仁三郎
聖師と慕われた王仁三郎 108/エスペラントと大本/エスペラントを採用するバハイ教と大本/「日本人のスケール」を超えた王仁三郎/王仁三郎とは何者か? 大宅壮一、王仁三郎に会う/「聖師は平民的な方です」/「大本は宗教ではない」/人を縛らない教祖、王仁三郎/王仁三郎の下から輩出した教祖たち/王仁三郎と鎮魂帰神/秘かに反戦の意思を伝える王仁三郎/放棄した国家賠償請求権利/「吉岡発言」で世界平和を発信
第九章 大勢に抗して闘う斎藤秀一
寺の息子として誕生/文学青年として成長/エスペラントに取り組む/一女を残した短かった結婚生活/闘うエスペランティスト/教職を解雇される/日本政府の言語政策を批判/時代は暗黒時代へ/日中は全面戦争へ/エスペラント界の二極分裂/招かれざる人ランティの来日/日本のエスペラント界を批判する少数派
終章 なぜ、エスペラントは普及しないのか!?
「エスペラントはまだあるの?」/国際会議ではなぜ、英語が話されるのか?/「世界=アメリカ」への疑問から/エスペラントの持つネットワーク/時代を先取りしていたエスペラント/エスペラントの理念に世界が近づいてきた!/マスメディアの責任はないのか?/現代は英語ハラスメントの時代だ!/英語ができるのは人類の少数派である!/「エスペラント界の閉鎖性を打破したい」/若い人たちよ、エスペラント界へ来たれ!/エスペラントを使う共同体/今こそ、長谷川テルの精神と行動を思い起こそう
引用・参考文献
あとがき
ザメンホフの『第一書』について
楽譜『La Tagigo』/『La Espero』

著者プロフィール

大類善啓  (オオルイヨシヒロ)  (

1968年法政大学文学部哲学科卒業後、欧州、中東、アジアに遊ぶ。週刊誌記者、フリーライターなどを経て、78年初訪中。79年より中国との交流に携わり、81年手塚治虫のアニメ『鉄腕アトム』の中国・中央テレビでの放映業務、2002年日中国交正常化30周年特別番組〈孫文を支えた知られざる梅屋庄吉〉を企画、テレビ朝日で放映される。
現在、一般社団法人日中科学技術文化センター理事・参与。また、中国ハルビン市郊外の方正県にある日本人公墓(1963年建立)の存在を通じて、日本の中国への加害と被害の実相などを伝えていこうと2005年、方正友好交流の会を立ち上げ、理事長として会報『星火方正』を編集発行している。この会報で日本人公墓を知った映画作家・羽田澄子さんが記録映画『鳴呼 満蒙開拓団』を制作、2009年全国で上映される。
著書に『ある華僑の戦後日中関係史―日中交流のはざまに生きた韓慶愈』(明石書店、2014年)、共著に『風雪に耐えた「中国の日本人公墓」ハルビン市方正県物語』(東洋医学舎)、『満蒙の新しい地平線 衞藤瀋吉先生追悼号』(満蒙研究プロジェクト編集委員会編)など。

上記内容は本書刊行時のものです。