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精神医療93号
旧優生保護法と現代
- 初版年月日
- 2019年1月10日
- 書店発売日
- 2019年1月10日
- 登録日
- 2018年12月15日
- 最終更新日
- 2018年12月15日
紹介
優生思想――障害をもって生れてくる子どもたちへの生命倫理を問う
2016年7月、相模原殺傷事件の加害者は、「障害者を殺すことは不幸を最大まで抑えること」と主張しました。その翌々年、10歳代で優生手術を強制された宮城県の女性が、国家賠償請求訴訟を起こしたと報じられました。
精神医療の領域で優生思想が問われたのは、第一に戦前の断種法制定をめぐる論争においてであり、第二に1970年代の優生保護法改悪反対運動においてでした。加えて、1980年代には、岐阜大学胎児人体実験批判を契機にして、日本精神神経学会研究と人権問題委員会が「優生保護法に関する意見」を公表しました。
しかし、母体保護法の時代になってからの優生思想については、検討が不十分なままでした。
「精神医療」誌では、旧優生保護法と精神医療とのあいだの問題は、いまだ「旧」と呼ぶことの出来ない、きわめて現代的な問題ではないだろうかという認識のもとに、多様な角度からの論考を、特集として編むことにします。
目次
[巻頭言]優生思想のゆくえ(高岡健)
旧優生保護法─―被害者が声を上げることが社会を変える力(新里宏二)
障害を持つ女性の立場から(安積遊歩)
優生保護法被害の謝罪と賠償、そして検証と再発防止について(桐原尚之)
優生思想と日本の精神医療(高岡健)
優生保護法から母体保護法への改正の経緯――法改正に至る背景と経過、そして今後の課題(朝日俊弘)
[インタビュー①]旧優生保護法と精神医療(岡田靖雄+[聞き手]太田順一郎)
[インタビュー②]旧優生保護法と社会(市野川容孝+[聞き手]犬飼直子)
[コラム+連載+書評]
[視点54]国連恣意的拘禁作業部会への個人通報について(山本眞理)
[コラム]入院の痛みと日常的管理処遇(篠原由利子)
[連載 異域の花咲くほとりに9]倫理について(菊池孝)
[連載 神経症への一視角6]神経症から不安障害へ――当事者の視点から疾患概念を再考する(上野豪志)
[連載]精神現象論の展開5(森山公夫)
[書評]『永遠の道は曲りくねる』宮内勝典著[河出書房新社刊](阿保順子)
[特別集中連載1]袴田巌さんの主治医になって(中島直)
[編集後記](岡崎伸郎)
上記内容は本書刊行時のものです。