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愛国汚職の壊憲政権
- 初版年月日
- 2017年7月
- 書店発売日
- 2017年7月15日
- 登録日
- 2017年5月25日
- 最終更新日
- 2017年7月25日
紹介
森友学園問題、加計学園問題など、どうみても汚職まみれの安倍政権が、「2020年のオリンピックの年に改憲をしたい」そうだ。保守で改憲論者の小林節氏は立憲主義者であり、佐高信氏は護憲派──丁々発止とくり広げるリベラルな対談を、どうぞお読みください。
目次
第1章 護憲派こそが改憲派に議論を挑むべき
森友学園は、設立認可手続き自体がアウト
安倍昭恵は公人である
護憲派が、改憲派の場へ出ていくこと
アメリカ議会で、英語でスピーチした安倍首相はおかしい
改憲について、自民党は一点突破を考えている
護憲派こそが改憲派に議論を挑まなければならない
第2章 野党が賢く連立して政権を取り返すべし
櫻井よしこの、おかしな憲法論
岸信介と自民党の憲法論議
自民党の国防族と文教族、世襲議員
一票で国を変える、という民主主義
山形から安倍政治をノックダウン
あからさまな「お代官政治」はアウト
若い人たちが動き始めた
野党が賢く連立すれば、政権を取り返せる
沖縄の米軍基地を内側と外側から見た経験
「戦前の日本を取り戻す」という安倍政権
第3章 この国を盗んだ安倍政権
闘いはここから始まる
政治の貸しは政治で取り返す
野党共闘の現場で
この国を盗んだ安倍政権が問題です
小沢一郎がポイントになる場面が出てくるか
安倍「壊憲」を撃つ
笑いをもって闘っていく
第4章 政権交代が可能な政治体制を
憲法をないがしろにした政治
憲法学の常識に反する自民党の政教分離論争
税務署が怖いから、自民党と仲良くする創価学会
権力と仲良くしたい創価学会と日蓮の教え
政権交代が可能な政治体制
一つの共通点があったら、野党共闘ができる
第5章 われわれの闘争宣言
朝日新聞の従軍慰安婦報道裁判
中山武敏さんとの出会い
大学は世間の圧力から守る砦
因縁をつけられても、どうということはない
特捜部が時の権力に弱くなっている
「日本は法治国家でなくなったのですか?」
世襲貴族議員の逆ギレ
幸福になれない日本の会社
勲章が老害の象徴
われわれの闘争宣言
第6章 時代現象を突破する議論を
トランプ誕生の背景
安倍首相が通訳つきで話したのは、正味10分間
「拝啓マッカーサー様」という手紙を書いた時代
世界一腕力のあるアメリカが軍国主義で来る
参議院選挙を実際に戦って見えたもの
憲法があぶないと訴えても、憲法より生活だという
トランプ登場のウラでは
選挙で肉体も精神もタフになった
選挙に出て分かったメディア報道と供託金
改憲派と護憲派がガチンコ勝負をしないといけない
橋下・トランプ・小池という時代現象
前書きなど
はじめに──小林節
今、私たちは凄い(と言うか「酷い」)時代に生きている(否、「生きていた」)と、後の時代の歴史家は評するに違いない。
「新自由主義」「グローバリズム」という美名を冠した弱肉強食資本主義が恐ろしい勢いで貧困を拡散している。これは憲法25条(福祉国家)の否定である。主権者(国の主)であるはずの国民が権力を監視しようにも、特定秘密保護法が行く手を阻んでいる。これは憲法21条(知る権利)の否定である。政府見解でも侵略戦争と海外派兵ができないはずの憲法9条の下で、「平和安全保障法」という人を喰ったような名称の法律で海外に戦争に行ける手続きが立法化されてしまった。また、組織犯罪対策の条約を批准するために必要だとされる法律のはずが、いつの間にか、「テロ対策」「オリンピックに不可欠」と称して、「共謀罪」が新設された。政府はこれを「準備」という「行為」があって初めて立件するから刑法の基本原則(「考えただけでは罰しない」)とは矛盾しない……と強弁している。しかし、「準備」(例えばキャッシング)があってから「考えた」ことに遡って罰する本質に変わりはない。つまり、「考えた」ことを罰する以上、まず「考えた」段階から監視(盗聴、尾行、潜入捜査)をしている必要があり、これは、大日本帝国憲法下における治安維持法の再来である。これら全て、安倍内閣の「実績」である。
この政権は、さらに、経済成長戦略の柱として国家戦略特区という制度を法制化した。建前は行政による「岩盤規制」の突破であるが、それは事実上、国家権力の私物化である。加計学園問題が明確に示してくれたように、この制度の下で首相主導の会議がトップ・ダウンで決めたプロジェクトに限り、法律の規制を免れて、巨額の公的助成を受けて事業を展開できることになっている。これでは、封建時代の「将軍様」と「御用商人」の政治である。
この政権は、遂に憲法改悪に着手しようとしている。それができるのも、安倍政権は衆参両院それぞれ3分の2以上の議席に支えられているからである。
対する野党は、現行選挙制度の下では、彼らも自公に学んで選挙協力する以外に対抗方法がないことが明白であるにもかかわらず、野党第一党が消極的で本気で歩み寄ろうとしていない。情けない「専業野党」である。
最後の望みは、最終的な決定権者である有権者に目覚めてもらうしかない。このままでは、私たちはともに歴史的な「愚民」で終わってしまう。
議論を喚起したいと思い、同憂の士、佐高信先生と自由に語り合った記録がここにある。
主権者国民大衆を幸福にする業である政治が機能不全を起こしていることは明らかである。後は全て、私たちの賢明さに懸かっている。
上記内容は本書刊行時のものです。