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忘れられた思想家 山川菊栄
フェミニズムと戦時下の抵抗
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2022年3月10日
- 書店発売日
- 2022年4月15日
- 登録日
- 2022年2月24日
- 最終更新日
- 2022年8月28日
書評掲載情報
2023-12-09 |
日本経済新聞
朝刊 評者: 鹿島茂(仏文学者) |
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紹介
1910 年代後半、菊栄は「女われら」の自主自立を訴え登場した。
女性を性役割分業へと強制する男社会の告発、良妻賢母主義への論駁は、今日のフェミニストの主張にまっすぐにつながる。
目次
はしがき 序章
1章 菊栄の生い立ち
2章 社会主義、フェミニズムへの関心、山川均との結婚
3章 山川菊栄のフェミニズム思想と反軍国主義
4章 山川菊栄の「帝国のフェミニズム」批判と階級社会批判
5章 社会主義女性思想と社会主義運動の展開
6章 労働組合婦人部論争と「婦人同盟」問題
7章 帝国のフェミニズム・植民地主義批判
8章 山川菊栄の時局・戦争批判
9章 「国体観念」呪縛、民衆と女性の生活の疲弊
10章 戦争抵抗者の生き残り戦略ー生活者の視点を貫く
11章 敗戦と山川菊栄
12章 非武装中立・平和主義・社会主義へ
前書きなど
それにつけても日本もまた国内にしっかりした民主的政権を確立し、社会的、経済的な改革を行うことが必要 〔中略〕 アジアの進歩的勢力が何百年の暗黒時代を蹴破って力強く前進しつつある時、日本だけいつまでも半独立の姿で光に背をそむけ、腐敗した泥沼の中に浮き沈みしていいものでしょうか。
「アジア社会主義会議と日本」『婦人のこえ』 1954年12月号
菊栄は、1910年代後半、論壇に登場した。女性を性役割分業へと強制させる、新旧の良妻賢母主義に激しく駁論し、「女われら」の息吹もなまなましく、女性の自主、自立を力強く訴えた。男本位につくられた社会に対する告発で、まさしく今日のフェミニストの主張に直結するものであった。山川菊栄の廃娼論、「母性と労働」両立論、家事労働論、産児調節論、セクシュアリティをめぐっての「性暴力」認識などは、今日もなおみずみずしさを失ってはいない。 (中略)
当時の平塚らいてうの最大の関心は、女性としての「自我」の拡充にあった。菊栄にとっては、 資本主義社会の不平等、不公正にあった。そのもとにあって非人間的に遇され、差別と蔑視の境 遇に追いやられている、「社会的弱者」に対する視点がより強く存在していたことに尽きる。(本文より)
上記内容は本書刊行時のものです。