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「私」から始める支援の実践
公共福祉の隙間を埋める
- 初版年月日
- 2020年3月20日
- 書店発売日
- 2020年3月20日
- 登録日
- 2020年3月13日
- 最終更新日
- 2020年3月17日
紹介
私たちが生きていく上で、向き合わねばならない様々な事象に関わる多様なテーマを研究・発信する花園大学の公開研究の講演録。
現在の日本では「自己責任」という言葉が蔓延し、家族や地域社会との縁が薄れ、しかし公共福祉では個人や家庭への援助が行き届いていない。そうした中でも現状をあきらめず、シンガーソングライターの玉城ちはる氏は個人として、生活が困難な留学生の「ホストマザー」として36名の「母親」となって共生し、彼らの学生生活を支援し、送り出している。また、大阪府立松原高等学校では生徒からの提案として「松高キッチン」という子ども食堂を企画・運営し、高校生でありながら地域や子どもの現状を改善しようと行動を起こしている。
息詰まるような現代社会で個人ができることには何があるのかを実践者が体験から語り、どのようにして行動に移していけばよいのかのヒントを示す講演録。
目次
はしがき(吉永純)
命の参観日(玉城ちはる)
●はじめに●「命の参観日」のはじまり●私が思う「多文化共生」・「多様性」●人それぞれの価値観●言葉にして伝えること●やさしさ貯金ゲーム●ほほえみ続けること
松高版「子ども食堂」の取り組み――「産業社会と人間」の授業をきっかけに(大阪府立松原高等学校のみなさん)
●はじめに●松原高校の紹介●授業「産業社会と人間」~声を挙げていく主体として●ビデオ上映●発表までの葛藤●「子ども食堂」の立ち上げ
優生保護法の歴史と現在(松原洋子)
●はじめに~「優生学」の歴史を振り返る意味●「優生学」とは?●優生保護法の概要●優生保護法の「優生」のなりたち●国民優生法下での「優生手術」●敗戦と「民族復興」●優生手術の規定の比較と運用●優生条項の削除に至るまで
日本における精神疾患の早期治療・早期支援は若者に最善の利益をもたらすか?(三品桂子)
●はじめに●世界一精神科病床の多い国 日本●若者の精神病様症状体験●精神疾患早期介入とは●精神病早期支援宣言●イギリスの精神保健医療の実態●イギリスの早期介入サービス●若者が求めるサービスとは●日本の早期介入サービスの実態 ●日本の精神保健システム●日本の早期治療・早期支援の課題●おわりに
反『優生学講座』――相模原障害者殺傷事件を踏まえた障害者福祉の課題について(藤井渉)
●はじめに●1 相模原障害者殺傷事件と障害者福祉●2 戦前日本の優生学●3 統計学的な思考「確率論的人間観」●4 障害者は「コスト」という発想●5 障害者=犯罪者という認識●6 戦時・戦後の優生政策と障害者●7 優生学の歴史を踏まえた障害者福祉の論点について●おわりに
小学校教科書の変遷 特に昭和二〇年代に焦点をあてて(菅修一)
●報告者と昔の教科書との出会い●なぜ昭和二〇年代に焦点をあてたのか●「国定五期」●墨ぬり教科書●暫定教科書●「国定六期」●「戦後検定教科書」●まとめ
福祉現場で直面した虐待(島﨑将臣)
●はじめに●脊髄損傷者について●ケース1●不適切なケア●虐待の発生のメカニズム●高齢者虐待の現状●ケース2●具体的な対応方法●ケース2のまとめ●まとめ
上記内容は本書刊行時のものです。