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十字軍国家の研究 櫻井 康人(著) - 名古屋大学出版会
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詳細画像 0

十字軍国家の研究 エルサレム王国の構造

A5判
重さ 1140g
744ページ
上製
価格 8,800円+税
ISBN
978-4-8158-0991-1
Cコード
C3022
専門 単行本 外国歴史
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年6月30日
書店発売日
登録日
2020年5月14日
最終更新日
2020年6月24日
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書評掲載情報

2020-07-18 毎日新聞  朝刊
評者: 本村凌二(歴史学者)

紹介

〈キリスト教対イスラーム〉を超えて、多様な人々からなる社会の全体像へ――。第1回十字軍によって生まれた「聖地防衛国家」は、内と外の異教徒とともになぜ存続しえたのか。祈る人、戦う人、働く人が都市と農村で形づくる王国の姿を、ヨーロッパとの関係も含め、精緻な史料分析から初めて解明した画期的労作。

目次

凡 例
全体地図


1 聖地周辺域の十字軍国家略史
2 十字軍国家の構造に関する全体的な研究史

第I部 祈る人――教会人たち

第1章 教会形成と王権
1 先行研究と問題の所在
2 教会創設とそれに伴う司教の選出
3 教会制度の確立過程と王権――聖墳墓教会を中心に
4 エルサレム・アンティオキア総大司教区の境界問題
5 小 括

第2章 国王戴冠と司教任命
1 エルサレム王国に関する年代記史料
2 国王戴冠とその意味
3 国王と司教任命
4 小 括

第3章 国政面における王権と教会
1 内政面に見る国王と聖職者の関係の推移――証書史料の分析より
2 外交面における聖職者の役割
3 王権と結び付く聖職者たち――エルサレム王国における「移動」の意味
4 小括――「封建王国」モデル・「聖地防衛国家」モデルの限界と可能性
5 後期エルサレム王国の状況点描

第4章 一三世紀の聖地周辺域における托鉢修道会士の活動
1 ムスリムの改宗の実態
2 キリスト教徒への回心活動
3 小括
4 補――『ジャン・ディブランの書』に見るエルサレム王国軍

第II部 戦う人――騎士修道会、およびフランク人に仕えた現地人たち

第5章 聖ヨハネ修道会の「軍事化」に見る国制構造の変化
1 研究史と問題の所在
2 修道会長の称号の変遷
3 副署人リストに見る聖ヨハネ修道会の認識の変化
4 所領獲得状況の推移
5 防衛要素から攻撃要素へ
6 小 括

第6章 騎士修道会と国王宮廷会議
1 国王宮廷会議と騎士修道会
2 国王宮廷会議に列席する騎士修道会士たち
3 聖ヨハネ修道会とテンプル騎士修道会との比較
4 小 括

第7章 騎士修道会の発展
1 条約締結権
2 有力者との関係に見る政治的役割の展開
3 エルサレム王国の会議・集会と騎士修道会
4 小 括

第8章 フランク人に仕えた現地人たち
1 叙述史料に現れる者たち
2 国王宮廷サークルの一員となった者たち――証書史料の分析(1)
3 領主となった者たち――証書史料の分析(2)
4 トゥルコポーレース――証書史料の分析(3)
5 小 括

第III部 働く人(1)――ブルジョワと都市社会

第9章 前期エルサレム王国における都市統治構造
――都市エルサレムのブルジョワを中心に
1 研究史と問題の所在
2 都市エルサレムのブルジョワと都市行政
3 国王会議とブルジョワ
4 小 括

第10章 十字軍国家における都市統治構造
1 都市アッコンのブルジョワ
2 都市エルサレム・アッコン以外のエルサレム王国の都市行政
3 アンティオキア侯国およびトリポリ伯国における都市行政
4 小 括

第11章 「医者」から見る都市社会の構造
1 叙述史料の分析
2 法書史料の分析
3 証書史料の分析
4 小 括

第12章 ヨーロッパ商業都市と十字軍国家
1 ハッティーンの戦いまでの状況
2 ハッティーンの戦いからロンバルディア戦争終結までの状況
3 ロンバルディア戦争終結以降の状況
4 「封建家臣」となった者たち
5 小 括

第IV部 働く人(2)――フランク人と農村社会

第13章 「ナブルス逃亡事件」とその背景
1 史料および補足説明
2 戦争による農村運営への影響
3 農村世界の変容――フランク人人口の増加と「新村」の創設
4 小 括

第14章 十字軍国家における農村支配
――通訳官・書記官・ライース
1 フランク人支配領域に残留する農民たち
2 「下級役人」に関するカエンとライリー=スミスの成果
3 フランク人と農村を繋ぐ媒介者たち
4 小 括

第15章 フランク人による農村支配の変容とほころび
――マルシリオ・ゾルジの『報告書』を手がかりに
1 『報告書』作成の目的
2 ティール市内の模様
3 ティール領のトポグラフィー
4 ティール領内の農村における現地人支配
5 小括――現地人支配のほころび:分割所有の功罪

第16章 フランク人による農村支配の限界
1 フランク人による農村支配の変容
2 バイバルスによるフランク人と農村との切り離し政策
3 一二八三年の条約に見るアッコン領内の農村支配
4 一二八五年の条約に見るティール領内の農村支配
5 「新参者」による農村への攻撃
6 小 括



あとがき
家系図・付表

参考文献
図表一覧
索 引

前書きなど

(1)十字軍国家建国までの道のり

一〇九五年一一月二七日に開催されたクレルモン教会会議の終了後、教皇ウルバヌス二世は来たる東方遠征について聴衆たちに呼びかけた。自らの行脚に加えて各地に書簡を送った結果、一一〇一年までの間に約一三万人の人々が東方へと向かったが、その主力部隊は五人の諸侯を統率者とする「正規十字軍」あるいは「諸侯十字軍」と呼ばれる軍勢であった。その五人とは、離婚問題で破門されていたがために東方遠征への参加が叶わなかったフランス国王アンリ一世の弟であるヴェルマンドワ伯ユーグ、シャルルマーニュの血を引く下ロレーヌ公ゴドフロワ・ド・ブイヨン、シチリアや南イタリアを制圧下においたロベルト・ギスカルドの息子であるターラント侯ボエモンド、クレルモン教会会議に先だってすでに教皇から東方遠征の軍事統率者の責を委ねられていたトゥールーズ伯レーモン四世・ド・サン・ジル、ウィリアム征服王の長男であるノルマンディー公ロベールであった。一〇九六年にそれぞれに故国を離れた彼らであったが、一〇九七年五月にビザンツ帝国の首府コンスタンティノープルで合流した。……

[「序」冒頭より/注は省略]

著者プロフィール

櫻井 康人  (サクライ ヤスト)  (

1971年 和歌山県に生まれる
京都大学大学院文学研究科博士課程修了
現 在 東北学院大学文学部教授、博士(文学)
著訳書 『図説十字軍』(河出書房新社、2019年)
    ロドニー・スターク『十字軍とイスラーム世界』(新教出版社、2016年)

上記内容は本書刊行時のものです。