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「いのち」と「平和」の演劇を創る 吾郷 修司(著) - 七つ森書館
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「いのち」と「平和」の演劇を創る (イノチトヘイワノエンゲキヲツクル) 学習発表会・文化祭を大成功に導く10の鉄則・67のコツ/脚本集 (ガクシュウハッピョウカイブンカサイヲダイセイコウニミチビクジュウノテッソクロクジュウナナノコツキャクホンシュウ)

教育
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発行:七つ森書館
B5判
188ページ
並製
定価 2,400 円+税   2,640 円(税込)
ISBN
978-4-8228-1896-8   COPY
ISBN 13
9784822818968   COPY
ISBN 10h
4-8228-1896-9   COPY
ISBN 10
4822818969   COPY
出版者記号
8228   COPY
Cコード
C0037  
0:一般 0:単行本 37:教育
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2018年4月
書店発売日
登録日
2018年3月14日
最終更新日
2018年4月13日
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紹介

 学習発表会や文化祭での演劇が、子どもの成長を促す──演劇教育の意義から、題材選び、本番中の細部に至るまで、演劇を成功させる「10の鉄則」と「67のコツ」を解説。また「いのち」と「平和」について考える脚本8作品を収録。学級の実情に合わせた脚本作りのポイントも紹介する。

目次

はじめに

第1部 心がふるえる演劇を創ろう(演劇教育を行う意義)
 子どもたちとともに演劇を創るってすばらしい
  ① 作品がもつテーマについて考えを深める
  ② 表現力を総合的に学ぶ
  ③ 自分の殻を破る
  ④ 集団としての成功体験をつむ
 特別支援を必要とする児童とともに
 肢体不自由の児童を中心に据える
 不登校などの児童・生徒も「何か」で参加する
 事前の準備と練習日程モデル
 事前の準備
 練習開始後

第2部 演劇を成功させる10の鉄則と67のコツ
 鉄則1(テーマについて)「いのち」「平和」「人権」などのテーマをもった劇をする
   ──ドタバタ劇からは感動は生まれない
  ① 学習発表会・文化祭では、劇をすることを4月から公言しておく
    ──最高の思い出になる、□□学校史上最高の劇をしよう!
  ② ぶれない姿勢で「いのち」、「平和」、「人権」などのテーマを提案する
    ──おちゃらけた劇はしないよ。心にしみる劇をしよう!
  ③ 希望のわく展開の脚本を用意する
    ──やっぱり、人間ってすばらしいね!
  ④ いのち・平和・人権の教育の延長に発表会・文化祭を位置づける
    ──まずはやってみることが大切

 鉄則2(脚本について)学級に最適な脚本ができあがるまで、修正の手間を惜しまない
   ──ひとつひとつの台詞を何度も吟味する
  ① 上演時間、人数、男女比、方言等をふまえて脚本を修正する
    ──学級の全員が活躍できるように台詞を振り分けよう
  ② 台本は編集しやすい横書きで書く
    ──本書を上手に使ってください
  ③ 子どもに言わせてみて手直しする手間を惜しまない
    ──こんな台詞を加えたいと思ったら提案して!
  ④ 紙ファイルを用意して台本を大切にさせる
    ──劇が終わるまで台本を大切にしてしっかり読もう!

 鉄則3(脚本の読み合わせについて)全ての台詞を全員が覚えるまでしっかり読ませる
   ──心情を読み取る力と表現力をきたえる
  ① 最初の1週間は役を決めずに繰り返し読む
    ──読んで読んで読みまくろう!
  ② 物語の基本的な流れを確認する
    ──その後、主人公はどうなったの?
  ③ 場面ごとに何を感じるかを尋ねる
    ──今の場面、どう思った?
  ④ 登場人物全員の気持ちを台詞ごとに確認する
    ──この台詞を言った登場人物や周りの人はどんな気持ち?
  ⑤ 自分なりの台詞の言い回しをやらせてみる
    ──まずは、自分が思ったとおりに言ってみよう!
  ※尋ねられたら、すぐに何かを答える習慣を身につけさせておこう
    
 鉄則4(配役について)全ての子どもにチャンスを与える
   ──「全員が主役」という気持ちを共有する
  ①「主役」「脇役」の概念を捨てさせる
    ──全員が主役です!
  ② すぐに配役を決定しない。練習しながら「はまり役」を見つけていく
    ──□□君はこの役にぴったりだなあ!
  ③ 自分がどの役に合っているか、どの役が誰に合っているかを考えさせる
    ──みんなで劇を成功させるために、みんなで配役を考えよう!
  ④ やる気を重視するが、やる気だけでは決めない
    ──やりたい役があったらしっかり練習しておいで!
  ⑤ 最後は教師の責任と決断で配役を決定する
    ──□□さんはこの点がすごくいいね。この役は□□さんでいこう!
  ⑥ 誰でもすべての役に交代できるように練習する
    ──いつでもどの役でも交代できるように練習しよう!

 鉄則5(発声について)大きな声を出させることに最大の力を注ぐ
   ──指導の半分は、大きな声を出させること
  ① 毎日発声練習から始める
    ──先生よりも大きい声を出してみよう!
  ② 専門的な発声法にとらわれず、とにかく最大の声を出す
    ──生まれてから今までで最大の声を出してみよう!
  ③ 言い慣れているあいさつなどを大声で言う練習から始める
    ──最大の声であいさつしてみよう!
  ④ 口を大きく開けてのどを開く
    ──うなぎを丸のみしたようにのどを開いて!
  ⑤ 息をしっかり吸って、しっかりはき出しながら声を出す
    ──深呼吸しながら、大きな声を出してみよう!
  ⑥ 体を共鳴させる
    ──太鼓のように胸やお腹を膨らませたまま大きな声を出してみよう!
  ⑦ 体育館の響きを意識させる
    ──体育館も太鼓と一緒なんだ。しっかり響かせよう!
  ⑧ 観客を意識しながら大きな声を出す
    ──体育館の一番後ろにいるおばあちゃんに声を届けてあげようよ!
  ⑨ 客席の方を向いて台詞を言う
    ──のどの奥をお客さんに見せながら声を出そう!

 鉄則6(感情移入と演技について)指導者の理想とする演技を要求し続ける
   ──子どもの力をあなどらない
  ① 妥協しない姿勢を見せ続ける
    ──やればできる。できるまでやる!
  ② 台詞を言うのではなく感情に台詞をくっつける
    ──その台詞を言葉なしの声・表情・体で表現してみよう!
  ③ 笑い声、怒り声、泣き声、うめき声に台詞を乗せる
    ──本当に笑いなさい! 泣きなさい! その声に台詞を乗せなさい!
  ④ 最も適した台詞の速さを意識させる
    ──最も適したスピードを考えてから言ってみよう!
  ⑤ 失敗しやすい台詞は、失敗しない速さまで遅くして言う
    ──「かむ」のは速すぎる証拠!
  ⑥ 低学年でも語尾が強くなるなど不自然な言い方をさせない
    ──「ぼくはあ」なんて普通は言いません!
  ⑦ 台詞のどこに強調点があるかを常に意識させる
    ──ただ抑揚をつければいいわけではない!
  ⑧ BGMに台詞を乗せるように言わせる
    ──メロディーに台詞を気持ちよく乗せていこう!
  ⑨ 教師が迫真の演技を見せる
    ──先生がやってみるよ。これ以上の演技をしてよ!

 鉄則7 (舞台上のルールについて)舞台上の全員がその場面の主役と心得る
   ──台詞のない時に何をしているかが劇のクオリティを左右する
  ① 台詞のない時の動きや表情を自分の台本に書きこみさせる
    ──台詞のない時は待ってる時間ではありません!
  ② ステージの前3分の1で演技する
    ──しっかり前に出て演技しよう!
  ③ 登場人物が前から見て重ならない
    ──かぶらない! 「かくれない、かくさない!」をみんなで気をつけよう!
  ④ 均等に立たない
    ──豆を転がしたように、自然な散らばり方をしよう!
  ⑤ 舞台上では前または斜め前を向いているのが基本
    ──台詞の前後は相手に視線を合わせ、話している間はゆっくり前を向こう!
  ⑥ 足音を立てない
    ──無用な音は劇の邪魔です!

 鉄則8(舞台袖のルールについて)舞台袖ですべきことをきちんと指導しておく
   ──舞台袖の空気が演劇の成否を決める
  ① 居場所を決めておく
    ──自分の場所から友だちを心の中で応援しよう!
  ② 完全な静寂をつくる
    ──全く音を出さない時間を1分間つくってみよう!
  ③ 自分の荷物は各自のかご等に入れ、置き場所も決めておく
    ──衣装や小道具は自分で責任を持って管理しよう!
  ④ 袖の幕を揺らさない
    ──幕にあたらないように出たり入ったりしよう!
  ⑤ 登場人物は暗転2秒後に歩いて移動開始
    ──物語には余韻が大切です!
  ⑥ 大道具を静かに素速くセットできるように練習をくり返す
    ──大道具を置く様子も演技のうちです!
  ⑦ 小型のホワイトボード・懐中電灯を用意しておく
    ──いざというときだけ使うこと!
  ⑧ 舞台袖(左・右)のリーダーを決めておく
    ──何かあった時にはリーダーを中心にのりきれ!

 鉄則9(大道具・小道具・衣装・BGM・照明・背景について)時間をかけずに演出効果を高める
   ──効果的な演出は子どものやる気につながる
  ① 大道具・小道具はできるだけ本物・ある物を利用する
    ──楽しみながら用意しましょう
  ② 衣装は保護者にあらかじめ協力を依頼しておく
    ──雰囲気が出ていたらOK。凝らなくて大丈夫です
  ③ プロジェクターを利用して場面転換する
    ──背景画を手描きする時間を別なことに使いましょう
  ④ BGMになりそうな曲をできるだけたくさん録音しておく
    ──「この曲はいい」と思ったらすぐチェック
  ⑤ BGM・効果音・照明は綿密に練習しておく
    ──失敗しやすいものです

 鉄則10(本番前後の指導について)本番へ向けて徹底的に気分を高める
   ──緊張こそ力を発揮させるバネ
  ① 予行演習までにすべての準備を完了させる
    ──予行演習は1回目の本番です
  ② 自分の演技をビデオでチェックさせる
    ──本当の本番までにまだまだよくなるぞ!
  ③ 前日練習は個人も全体もほめて終わる
    ──よくここまでやりきった。絶対に最高の演技をしよう!
  ④ 誓いの言葉を作文に書いて学級通信に載せる
    ──ここまでがんばったのだから家族みんなに来てもらおう!
  ⑤ 衣装・小道具など忘れ物がないかチェックさせる
    ──自分が使う衣装と小道具をもう一度確認しよう!
  ⑥ 他学年の発表を静かに見ながら集中させる
    ──大きな声で、思いっきり演技する……そのことに意識を集中させよう!
  ⑦ 直前のかけ声で最後の発声練習をして気合いを入れる
    ──最後に思いっきり声を出して、気合いを入れよう!
  ⑧ 緊張感を前向きにとらえさせる
    ──緊張しているのは頭と体ががんばろうとしている証拠だ!
  ⑨ 演劇にミスはつきものであることをあらかじめ理解させておく
    ──ミスはみんなでカバーして、気づかせないようにしよう!
  ⑩ 絶対成功するという暗示にかける
    ──みんないい顔だ。最後まで気を抜かなかったら絶対成功する!
  ⑪ 終了後、しっかりほめてから、有頂天にならないように指導する
    ──これからもずっと考えていこう、ずっと成長していこう!

第3部 「いのち」と「平和」について考える脚本8作品
 脚本集のためのまえがき
 脚本利用上の留意点
 『おじいさんの時計──ありがとう共和国とこのやろう王国の物語』(小学校低学年向け)
 『バロルのなみだ』(小学校低・中学年以上向け)
 『シムクガマの奇跡』(小学校中・高学年、中学生以上向け)
 『釜石の奇跡』(小学校中・高学年、中学生以上向け)
 『輝けいのち──ヒロシマの地下室から』(小学校高学年・中学生以上向け)
 『流転』(小学校高学年・中学生以上向け)
 『母の祈り──ある満蒙開拓団家族の物語』(小学校高学年・中学生以上向け)
 『あかね雲の空の下より──疎開児童たちの綴った手紙』(小学校高学年向け)

あとがき

前書きなど

はじめに

 学習発表会・文化祭の季節が近づくと、担任する学級で、今年は何をさせようかと考え込んで、気が重くなってしまう先生も多いのではないでしょうか。この本は、演劇をやってみたいと思っているものの、なかなか最初の一歩を踏み出せずにいる先生や、やってはみたけれど、なかなかうまくいかないと感じている先生に、演劇を成功させるための大原則や、それにまつわる数々のコツをお伝えするために書いた本です。
 私は、これまで25年以上にわたり、学習発表会や文化祭などで子どもたちに演劇を指導してきました。また、地域の方々を招いての演劇公演も主催してきました。その中で、演劇はそれ自体がすばらしい「教材」であるということを強く感じています。
 特に、いのち、平和、人権、友情、人間愛といった普遍的な価値をテーマにして、一生懸命に劇に取り組むと、子どもたちがこれらの問題を真剣に考えるようになります。それを見る他の児童や保護者も一緒になって考えてくれます。
 また、表現力を鍛えるという点では、音読が飛躍的に上手になります。今までたどたどしくしか発音することができなかった児童が、大声で朗々と台詞を述べ続けることができるようになります。やり遂げた後には、ひとりひとりが大きな達成感を味わうことができます。
 さらに、仲間づくりという点でも、非常にいい効果があります。演劇の成功という大目標に向かって、学級や学年が団結していきます。子どもたちの隠れた才能が発揮されて、お互いを認め合うことができるようになります。そうして、子どもたち同士の距離がぐっと縮まります。
 このように、演劇は、個人としても、集団としても、それまでの「殻」を破ってくれるすばらしい教材なのです。
 演劇の指導は、運動会や卒業式をはじめとして、学校教育のあらゆる場面に応用が利くものばかりです。演劇指導の方法を学ぶことは、学校における「指導」そのものを学ぶこととほぼ同じだと言ってもいいかもしれません。もちろん、私のやってきた指導法が、最善などというつもりは毛頭ありません。失敗も含めて、経験を重ねてきた分だけ、参考になるものがあるのではないかと考えるばかりです。
 ぜひ日本中の多くの先生が、本書を踏み台に、ご自分の創意工夫を加え、正面から演劇指導にチャレンジして、それぞれの学級ですばらしいドラマをつくっていただきたいと心から願っています。

   2018年1月  吾郷修司

著者プロフィール

吾郷 修司  (アゴウ シュウジ)  (

1967年1月生まれ。岡山大学教育学部を卒業後、岡山県北で中学校・小学校に勤務。
現在、真庭市立湯原小学校教諭。

上記内容は本書刊行時のものです。