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プラグマティズム言語学序説
意味の構築とその発生
- 初版年月日
- 2023年2月22日
- 書店発売日
- 2023年4月6日
- 登録日
- 2023年3月9日
- 最終更新日
- 2023年3月28日
紹介
現代的な意味論や語用論といった分野は分析哲学から派生したため、言語学と哲学は密接な関係にある。本書は言語学において議論されることが少ないプラグマティズムという哲学の概念が言語分析の基礎概念として機能することを示すと共に、その帰結を論じることを試みる。本書はプラグマティズムに加え、身体性、フレーム理論、ネオ・サイバネティクスといった概念との関係について詳細に論じる初の学際的な研究書でもある。
目次
第1章 序論
1.1. 本書の目的
1.2. 本書の構成
第2章 合理主義的な言語モデルのその先へ
2.1. はじめに
2.2. 合理主義的言語観の興隆とその対案
2.2.1 第一次認知革命と生成文法の発展
2.2.1.1 Descartes主義言語学 普遍文法の想定
2.2.1.2 合理主義的なアプローチに対する反乱の兆し
2.2.2 反Chomskyの興隆
2.2.2.1 理論言語学「内部」の変動 認知言語学の興隆
2.2.2.2 理論言語学「外部」の変動 応用言語学の興隆
2.3. 認知科学的な言語モデルの再構築
2.3.1 身体性の概念が含意するもの
2.3.2 身体性への挑戦
2.3.2.1 Chomsky言語学と認知科学
2.3.2.2 コミュニケーションにおける身体、そして言語
2.3.3 言語至上主義を超えるために
2.4. おわりに
第3章 コミュニケーションの基本原理としてのプラグマティズム
3.1. はじめに
3.2. プラグマティックな転回
3.2.1 プラグマティズムの起源
3.2.1.1 ヒューリスティックとしてのプラグマティズム
3.2.1.2 Peirceのプラグマティズム
3.2.2 「実際的な意味」の意味
3.2.3 Descartes主義の否定
3.2.4 可謬主義
3.2.5 まとめ
3.3. プラグマティックな言語観(論)へ
3.3.1 「言い間違い」とコミュニケーション
3.3.2 「その都度」の方略としてのpassing theory
3.3.3 Passing theoryの拡張
3.3.3.1 プラグマティックな転回を促進する概念としてのpassing theory
3.3.3.2 passing theoryの設計の問題
3.3.4 プラグマティックな言語観とプラグマティクス(語用論)
3.4. おわりに
第4章 構成される意味
4.1. はじめに
4.2. フレーム理論の基礎
4.2.1 概念を記述するとはどのような営みか? 多元的な概念の記述の必要性
4.2.2 意味型と意味役割の弁別
4.2.3 意味役割の集合としてのフレーム
4.3. フレームの存在論と認識論
4.3.1 フレームはどのような存在者なのか?
4.3.2 フレーム構築のプラグマティズム Passing theoryとの関係から
4.3.2.1 共同体に応じたフレームの抽象度と詳述度の変動
4.3.2.2 意味フレームとコミュニケーション
4.4. おわりに
第5章 プラグマティックな言語論の拡張可能性
5.1. はじめに
5.2. 「記号論としての言語学」の意味と意義
5.3. 自律的に「閉じた系」という衝撃
5.3.1 ラディカル構成主義
5.3.2 オートポイエーシス
5.3.3 ネオサイバネティクスやオートポイエーシスとの接続可能性
5.3.3.1 自己言及性
5.3.3.2 学習と自律性の混乱
5.4. ネオサイバネティクス、記号、プラグマティズム、分かりやすさ
5.4.1 「制約」として働くプラグマティズム
5.4.2 「逞しさ」として働くプラグマティズム
5.4.3 記号の有契性の再考
5.5. おわりに
第6章 結論
6.1. まとめ
6.2. 今後の展望
6.2.1 ボトムアップな組織化
6.2.2 トップダウンな制約
6.2.3 ボトムアップな組織化とトップダウンな制約の相互作用
参考文献
あとがき
索引
上記内容は本書刊行時のものです。