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統計学を哲学する
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2020年10月30日
- 書店発売日
- 2020年10月27日
- 登録日
- 2020年9月10日
- 最終更新日
- 2021年9月8日
書評掲載情報
2024-03-16 |
東京新聞/中日新聞
朝刊 評者: 吉田隆彦(現代社会研究所所長) |
2020-12-06 |
読売新聞
朝刊 評者: 三中信宏(進化生物学者) |
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重版情報
4刷 | 出来予定日: 2021-09-10 |
3刷 | 出来予定日: 2020-12-01 |
2刷 | 出来予定日: 2020-11-16 |
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紹介
統計学は実験や臨床試験、社会調査だけでなく、ビッグデータ分析やAI開発でも不可欠である。ではなぜ統計は科学的な根拠になるのか? 帰納推論や因果推論の背後に存在する枠組みを浮き彫りにし、科学的認識論としてデータサイエンスを捉え直す。科学と哲学を架橋する待望の書。
目次
序 章 統計学を哲学する?
1 本書のねらい
2 本書の構成
第1章 現代統計学のパラダイム
1 記述統計
1-1 統計量
1-2 「思考の経済」としての記述統計
1-3 経験主義、実証主義と帰納の問題
2 推測統計
2-1 確率モデル
2-2 確率変数と確率分布
2-3 統計モデル
2-4 推測統計の世界観と「確率種」
第2章 ベイズ統計
1 ベイズ統計の意味論
2 ベイズ推定
2-1 仮説の確証と反証
2-2 パラメータ推定
2-3 予測
3 ベイズ統計の哲学的側面
3-1 帰納論理としてのベイズ統計
3-2 内在主義的認識論としてのベイズ統計
3-3 ベイズ主義の認識論的問題
3-4 小括:ベイズ統計の認識論的含意
第3章 古典統計
1 頻度主義の意味論
2 検定の考え方
2-1 蓋然的仮説の反証
2-2 仮説検定の考え方
2-3 検定の構成
2-4 サンプルサイズ
3 古典統計の哲学的側面
3-1 帰納行動としての検定理論
3-2 外在主義認識論としての古典統計
3-3 頻度主義の認識論的問題
3-4 小括:ベイズ/頻度主義の対立を超えて
第4章 モデル選択と深層学習
1 最尤法とモデル適合
2 モデル選択
2-1 回帰モデルとモデル選択の動機
2-2 モデルの尤度と過適合
2-3 赤池情報量規準(AIC)
2-4 AICの哲学的含意
3 深層学習
3-1 多層ニューラルネットワークの構成
3-2 深層モデルの学習
4 深層学習の哲学的含意
4-1 プラグマティズム認識論としての統計学
4-2 機械学習と徳認識論
4-3 深層学習の哲学的含意
第5章 因果推論
1 規則説と回帰分析
2 反事実条件アプローチ
2-1 反事実条件説の意味論
2-2 反事実的因果の認識論
3 構造的因果モデル
3-1 因果グラフ
3-2 介入とバックドア基準
3-3 因果探索
4 統計的因果推論の哲学的含意
終 章 統計学の存在論・意味論・認識論
1 統計学の存在論
2 統計学の意味論
3 統計学の認識論
4 結びにかえて
参考文献
あとがき
索 引
前書きなど
本書はその名の通り、「統計学を哲学する」ための本である。しかし本書を手に取ったほとんどの人にとって、それが一体どういうことなのか、容易には想像がつかないのではないかと思う。この本は何を目指しているのか。その目論見を一言で表すとしたら、「データサイエンティストのための哲学入門、かつ哲学者のためのデータサイエンス入門」である。ここで「データサイエンス」とは、機械学習研究のような特定の学問分野を指すのではなく、データに基づいて推論や判断を行う科学的/実践的活動全般を意図している。しかしそのような経験的かつ実務的な学問が、机上の空論の代名詞とみなされているような哲学といかにして関係するのか。統計学に馴染みがある人にしてみれば、統計学というのは確たる数理理論に基づいた推論体系であって、そこに曖昧模糊とした哲学的思弁の入り込む余地は全くないように思えるかもしれない。また逆に、哲学に関心がある向きにとっては、統計とは単なるツールであって、深淵でいわく言い難い問いと対峙する哲学とはおよそ無縁なもののように感じられるだろう。
本書の第一の目的は、こうした誤解を解くことにある。現代において統計学は、与えられたデータから科学的な結論を導き出す装置として、特権的な役割を担っている。良かれ悪しかれ、「科学的に証明された」ということは、「適切な統計的処理によって結論にお墨付きが与えられた」ということとほとんど同義なこととして扱われている。しかしなぜ、統計学はこのような特権的な機能……
[「序章」冒頭より]
上記内容は本書刊行時のものです。