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戦前日本のユニバーサルバンク 粕谷 誠(著) - 名古屋大学出版会
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戦前日本のユニバーサルバンク (センゼンニホンノユニバーサルバンク) 財閥系銀行と金融市場 (ザイバツケイギンコウトキンユウシジョウ)

社会科学
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A5判
厚さ25mm
重さ 662g
390ページ
上製
価格 6,300円+税
ISBN
978-4-8158-1004-7   COPY
ISBN 13
9784815810047   COPY
ISBN 10h
4-8158-1004-4   COPY
ISBN 10
4815810044   COPY
出版者記号
8158   COPY
Cコード
C3033  
3:専門 0:単行本 33:経済・財政・統計
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年11月10日
書店発売日
登録日
2020年9月18日
最終更新日
2020年11月5日
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紹介

証券市場が高度に発達した戦前日本において、三井、三菱、住友など財閥系銀行はいかにしてその隔絶した地位を築きえたのか。見過ごされてきた証券・国際業務を軸に、近世来の両替商がユニバーサルバンクへと発展する姿を鮮やかに示し、巨大銀行と金融市場の関係に新たな光を投げかける。

目次

序 章 証券・国際業務と金融市場
1 本書の課題
2 本書の構成

第I部 両替商から銀行へ
――短期金融市場の形成

第1章 近世・近代における両替商の動向と銀行設立
1 はじめに
2 大坂における両替商の参入と退出
3 屋号の盛衰
4 1867年の大坂の両替商
5 江戸の両替商
6 明治期における両替商と銀行の設立
7 おわりに

第2章 為替と金融市場の展開
――近世から近代へ
1 はじめに
2 第一国立銀行における手形・小切手決済
3 東京と大阪の手形取引所における為替・手形取引
4 東京手形交換所における手形・小切手決済
5 金融恐慌後のコール市場
6 おわりに

第3章 三井銀行の資金循環と季節調整
――安田銀行と対比して
1 はじめに
2 日本銀行信用の変化
3 三井銀行の「預金銀行」化
4 安田金融網と日本銀行依存
5 おわりに

第4章 三菱銀行の資金循環と季節調整
1 はじめに
2 三菱銀行の借用金の動向と本支店貸借の概観
3 資金繰りの推移
4 当座貸越と借用金との関連
5 おわりに

第II部 ユニバーサルバンクの証券業務と国際業務

第5章 有力銀行の形成と証券・国際業務
1 はじめに
2 分析対象と変数の選択
3 クラスター分析の結果
4 おわりに

第6章 債券引受と債券市場
――証券会社・地方銀行との関係を中心に
1 はじめに
2 普通銀行の有価証券保有の規定要因――府県別データにもとづく分析
3 普通銀行の債券売買
4 おわりに

第7章 国際展開と外国為替業務
1 はじめに
2 日本の銀行の外国為替業務の開始
3 普通銀行の外国為替業務――特殊銀行と対比しつつ
4 為替銀行の顧客基盤
5 おわりに

第III部 ユニバーサルバンクの人的資源管理

第8章 三井銀行の人的資源管理
1 はじめに
2 三井銀行の雇用の特徴と人事制度
3 新卒採用の定着と雇用期間の長期化
4 採用
5 職務ローテーション
6 転勤
7 昇進
8 退職
9 おわりに

第9章 三菱銀行の人的資源管理
1 はじめに
2 職員制度と名簿および銀行合同
3 職員配置・転勤および昇進・職務経験と採用区分
4 森村銀行転入行員と三菱銀行在籍行員との比較
5 付論――女性について
6 おわりに

終 章 金融市場の発展とユニバーサルバンク
――戦後都市銀行へ
1 これまでの考察のまとめ
2 本書の結論

参考文献
あとがき
初出一覧
図表一覧
索引

前書きなど

本書の課題は戦前期日本の大銀行の証券・国際業務を金融市場とのかかわりのなかで考察することである。戦前期の日本では株式市場が発達し、戦間期には社債も発行され、資金調達にしめる割合が上昇していたが、銀行は株式の引受はあまりおこなわなかったものの社債の引受は積極的におこなっており、証券業務を限定的ではあれ兼営するユニバーサルバンクであった。もちろんすべての銀行が一様に証券業務をおこなったわけではなく、一部の大銀行に限られていたが、これはもっともユニバーサルバンクが発達したといわれるドイツでも同様であった。またグラス・スティーガル法(1933年)が施行される前のアメリカでも一部の国法銀行が証券業務をおこなう関係会社を設立して、証券業務を盛んに営んでいた(White, 1986)。

金融システムが銀行中心か証券市場中心か議論されることがあるが(Levin, 2002)、第二次世界大戦後については、イギリス・アメリカのようなタイプが市場中心のシステム(market-based system)、ドイツのようなタイプが銀行中心のシステム(bank-based system)とよばれるようになっている(Collins and Baker, 2003)。しかし第一次世界大戦前には資本市場が高度に発達しており、ドイツのユニバーサルバンクも市場に代替するというよりは、市場との補完関係が強く(Fohlim, 2007)、日本・アメリカでも銀行と証券市場の関係が深かった。アメリカ・日本・ドイツの金融システムが分かれていくのは、1930年代から1940年代の金融規制によってである(Vitols, 2001)。本書が戦前日本の大銀行と社債を中心とした債券市場との関係に焦点を当てるのは以上の銀行と証券市……

[「序章」冒頭より]

著者プロフィール

粕谷 誠  (カスヤ マコト)  (

1961年、埼玉県に生まれる。1989年、東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。東京大学社会科学研究所助手、名古屋大学経済学部助教授等を経て、現在、東京大学大学院経済学研究科教授、博士(経済学)。著書、『豪商の明治――三井家の家業再編過程の分析』(名古屋大学出版会、2002年)、『ものづくり日本経営史――江戸時代から現代まで』(名古屋大学出版会、2012年)、『コア・テキスト 経営史』(新世社、2019年)他

上記内容は本書刊行時のものです。