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浪花の歌う巨人パギやんの「在日」無頼控
- 初版年月日
- 2018年6月
- 書店発売日
- 2018年6月5日
- 登録日
- 2018年4月18日
- 最終更新日
- 2018年7月9日
紹介
さあサ! 浪速の歌う巨人・パギやんの新刊ですよ-!
歌あり、笑いあり、涙あり、胸にグッときて、楽しく読めます!
モリカケ疑惑、過労死問題、ヘイトスピーチ、差別……、
弱いものの味方のパギやんが、出口の見えない閉塞感にピカリっと鋭く切り込みます。これぞ無頼派!
目次
第1章 鳥の目・虫の眼・ニャンコのメ
1 「いのち」の境目
2 膝を屈して生きるもんか!
3 神戸から福島・沖縄へ
4 Unfogettable(思い出枕)
第2章 奮戦する「在日」
1 「息子よ、そのままでいい」(神戸金史×趙博)
2 芸人万歳!(中山千夏×趙博)
3 〈恨〉の系譜(佐高信×趙博)
4 在日の体たらくをえぐれ(辛淑玉×趙博)
第3章 「在日」無頼控
1 国家と革命──在日のクニ
2 ぼやき漫談──在日のアイデンティティ
前書きなど
まえがき
「木を見て森を見ない」「森を見て木を見ない」──どちらも認識の不完全さを言い表しています。だから、鳥が空から俯瞰するような眼も持ちたいし、虫が這いつくばりながら塵も見落とさないような目もほしい。そうだ、他人がどうであれ、悠然・泰然と眼前の対象を見抜くような猫の目もほしい。だけど「見えない」人はどうする? いえいえ、「見えない」は他人が見て「見えない」と思うだけ。「見えない」本人は「心の眼」を持っているに違いない。「見えない」は決して闇ではない。それが証拠に「みる」という動詞は、〈視・聴・臭・味・触〉五感すべてに膠着できるじゃないですか。
大阪府吹田市にある、社会福祉法人「ぷくぷくの会」が発行する『まねき猫通信』の巻頭言【トリの眼・ムシの目・ニャンコの目】の連載が14年目に突入しました。毎月500字のコラムを書くのはとても楽しく、かつ、程よい文章修行なのです。今まで書き溜めてきた500字の塵が積もって8万4000字になった記念に、駄文群の中から取捨選択と修正・添削・加筆を施しました。その他、幾つかを引っ付けて再構成したら、『在日無頼控』になりました。
さて、今年は「70周」年です。1948年は、美空ひばりが歌手デビュー、太宰治は愛人の女性と共に玉川上水で入水自殺、国連で「世界人権宣言(Universal Declaration of Human Rights)」が採択された年。また、日本の文部省が朝鮮学校閉鎖令を出し、学校を死守するために立ち上がった在日朝鮮人の闘いに対して、GHQは阪神間に戒厳令を布いて弾圧しました。これこそが、朝鮮学校の高校無償化からの排除をはじめ、今も続く制度的差別の原点です。さらに、戦後最大の疑獄事件と言われた「昭和電工事件」が起き、戦後最大の労働争議と評された「東宝争議」は終結を余儀なくされ、誇り高き全日本学生自治会総連合(全学連)が結成されたのも1948年でした。日本国外では、済州島「四・三事件」で3万人が虐殺され、大韓民国(8月13日)と朝鮮民主主義人民共和国(9月9日)がそれぞれの政府樹立を宣言、朝鮮半島の分断が始まりました。そして、イスラエル「独立」(=シオニスト政権によるパレスチナ占領、5月14日)に対して、アラブ連盟が宣戦して第一次中東戦争が勃発した年、それも1948年でした。
あのぅ……、本書が書店に並ぶ頃、「ボクちゃん」はもう辞めてるのかしら? 僕が物心付いた頃の日本の首相は池田勇人、それ以降、ろくな首相がいた試しがありませんが、「殺意を覚える」首相はあの人しかいません。でも、まさか殺人を実行に移すわけにはいかないので、YouTubeに"Abe Is Over"[Love Is Overの替え歌]をアップ・ロードしたところ、この9カ月間で視聴回数が6万2000回を越えました(パチパチパチ……拍手)。
この本は、七つ森書館・中里英章さんのひとかたならぬ御尽力で成りました。記して、感謝いたします。
そして、手にとって読んでくださるアナタにも、心より感謝いたします。
2018年4月24日、『阪神教育闘争』70周年の日に──
浪花の歌う巨人・パギやん、趙博 拝
上記内容は本書刊行時のものです。